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猛暑から身体を守ってくれる「3つの栄養素」    

この記事の執筆者

Wismettacフーズ株式会社 ナチュメディカ事業G

女子栄養大学卒業。病院勤務中にサプリメントなどの健康食品の飲用について多く相談を受け、探求するうちに、臨床における食事療法にとどまらない栄養摂取の重要性を認識。 医師が納得し、安心して利用できる良質 ... [続きを見る]

自己紹介

栄養素と料理に関するトピックスを担当させていただきます。 どうぞよろしくお願いいたします。

今年もいよいよ夏本番、体にこたえる暑さはしばらく続きそうです。真夏の厳しい暑さは年々エスカレートしているように感じますが、こうした時代だからこそ、熱中症対策が重要になります。

とはいえ、一口に「熱中症対策」と言っても、水分補給をこまめにする・冷却グッズを上手に活用するなど、対処法は様々です。今回は猛暑から身体を守ってくれる3つの栄養素と、各栄養素を含む食品についてご紹介いたします。

<目次>
1.はじめに
2.猛暑対策に役立つ栄養素
3.食品に含まれる栄養素
4.最後に

はじめに

いよいよ夏本番、今年も暑さが身体にこたえる季節がやって来ました。一昔前なら30度でも猛暑という感覚でしたが、最高気温は年々上昇し、すでに体温を超えるほどの気温を記録する日も出てきています。

こうした中、「一体この先どうなってしまうのだろう」と思われる方も多いのではないでしょうか。

また、近年の異常な暑さで体調を崩す方も多く、熱中症は命にも関わる危険な病気ですので、水分補給や室内温度および服装の調整、冷却グッズを用いるなどの対策が必須です。

今年に限らず、来年以降も年々夏の気温は高くなることが予想されます。そこで、今日は「猛暑から身体を守る栄養素」について解説していきたいと思います。

猛暑対策に役立つ栄養素〜真夏こそ、ミネラルを摂取しよう〜

夏の風物詩でもある花火。様々な光の色を解き放ち夜空に輝きますが、中でも白色の花火は火薬にカリウム、アルミニウム、マグネシウムなどのミネラル微粉末を混ぜて作られています。身体の中に存在するミネラルは光こそ放ちませんが、ごく微量で重要な役割を果たします。

例えば、骨を構成するカルシウムやリンの割合は体重のわずか1.0~1.5%です。さらに鉄、亜鉛、カリウム、ナトリウムなどその他のミネラルは、全て足しても1%程度です。これほどごく微量であっても、身体にとって重要な働きをするのです。

体温調節に欠かせない「マグネシウム」

マグネシウムは骨の構成成分であるだけでなく、心臓や筋肉の機能、神経の機能や代謝に関係し、血圧や体温の調節に必要な栄養素として知られています。それだけではなく細胞の内側と外側で、ナトリウムとカリウムのバランスを整える働きもあります。

また、血液に含まれる細胞の中を行き来して体温調節をしていることがわかってきました。

ある実験では、気温40度の部屋で毎日2時間のルームランナー歩行を10日間実施し、歩行の前後に血清、白血球などの単核細胞、赤血球の3か所に存在する血中マグネシウム濃度を測定しました。

その結果、身体が高温に晒されて過酷な状態になる度に、血清マグネシウムは単核細胞に移動しました。そして、赤血球マグネシウム濃度は5日まで上昇し、その後10日までには徐々に調査開始時近くの値まで低下しました。

この実験結果からも、マグネシウムは体温に伴い血液中を移動し、体温調節に重要な役割を果たしていると考えられます。

マグネシウムは重要なミネラルですが、尿や汗で排出されやすいため不足しやすく、特にたくさん汗をかく真夏には注意が必要です。マグネシウム不足は筋肉の硬直やこむら返りなどの熱けいれんを引き起こす可能性があるので、普段から不足しないように気を付けることが大切です。

水分保持や細胞の働きを助ける「カリウム」

カリウムは細胞の内側に多く含まれ、細胞の外側に多いナトリウムと作用し合い、また、マグネシウムのサポートも借りながら、細胞の浸透圧を維持したり水分を保持したりしてくれます

