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オーソモレキュラー医学入門【第3章】ナイアシン

この記事の執筆者

ナカムラクリニック

医師 神戸市中央区にて、内科・心療内科・精神科・オーソモレキュラー療法を行う「ナカムラクリニック 」を開業している。対処療法だけでなく、根本的な原因に目を向けて症状の改善を目指す栄養療法を実践している ... [続きを見る]

「オーソモレキュラー医学」。それは、ビタミン、ミネラルといった栄養素を補充することで、疾病の予防および治療を行う医療です。

エイブラム・ホッファーとアンドリュー・W・ソールが記した『Orthomolecular Medicine For Everyone』は、発売年から今日に至るまで、医師等専門家をはじめとする多くの人々の医学書・指南書として支持されています。そして2019年10月、ついに『Orthomolecular Medicine For Everyone』の日本語版『オーソモレキュラー医学入門』が発売されました。

今回、『オーソモレキュラー医学入門』を翻訳された中村 篤史先生(ナカムラクリニック)が、全18章400ページにわたる本編から、改めて各章毎のポイントをまとめて下さいました。

・すでに『Orthomolecular Medicine For Everyone』『オーソモレキュラー医学入門』を読破された方

・興味はあるものの、まだ読めていない方

・「そもそも、オーソモレキュラー医学とは?」という方

全ての方に読んでいただきたい情報を連載でお送りします。是非、お見逃しなくご覧ください。

ナイアシンはビタミンB3

ナイアシンもナイアシンアミドもビタミンB3です。これらはヌクレオチドサイクルの構成要素であり、NAD(ニコチンアミド-アデニン-ジヌクレオチド)の産生に必須です。NADは抗ペラグラ因子であり、呼吸酵素系にも重要な働きをしています。

ビタミンB3の主な供給源としては、全粒穀物、レンズ豆、ナッツ、肉があります。たいていの穀物は精製されています。そして、その過程でふすま(小麦の皮の部分)や胚芽が取り除かれているため、ビタミンB3がほとんど含まれていません。

アメリカでは1942年から小麦粉にナイアシンアミドが添加されており、これによってペラグラ(ビタミンB3欠乏症)の大発生が終息しました。

人類は進化における変遷の最中にあり、アミノ酸であるトリプトファンを体内でナイアシンアミドに変換する能力を失いつつある、という仮説があります。このため、私たちは食事によるナイアシン供給にますます依存的になっていますが、同時に食事から摂取できるナイアシンの量も減少しています。

オーソモレキュラー医学の観点から、ナイアシンは消化管、皮膚、神経の健康維持に必要な栄養素です。炭水化物からエネルギーを生み出すために必要不可欠なのです。ナイアシンをもとにしたヌクレオチドサイクルは、体のいたるところで広範囲に行われています。また、性ホルモンの合成やDNAの修復にも関与しているため、欠乏すると様々な症状が現れます。

ビタミンB3によって回復が見込める症状

ナイアシンの摂取によって回復が見込める症状は多岐にわたります。主な該当症状を下記に記載します。

  • ペラグラ
  • 関節炎
  • 統合失調症
  • 高脂血症
  • 血管障害
  • 学習障害
  • 糖尿病
  • アレルギー
  • 多発性硬化症
  • ストレス
  • アルコール依存症
  • うつ
  • 老化
  • 全身性エリテマトーデス(SLE)
  • 白斑症 など

ペラグラは4D(皮膚炎(Dermatitis)、下痢(Diarrhea)、認知症(Dementia)、死(Death))を特徴とするビタミンB3欠乏症です。この疾患を通じて、ビタミンB3が皮膚、消化管、神経にとっていかに大事かということがわかります。

ビタミンB3の摂取とナイアシンフラッシュ

オーソモレキュラー医学を導入する診療医は、ビタミンB3を高用量で使用します。それはなぜか。通常量のビタミンでは“全く”不十分であるからです。それぞれの症状にはそれぞれの最適用量があり、その用量は1日1000mgから数gまでと様々です。多くの場合、3回に分けて用いられます。それはナイアシンが水溶性であるが故、体からすぐに排出されるためです。

はじめてナイアシンを摂取すると、たいていの場合は著明な紅潮(ナイアシンフラッシュ)が起こります。これは、ナイアシンの服用後、数時間にわたって顔や首元がほてり赤くなる現象を指します。紅潮の程度には個人差があり、ナイアシンの吸収スピードによって様々ですが、ナイアシンを食後に服用することで紅潮が少なくなります。さらに付け加えると、ナイアシンアミドや徐放型ナイアシンはゆっくりと吸収されるため、紅潮が出にくいという特性があります。

ナイアシンの潜在的な副作用

紅潮が起こり得ることについては、ナイアシン服用前に必ず認識しておく必要があります。また、副作用としてその他の症状が生じる場合もあります。例えば、吐き気、頭痛、耐糖能(血糖値を正常に保つ能力)への影響、肝臓の数値上昇が起こる可能性があります。

ただし、これらはいずれも重篤なものではありません。服用の中止によってすぐに回復しますし、服用方法を工夫(減量したりナイアシンアミドや徐放型ナイアシンを組み合わせて使用する)すれば、副作用なしに飲むことも可能です。