ログイン 会員登録

このままではパンデミックは終わらない

私は2000年より京都府で形成外科を開業しました。その後、美容皮膚科と眼瞼の手術を中心とした臨床を行って参りましたが、2011年3月の東日本大震災に伴う原発事故をきっかけに、安全な食について考えるようになりました。

そして栄養学を学んでいくなか、T・コリン・キャンベル博士の著書『THE CHINA STUDY』に出会い、人間と地球の健康にとっての最善の食事法はPBWF(plant based whole foods植物性の食材をなるべく精製しないで食べること)と確信しました。

以来クリニックに栄養外来を開設し、薬に頼らずに病気を予防・改善するための指導を行っています。今後、皆様に知って頂きたい内容を順番に執筆していこうと考えております。

COVID-19パンデミックの先にあるもの

コロナ収束には程遠く、どの方向に舵を切れば良いのかもわからないまま2021年を迎えることとなってしまいました。元の日常を取り戻したいと誰もが願っているはずですが、今回はさらなるパンデミックの恐怖について書かせて頂きます。

冒頭から厳しいお話をします。今回のCOVID-19によるパニックは序章に過ぎず、今後より致死的で感染力の高いウイルスの発生およびパンデミックが起こる可能性があります。

私たち人類が「どうしてこんなに次々と新しい感染症が発生するのか?」を理解した上で対処しない限り、「起こるかもしれない」ではなく「いつ起こるのか」という観点で考えなければなりません。

家畜の「三密」はウイルスの培地にうってつけ

本当のパンデミックは、大量の畜肉を供給する工業的畜産から起こると予測されています。家畜の世話をする人の靴あるいはネズミ・ハエ等が野生動物のフンを畜産工場内に運ぶことによって病原体が侵入します。密集していて日光が入らない、風通しが悪くフンの始末が不十分な環境は、ウイルスや細菌にとって“格好の培地”となります。

まさに「三密」の条件がぴったり揃った過酷な環境下で飼育される動物にはストレスが蓄積していきます。同時に免疫力も低下します。言い換えれば、家畜のウイルスへの感染リスクが上がっているということです。

屠殺(とさつ;動物を食肉などにするため殺すこと)のために車に積まれる際には、さらにストレスがかかります。感染が広がった状態で屠殺され、汚染された状態で後日食肉として出荷されるのです。日本国内でも養鶏場や養豚場で集団感染が発生し、全家畜を処分したというニュースを度々目にします。

細菌に対しては抗生物質で対処が可能ですが、アメリカではなんと抗生物質の70%が家畜に投与されています。(ヨーロッパでは家畜への投与は禁止されています)鶏は抗生物質を毎日投与されると、菌と戦うためのエネルギーを体重増加に回すことができるので、ブロイラーは生まれてからおよそ6週間で食卓に上ることができます。

しかしながら、このように抗生物質の濫用が行われている現状では、抗生物質耐性菌が生まれてはまた新しい抗生物質が開発される・・・といったイタチごっこが続いてしまいます。そして、ヒトが感染症にかかったいざという時には効く薬がなくなってしまうのです。

パンデミックはこうして発生する

抗ウイルス薬が初めて開発されたのは1960年代のことです。この抗ウイルス薬は、中国の養鶏工場で飲み水に入れて投与されてきました。こうした背景があり、1997年に香港でヒトへの感染が確認されパンデミックを引き起こすことが恐れられた「鳥インフルエンザ(H5N1)」にはこの抗ウイルス薬は効かないものとなってしまいました。

コロナウイルスと同じRNAウイルスであるインフルエンザウイルスは複製の度に変異を繰り返す特性を持っています。水鳥の腸に感染し、水を介して感染を繰り返していたインフルエンザウイルスは、畜産工場内の陸上動物に感染すると腸以外の臓器に感染する変異種が生き延びることになります。

そうなれば、ヒトに対しても病原性と感染性の高いウイルスが出来上がります。そして、ここを起点に次なるパンデミックがやってくると考えられています。

本当に怖いパンデミックは、世界中にある畜産工場のどこかからか、あるいは食用の動物が生きた状態で売買される中国のウェットマーケット(生鮮食品を取り扱う市場)やニューヨーク等のライブバード・マーケットから発生するのです。

この内容は、マイケル・グレガー先生が昨年出版された『How to Survive a Pandemic』からのものです。本書は568ページのうち2/5が引用文献で構成されており、内容の全てが科学的根拠に基づいています。

マイケル・グレガー先生が4年前に執筆した『How Not to Die』も同様に、非常に多くの研究と論文を基に科学的事実のみから構成されています。『食事のせいで、死なないために』というタイトルで日本語版も出版されています。

あらゆる生活習慣病で死なないための方法は、プラントベースホールフード※1の食生活を実践することであり、次のパンデミックを起こさない方法は皆が肉、乳製品、卵を食べなくなることによって工場的畜産が行われなくなることです。

次回からは、プラントベースホールフードの食生活とは何か、植物性食品だけで栄養は足りるのか、がんや心臓病、糖尿病、腎臓病を改善する食事や美肌を作り若さを保つ方法など、計37年の形成外科医としての経験と10年間のPlantrician※2としての経験からお伝えしていきたいと思います。

 

 

※1:「プラントベースホールフードの食事とは、野菜や果物、穀物、豆類、木の実など植物性の食材をなるべく精製加工せず丸ごと食べること。肉や乳製品など動物性食品を一切摂らないと言う点ではヴィーガン・ベジタリアン(菜食主義)と共通するが、食事で病気を予防し治療するという観点では精製加工された穀類や糖類、油(白い穀物、砂糖、精製油脂)や加工食品を摂取するアンヘルシーなヴィーガン・ベジタリアンとは区別が必要となる。

※2:「Plantrician(プラントリシャン)」とは、Plant=植物、Nutrition=栄養、Physician=医師の3つの単語から成る造語で「植物の栄養を熟知し、活かしている医師」「病気を薬でなくプラントベースホールフードの食事で予防し治療する医師」を意味します。