ところが、汗をかくとマグネシウムやナトリウムと同様、カリウムも排泄されてしまいます。

カリウムが失われると、細胞内が脱水症状を引き起こします。発汗によりミネラルが失われ、さらに血液中の水分まで減少すると、細胞の内側と外側の移動によって体液の正常な調節・維持ができなくなります。

それに加えて脱水により血液が濃縮されると、身体の状況に応じて適切な量の血液を素早く臓器へ分配する循環機能に支障をきたします。大量の発汗時にこまめな水分補給が必要なのは、こうした理由からです。

熱から身体を守る「たんぱく質」

暑さを感じると、私たちの身体は体温を調節したり、身体全体に血液を循環させようとします。その際、重要になるのが血液を全身に送り出す役割を担う心臓の筋肉です。

毎日適度な運動をしながら質の良いたんぱく質を摂取することは、心臓の筋肉のポンプ力を高めるために、そして暑さに負けない身体作りのためにも役立ちます。

また、たんぱく質を構成するアミノ酸にも、暑さに負けない身体作りに役立つものがあります。代表的なのがアルブミンで、血漿中のたんぱく質のうち約60%を占める、最も量が多いたんぱく質です。他のアミノ酸よりも血管内で水を保持する働きが大きいという特長があり、血管中の血液量や体内の水分量を調整し、血液の浸透圧を維持します。

ところが血液中のアルブミンが低下すると、血管内の血液量が少なくなります。そうなると暑さで体の表面にある熱い血液を上手く冷やせないため、熱いままの血液が体内へ戻っていき、体温を冷やすことができません。

ですから、食事などでアルブミンを含むたんぱく質を補うことで血管内の血液量が増え、暑さに負けない身体作りのサポートにも一役買ってくれます。

食品に含まれる栄養素

さて、猛暑対策に役立つ栄養素についてお話ししてきましたが、これらの栄養素を多く含む食品についてもご紹介していきたいと思います。

マグネシウムが多く含まれる食品

マグネシウムは、主に豆腐などの大豆製品に多く含まれています。


<マグネシウムを多く含む食品と可食部100g当たりの含有量>

  • 木綿豆腐:57mg
  • がんもどき:98mg
  • 納豆:100mg
(参考資料:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)
カリウムが多く含まれる食品

カリウムは、野菜や果物などに多く含まれます。


<カリウムを豊富に含む食品と可食部100g当たりの含有量>

  • アボカド:720mg
  • モロヘイヤ:530mg
  • ほうれん草:490mg

(参考資料:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」)

たんぱく質が多く含まれる食品

周知の通り、たんぱく質は肉類に多く含まれています。


<たんぱく質を多く含む食品と可食部100g当たりの含有量>

  • 鶏むね肉(皮なし・生):23.3g
  • 豚ロース肉(赤肉・生):22.9g
  • 牛もも肉(赤肉・生):20.2g

(参考資料:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」)

最後に

いかがでしたでしょうか?暑さ対策としての栄養素は、冷却グッズのように「暑い」と思ったその瞬間に使ったり、応急処置的に使えるものというよりは、食生活の中で意識的に補給したり、筋力を低下させないように適度な運動と共に継続的に補給することで、暑さに負けない身体作りに活用できるものと言えるかもしれません。

もちろん、汗をかいた時に水分と共にミネラルを補給することも大切ですが、暑さを感じる前に対策を行うことが肝心です。

熱中症対策においても“継続は力なり”。熱中症から身体を守るという心がけを持ちながら、暑い夏を乗り切りましょう!





<参考文献>

・Stendig-Lindberg G, Moran D, Shapiro Y.,How significant is magnesium in thermoregulation?,J Basic Clin Physiol Pharmacol.1998;9(1):73-85.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9793804/

・環境省 熱中症予防情報サイト内資料(熱中症とは何かー2.熱中症はどのようにして起こるのかhttps://www.wbgt.env.go.jp/pdf/envman/1-2.pdf

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