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オーソモレキュラー医学入門【第1章】オーソモレキュラー医学とは何か

この記事の執筆者

ナカムラクリニック

医師 神戸市中央区にて、内科・心療内科・精神科・オーソモレキュラー療法を行う「ナカムラクリニック 」を開業している。対処療法だけでなく、根本的な原因に目を向けて症状の改善を目指す栄養療法を実践している ... [続きを見る]

「オーソモレキュラー医学」。それは、ビタミン、ミネラルといった栄養素を補充することで、疾病の予防および治療を行う医療です。

エイブラム・ホッファーとアンドリュー・W・ソールが記した『Orthomolecular Medicine For Everyone』は、発売年から今日に至るまで、医師等専門家をはじめとする多くの人々の医学書・指南書として支持されています。そして2019年10月、ついに『Orthomolecular Medicine For Everyone』の日本語版『オーソモレキュラー医学入門』が発売されました。

今回、『オーソモレキュラー医学入門』を翻訳された中村 篤史先生(ナカムラクリニック)が、全18章400ページにわたる本編から、改めて各章毎のポイントをまとめて下さいました。

・すでに『Orthomolecular Medicine For Everyone』『オーソモレキュラー医学入門』を読破された方

・興味はあるものの、まだ読めていない方

・「そもそも、オーソモレキュラー医学とは?」という方

全ての方に読んでいただきたい情報を連載でお送りします。是非、お見逃しなくご覧ください。

オーソモレキュラー医学とは何か

オーソモレキュラー医学は、良好な栄養状態こそが健康の基本であると考えています。病気に対して、適切な食事摂取とサプリメントを含めた栄養素の補給によってアプローチする。これがオーソモレキュラー医学の核心です。

その際、個人差に留意する必要があります。体格の違いはもちろん、酵素活性など遺伝による生化学的な違い、栄養素の吸収力など生理的な違い、ストレスなどの心理的な違いによって、栄養素の必要量には個人差があるのが普通ですから、十分量を補うことが重要です。

栄養素は単独では真価を発揮しない

また、栄養素は、他の様々な栄養素と調和して機能します。何か一つの栄養素が過剰にあっても、それが別の栄養素の不足分を補うことはできません。これは例えるなら、オーケストラにおいて“ある一つの楽器が、他の楽器よりも重要である”と考えることができないのと同様です。つまり、全ての栄養素が充足していることが大切なのです。

全身症状の発現に栄養状態が無視できない理由

病気を「局所性」か「全身性」かで分類するのはナンセンスです。というのも、吹き出物もイボも、はたまた目の痛みであっても、局所症状は全身の防御反応を呼び起こすものです。疲労感、はっきりしない痛み、何となく胃腸の調子が悪いといった全身的な症状をみたら、まず栄養の摂取に問題がないか確認します。全身的な症状は、不足した栄養素で体が何とかやりくりしようとしていることから生じている場合が多いものです。

栄養状態が悪いと様々な病気にかかりやすくなる一方、栄養状態の改善によって病気の治癒や予防が可能になります。

理想的な食事と現代の食事の違い

では、栄養を摂るために、私たちにはどのような食物が必要でしょうか。

草食動物は主に植物を、肉食動物は主に肉を食べて生きています。雑食動物である私たち人間は、植物も肉も口にします。そして、私たちは植物も肉も食べる必要があります。長い進化発達のなかで、ヒトはそういう食物を摂ることで、命を繋いできたのです。


私たちの先祖が口にしてきた食物は、以下の形容詞で表現できます。

【丸ごと全部(whole)、生きている(alive)、毒のない(nontoxic)、多種多様の(variable)、地産の(indigenous)、つましい(scarce)】


一方、現代の私たちが食べているのはどんな食物でしょう。以下のように表現できます。

【人工物(artifact)、死んでいる(dead)、毒のある(toxic)、単調(monotonous)、外国産(exotic)、過剰(surplus)】


こうした食材から構成された食事は、言い換えれば、「タンパク質が少なく、糖分が多く、繊維分が少ない」食事でもあります。これこそが、糖質代謝性症候群を起こす元凶です。精白小麦や砂糖の摂取量の増加とともに、精神疾患、消化器疾患、糖尿病、アレルギーなど、様々な疾患が急増しました。食生活の改善には、ジャンクフード(砂糖と添加物の入った食物全て)を口にしないことと、食べると気分が悪くなるものは避けること、まずはこの二つを目安にするといいでしょう。

 

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