4月8日、NIHにてあるウェブ講演会が行われました。
講演者は、リチャード・チェン医師(チェン統合医療センター所長)で、NIH(米国国立衛生研究所)による招聘講演でした。
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ビタミンCを巡るアメリカの動き
中国の臨床試験から始まり、その後各国でのビタミンC点滴の導入・臨床試験が活発化しています。
今回は「COVID-19に対するビタミンC点滴」に着目し、アメリカ国内での動向をご紹介いたします。
NIHで行われたチェン医師の講演
講演タイトルは『COVID-19に対する高濃度ビタミンC点滴療法について』。
チェン医師は講演の中で、中国で行われた治療データを踏まえて、
「ビタミンC点滴はCOVID-19をはじめとするウイルス性重症肺炎の治療に効果が期待できる治療法です」と締め括りました。
下記は講演内で示されたデータの一部です。
<上海交通大学医学部付属瑞金病院での治療データ>
対象:COVID-19重症患者358名のうち、約50名のCOVID-19重症患者
治療法:高濃度ビタミンC点滴10-20g/日を投与
結果:死亡者は現時点で0名。入院期間は他患者の30日間と比較し、5日間の短縮がみられた
※1名の患者は余りにも重症だったため、50gのビタミンCを4時間かけて点滴投与。投与中から血中酸素濃度の改善がみられた。
Change.org上での署名活動がスタート
COVID-19の治療に高濃度ビタミンC点滴の認可を求める署名活動が「Change.org※1」上で行われています。
(※1様々な分野における署名を集めるウェブサイト。署名が15,000名に達すると、アメリカ政府(今回の場合はFDA(アメリカ食品医薬品局))へ回答を求めることが可能となる)
4月16日時点では14,000名以上の署名が集まっており(もうすぐですね)、当学会としても今後の動向を注視しています。
(投票ページ:https://www.change.org/p/explore-high-dose-iv-vitamin-c-for-coronavirus-patients※アメリカ国内からの投票のみ可能)
イースタンバージニア大学医学部救急部の治療プロトコル
イースタンバージニア大学医学部救急部(Eastern Virginia Medical School)の治療プロトコルには、
「COVID-19患者へのビタミンC(アスコルビン酸)投与が有効な可能性がある」と記載されています。
さらに、ビタミンCとコルチコステロイドの併用による相乗効果について言及。ただし「重度の呼吸不全患者へのビタミンC投与の効果に関しては限られている」とし、ビタミンCの最適な投与量は不明としています。また、ビタミンCの酸化促進作用を考慮すると、CRP/フェリチン値が増加している患者の場合は、ビタミンC投与量を減らす必要があると付け加えています。
同プロトコル内ではビタミンDの免疫への作用についても言及しており、とりわけ高齢者の(予防としての)ビタミンDの摂取が推奨されています。
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