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ヴィーガンとタンパク質【後編】

前回に引き続き、健康の維持増進のためにはどのようにタンパク質を摂るべきかをお話しさせていただきます。前編では植物性の食品からでも不足なくタンパク質が摂取可能であり、必須アミノ酸も問題なく摂取できることをお話ししました。

では、植物性タンパク質と動物性タンパク質を比較した時、その他の栄養素などの違いはどうなっているのでしょうか。

植物性タンパク質と動物性タンパク質、含まれる栄養素の違い

プラントベースでタンパク質を摂取すれば、炎症を軽減するビタミン・ミネラル、抗酸化物質、治癒を促進するファイトケミカル、満腹感を与えて便秘を避け、コレステロールとエストロゲンを分解してガンから保護する食物繊維などを一緒に摂取できます。この中でも特に食物繊維は植物にしか含まれないため重要な成分です。

一方でタンパク質を動物性食品から摂取すると、炎症を起こし2型糖尿病や動脈硬化などを引き起こす飽和脂肪酸、ヘム鉄、食餌性コレステロールを一緒に摂ることになります。加えてビタミンや抗酸化物質は非常に少なく、食物繊維やファイトケミカルは全く含まれていません。

動物性タンパク質摂取による主なリスク

さらに、植物性から摂取するタンパク質は消化吸収が良く利用されやすいのに対し、牛や豚の筋肉や乳製品などから摂取する「動物性タンパク質」は消化されにくく、腸内で腐敗して様々な病気のもとになります。

総カロリー摂取量のうちの動物性タンパク質からのカロリーの割合が高いほど、肝臓がん発症のリスクが高まるというコリンキャンベル博士らの動物実験は有名です。また、動物性食品の摂取割合が多いほど、以下に記載する病気の発症リスクが高くなることが数多くの研究で明らかにされています。

  • がん
  • 高血圧
  • 心臓病
  • 脳梗塞
  • 糖尿病
  • 骨粗鬆症
  • アルツハイマー病
  • アレルギー
  • 自己免疫疾患
  • 黄斑変性 など
その他のリスク

動物からタンパク質を摂る弊害は他にもあります。定期的な赤肉(牛肉・豚肉)の摂取は、腸内細菌により腸管内でTMA(トリメチルアミン)の産生を促進します。腸から吸収されたTMAは、肝臓でTMAO(トリメチルアミン-N-オキシド)に変換されます。TMAOはマクロファージを泡沫化させることなどによってアテローム性動脈硬化を進展させ、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患の発症へとつながる可能性があると報告されています。

動物性食品を摂取していない人の腸にはTMAを産生する細菌が住んでいないため、たまに動物性食品を摂取したとしてもTMAは産生されません。

また、ハムなどの加工肉の製造過程で色を定着させるために使用される「亜硝酸ナトリウム」に発ガン性物質生成の可能性があるということはずっと以前から指摘されており、WHO(世界保健機関)はハム・ソーセージ・ベーコンなどの加工肉を「人に対して発がん性がある(Group1)」に、赤肉を「おそらく人に対して発がん性がある(Group2A)」に分類しています。

効率良くタンパク質を摂取する方法は「プラントベース」

驚くべきことですが、全てのタンパク質は植物に由来します。牧草、藻、葉、穀物、そして果物など、植物が成長する過程で土壌・空気・太陽からアミノ酸を作り出します。小魚から牛までのあらゆる種類の動物が植物を食べ、アミノ酸を吸収し健康で力強く成長していきます。

つまり、私たちが肉を食べて摂取できるタンパク質は、動物を通して植物から得ているのです。中間の「動物」を取り除けば、供給の大元である植物から直接(効率良く)タンパク質を摂ることができるのです。牛、ゴリラ、ゾウ、鹿、馬、キリンなどは野生では全て草食です。植物しか食べない彼らの筋肉量は少ないどころか十分であり、植物を食べるだけで大きく、そして力強く成長できることを証明しています。私たち人間も例外ではありません。

アメリカ行政の取り組みとガン死亡率

「肉の消費を少しでも減らすことが健康の改善、ひいては温室効果ガスの排出削減にもつながる」との考えから、アメリカではサンフランシスコなどの公立校やニューヨーク市の全生徒にベジタリアンの食事を提供する「ミートレスマンデー(肉抜きの月曜日)」という取り組みが実施されています。

これは行政レベルで食と健康の関係に気付き、市民の健康のために行動し始めた結果です。“日本人の食事は健康的”というのは過去のことであり、アメリカと日本における野菜の摂取量は1990年代に逆転しました。その結果を裏付けるように、ガンによる死亡率がアメリカで低下しているのに対し、日本では増加しています。

答えは「不足しない」

生まれた時からヴィーガンの人たちは健康でたくましく育っていますし、人生の途中でヴィーガンになった人たちは以前よりも体調が良くなったことを実感します。パワフルなパフォーマンスを見せてくれるアーティストやアスリートにもヴィーガンの方がたくさんいらっしゃいます。どの年代にもどんな人にも、タンパク質が不足するということはないのです。

プラントベースで不足なくタンパク質が摂取でき、動物性よりも消化吸収に優れ、そして健康に必要なその他の栄養素も一緒に摂れる、さらには地球環境の維持にも貢献できるとしたら、皆さんは何からタンパク質を供給することを選択されますか?





<参考文献>

  • プラントベースホールフード食生活スタートガイド(Plantrician Project.org)