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全てを改善させる「スーパーホルモン」DHEA

この記事の執筆者

ごきげんクリニック浜田山

ビタミンC点滴療法や栄養療法のメッカとも言えるリオルダンクリニック(アメリカ)へ研修のため留学。留学中、米国抗加齢医学会の専門医試験に最年少で合格。また米国で開催される国際学会に多数出席し、世界の機能 ... [続きを見る]

がんや心血管疾患、高コレステロール血症、糖尿病、肥満、アルツハイマー病など様々な病気を予防し、治療できる ’魔法の’ ホルモンがあることをご存知ですか?

近年の研究で、DHEAというホルモンがこれらの疾患に効果があることが明らかになってきています。近年注目を集めている慢性疲労(副腎疲労症候群)にも深い関連がありますし、コロナウイルスをはじめとするウイルス感染症や細菌感染症に対する免疫を高める働きもあります。

そしておそらく最も注目をされている作用は、アンチエイジングです。DHEAを十分補うことで、年をとることによって増えてくる様々な病気のリスクを減らすことができると考えられています。

ご自分のDHEA-sの値は適正範囲内(正常範囲内ではない)に入っていますか?少なくとも1年に1度は検査をして、ぜひDHEAを適正化させてください。そうすれば先にあげたようなご病気の改善はもちろん、何度なく疲れやすい、集中力の低下、立ちくらみやめまい、鬱症状やイライラ、体力の低下など、病気まで行かない不調も改善して来る可能性が十分あります。

老化の原因はホルモン不足?

そもそも人はなぜ老化するのでしょう?小学生のころの同級生に、大人になってから会った時のことを思い出してください。すごく老けた人、若々しさをキープしている人など、人によって老化のスピードがずいぶんと異なることを感じたことはありませんか?

年齢による老化は、必ずしも生物学的な老化とイコールではありません。そしてその生物学的な老化の原因の一つがホルモンの低下なのです。一般に老化とともにホルモンは低下していくのが一般的ですが、年をとるからホルモンが低下するのではなく、ホルモンが低下するから老化をする、という考えかたです。

スーパーホルモン:DHEA

DHEA は、主に副腎から分泌されるホルモンで、性ホルモンを始めとする約50種類のホルモンに変化する前駆体です。

DHEA自体の働きとしては、タンパクの分解から再合成への代謝を回復させる働きや、ストレスに対抗する働き、脂肪(特に内臓脂肪)を分解し筋肉を増やす働きや、インスリンの必要量を減らす働き、T細胞を活性化させる働き、記憶力の改善や、性機能改善、抗酸化作用などがあると言われています。実際に様々な研究(図1)で、DHEAの多くの効果が実際に明らかになっています。

そのため、DHEAを患者さんに投与すると、先にあげた様々な病気が改善する他に、例えば関節炎の症状が緩和され、疲労感が低下し、生活の質が向上するなど、身体的、心理的なウェルビーイングが改善されることがよくあります。

DHEA補充療法の適応

DHEAの補充を検討しても良い患者さんとしては、もちろん何かしらのご病気があり、DHEAの低下が認められる方のほか、特に今現在、病気はないが健康維持や病気の予防をしたい40 歳以上の全ての男女が含まれます。

「アンチエイジング」と聞くと、年齢に頑なに抗う美魔女のイメージを持ちがちですが、アンチエイジング医学とは ‘予防できる病気の一つである病的老化を防ぎ、治療する医学’ であるため、病的な老化によって引き起こされる様々な不調を未然に防ぐ、予防医学とウェルビーイングは、アンチエイジングの重要な柱となります。そしてDHEAをはじめとする、様々なナチュラルホルモンの補充は、アンチエイジング治療のとても効果的な治療法なのです。

話が少しそれましたが、このような理由から、老化や気持ちがシャキッとしない、体力の衰えなどの症状でも十分、DHEA補充の適応となり得るのです。

(図1)

DHEA血清レベル

まずはDHEAを開始する前に、事前のベースラインとなる値を調べておきましょう。 ここでいくつか注意が必要です。まずDHEAを測定する場合は、DHEA ではなく活性型であるDHEA-s を測定します。

そしてそのDHEA-sの値が、正常範囲に入っていても安心するのはまだ早いです。図2にあるような適正範囲に入っているかを確認してください。正常範囲はベストな値ではなく、それ以外だと明らかに病気に直結する値です。少しでも良い健康状態を目指すのであれば、正常範囲の上限ギリギリである適正値を目安にしてください。

(図2)

注意事項

基本的には、性ホルモン反応性腫瘍(乳がん、卵巣がん、子宮がん、前立腺がん)には禁忌です。それ以外は、若い女性に大量に使わない限り副作用はほとんど出て来ることはありません。教科書的にはニキビや脂性肌、睡眠障害などが挙げられますが、そのような症状が出てきた場合は、単純に投与量を減らすか1日おきの服用に変更します。

そしてご自身のホルモンの値が安定して最適な状態になるまで、検査を繰り返してホルモンの量を調節してください。

日本ではドラックストアなどでは買えないため、患者様というより医療者に向けての注意事項になりますが、適正な用量と品質を確保するために、OTCではなく、調剤製品を使うことが望ましいです。

また女性ではテストステロンを、男性ではエストラジオールの値をわずかに上昇させます。テストステロンやエストラジオールなどと併用する場合は、低用量から開始するようにしてください。

最後に

ホルモン治療に興味がある先生方へ

DHEAのみならず、甲状腺ホルモンや性ホルモンなどを補充すると、今まで治らなかった様々な不調がいとも簡単に改善することがよくあります。

保険で処方される人工ホルモンはホルモンではなくホルモン受容体作動薬ですので、発がんなどの様々な副作用がありますが、ナチュラルホルモンやバイオアイデンティカルホルモンと呼ばれる生体同一性ホルモンを補充する限りでは明らかな発がんなどは報告されていません(逆に発がんリスクを低下させる効果が報告されています)。またそのほかの副作用も出にくく、効果が強いわりにとても安心して患者様に投与できる治療法です。

アメリカや他諸外国では本当に一般的で、アメリカでは2014年の時点で少なくとも140万人の女性が、ナチュラルホルモンでの治療を行っているとされています。アメリカの人口は日本の約3倍ですので、単純に3分の1の計算をすると46万人という数になります。それほど効果を実感し、治療を希望する患者さんが多いということです。

ナチュラルホルモン補充療法は未来の日本でも、必ずや統合医療の中心を担う治療法になります。日本語でも本など出ていますが、正直あまり実践的ではなくそれだけでは不十分です。米国抗加齢医学会(A4M)もしくは The Institute for Functional Medicineなどでは年に何回かホルモンの集中的な講座を開催していますので、よろしければご参考にされてください。

※本記事は『統合医療でがんに克つVOL.154(2021年4月号)』にて掲載された「リオルダンクリニック通信23」の許可を得た上で一部調整したものです。

 

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