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「健康的集団免疫」がパンデミック終息の鍵を握る?

この記事の執筆者

鎌倉元気クリニック

一般社団法人日本オーソモレキュラー医学会 代表理事。鎌倉元気クリニック 名誉院長。 杏林大学医学部卒、同大学院修了。 医学博士。杏林大学医学部内科助教授を経て、2000年〜2008年同大学保健学部救 ... [続きを見る]

4月7日、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく初の「緊急事態宣言」が発令されました。しかしながら、その後1ヶ月の間に日本の新型コロナウイルス感染者数は2,935名から15,477名に、死亡者数は69名から577名に増加しました。そして5月4日、政府は緊急事態宣言の5月末までの延長を発表しました。ようやく新規患者数は減少に向かい始めましたが、長期戦となることも覚悟しなければなりません。

医療現場では病院スタッフの疲労は限界近くまで達しており、救急医療から慢性疾患の治療、そしてがん治療に至るまでの本来の病院機能まで停止しつつあります。加えてこれからの日本経済の低迷、それに伴う失業者の増加が憂慮されます。

私たちは、如何にしてこのパンデミックを終息させることができるのでしょう。

抗ウイルス薬だけではパンデミックの抑制は困難

抗ウイルス薬、マラリア治療薬、AIDS治療薬など、重症化した感染患者を救うための薬物療法は重要です。しかし、これはすでに新型コロナウイルス感染による症状が生じた患者に対する治療であり、無意識に感染を拡げているいわゆる“無症状感染者”には無力です。これではパンデミックを終息させることはできません。

ワクチンの開発をただ待つしかないのか

各国では新型コロナウイルスに対するワクチン開発が急がれています。ワクチンを接種することで、身体の中に抗体を作り免疫を獲得することは最善策と思えます。しかし、ワクチンの開発に関しては臨床試験による有効性と安全性の確認、さらには数千万人分のワクチン製造に、少なくとも1年あるいはそれ以上の期間が必要です。第二波・第三波が懸念されており、この間にもコロナウイルス感染は拡がっていくでしょう。

さらに、コロナウィルスのようなRNAウイルスは遺伝子変異を起こしやすく、せっかく作られたワクチンが効かなくなってしまう可能性も否定できません。ワクチンの副作用の問題もあります。以上のことをまとめると、ワクチンは重症患者に対しては救済の一手となり得る一方で、今回のような「新しいウイルスの初期対策」としては最善策とは言えません。

新型コロナウイルス感染対策に「集団免疫の獲得」

すでにご存知の方も多いかと思いますが、北欧スウェーデンでは感染者を隔離せず、国民の日常活動を自由にすることで自然感染を促す「集団免疫」の戦略をとりました。ワクチンがないのなら、自粛せず自然のままに感染させて抗体を獲得しようというものです。学校は閉鎖せず、飲食店も通常通り営業し、人々はソーシャル・ディスタンスを守りながら普段と同じように生活をしました。

<写真>2020年4月22日のストックホルム市内:パンデミックの最中でも市民は普段通り生活していた。

多くの国でロックダウン(都市封鎖)が実行されている中、スウェーデンのこの試みは注目あるいは批判されてきました。4月になるとスウェーデンでの新型コロナウイルス感染者数は増加し、死者は2,000名にまで達します。隣国フィンランドやデンマークを超える死者数です。

しかし、この死者数は老人保健施設における集団感染が半数を占めており、スウェーデン保健当局は「高齢者施設で老人たちを守ることはできなかったが、市民の集団免疫は獲得している」と報道しています。

この集団免疫の獲得には賛否あるでしょう。ですが、今後コロナウイルスとの共存も視野に入れなければならなくなる可能性を考えると一考する余地はあるのではないでしょうか。

“健康的なコミュニティから生まれる集団免疫の獲得”がパンデミックを終息させる

さて、「集団免疫」について、リチャード・チェン医師(4月30日 オーソモレキュラー医学ニュースサービスより発表)の提案は注目に値するものです。彼は、ワクチンによる集団免疫の獲得を待つのではなく「栄養療法によって(健康水準が)高水準であるコミュニティに集団免疫を獲得させる」ことこそが、パンデミックを終息させる方法だと提案したのです。

チェン医師は上海大学・医学部出身ですが米国に帰化し、現在はサウスカロライナ州で開業しています。彼は、中国で新型コロナウィルスの感染が始まった時、すぐさま上海に駆け付け、現地で高濃度ビタミンC点滴の導入に尽力しました。アメリカに戻ってからは、国立衛生研究所(NIH)に招待され、コロナウイルスと高濃度ビタミン C点滴療法についての講演を行っています。


また、チェン医師は世界各国の学会でWeb講演を行っています。そんな彼が提案しているのが「健康的集団免疫の獲得」です。ワクチンも集団免疫獲得法の一つでしょう。多くの人がワクチンでウイルス抗体を獲得すれば、免疫力の弱い人がウイルスを保有している人に接触する機会が減り、感染から守られるというものです。

しかし、現時点では新型コロナウイルスに対するワクチンはありません。そうなると新型コロナウィルスのパンデミックを阻止する唯一の希望は、コミュニティの人々が自然感染によって抗体免疫を持つ「集団免疫」です。

この「集団免疫」にもリスクが伴います。一歩間違えれば感染によって重篤化、あるいは死に至るケースが出てくる場合もあるからです。このようなリスクから国民を保護せずに集団免疫を獲得させようと言うのは、残酷かつ非倫理的であり、国民から抗議を受ける可能性さえあります。現にこの戦略をとったスウェーデンは、免疫力の弱い高齢者の死亡者数増加という犠牲を払いました。

栄養素の摂取は「健康的集団免疫の獲得」の基本

チェン医師の方針は、十分な栄養介入をコミュニティに導入することです。国際オーソモレキュラー医学会が推奨するビタミンC、ビタミンD、亜鉛、セレン、マグネシウムを十分に摂取することでコロナウイルスへの感染を防ぎ、万が一罹患しても軽症で済ませようとするものです。

各栄養素推奨摂取量については下記記事をご覧ください。

コロナウイルスに打ち克つための集団免疫

新型コロナウイルスの感染力の強さは、もはや言うまでもありません。パンデミックが一段落した後もウィルス自体は消滅せず、人々が感染し続ける可能性があります。すなわち、地球上で生活している限り、かなりの確率で新型コロナウイルスに感染することになります。このような状況において、オーソモレキュラー医学による“健康的コミュニティから生まれる集団免疫の獲得”はワクチンと同等以上の効果が期待でき、国・地域を問わず導入が容易であり安全かつ安価な戦略と言えるのではないでしょうか。





<参考ウェブサイト>

柳澤 厚生 (ヤナギサワ アツオ)先生の関連動画

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