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「DMSO ― 忘れられた治療薬」その2

この記事の執筆者

一般社団法人 日本オーソモレキュラー医学会

医療の分野では、広範な治療効果があり、毒性が最小限の治療薬が常に求められてきました。ナイアシン、ビタミンC、ビタミンD、NAD+、グルタチオン、マグネシウム、イベルメクチンなどは、この基準を満たしています。しかし、安全性、有効性、汎用性の観点からさらに注目に値する治療薬が存在し、それがDMSO(ジメチルスルホキシド)です。

先週に続き、DMSOに関する使用方法や注意事項について解説します。

DMSOの使用方法

DMSOの最も簡単な使用方法は、局所または体内に適用することです。これらの方法は非常に安全であり、慢性疾患や急性疾患を抱える多くの患者に有益です。

一般的な適用濃度は70%の溶液で、ほとんどの人に耐えられるとされています。使用前には患者の過敏症を確認することが重要です。過敏症は約2000人に1人の割合で発生します。使用後に一時的なかゆみや発赤が起きることは一般的で問題ありませんが、適用部位以外に蕁麻疹や発疹が現れた場合は過敏症反応の可能性が高いです。確認のためには少量のDMSOを皮膚の小さな部分に塗布し、数分待ちます。

慢性の痛み、瘢痕組織の柔軟化、捻挫や打撲などに対しては、特定部位に局所塗布する方法が推奨されます。部位を清潔にしてから70% DMSOで患部に塗布し、乾かします。これを数日おきに数か月、あるいは一部の状態では数年間繰り返すことができます。

局所投与が不十分な場合、経口投与も可能です。ジュースに100%のDMSOをティースプーン1杯加え、1日1回服用し効果を観察します。全身の関節痛や線維筋痛症、自己免疫疾患を抱える方は、1日に2回目の服用が必要な場合もあります(後日ティースプーン1杯を追加)。ただし、DMSOは排尿を促進することがあるため、就寝前の服用は避ける方が良いでしょう。

緊急時でのDMSOの使用方法

脳卒中や頭部外傷、脊髄外傷のような緊急状態では、過敏症テストができない場合もあります。しかし、DMSOの医療用途が開始された1960年代以降、DMSOが原因の死亡や重篤な合併症は一度も報告されていません。脳卒中や頭部、脊髄損傷には、頸動脈、頭皮、脊柱を70% DMSOで塗布し、事故後24時間以内(可能な限り6時間以内)に行うことで多くの患者に完全回復をもたらすことが可能です。

これらの緊急時には筋肉注射および点滴投与も可能です。筋肉注射投与の場合、1~3mlの50~80% DMSOを1日1~2回、臨床反応が現れるまで使用します。点滴投与では、28% DMSO(1.12g/kgの濃度)を6時間ごとに高速点滴で投与し、頭蓋内圧が20mmHg以下になるまで続けます。

**外傷性脳損傷(TBI)**の治療には、以下の点に注意する必要があります:

  1. 酸素供給/換気の確保(必要に応じて)
  2. 頭蓋内圧(ICP)の低減
  3. 脳血流(CBF)の回復
  4. 正常血圧の維持
  5. 関連する損傷の特定
  6. 二次的脳損傷の防止

(American Association of Neurological Surgeons,J. Neurotrauma, 24, S-1, 2007)

DMSOが神経外傷の治療結果を改善する主なメカニズムは、重度の外傷性脳損傷(TBI)後に頭蓋内圧(ICP)を低下させることです。これにより脳灌流圧(CPP)が上昇し、CBFも増加します。CPP-CBFの増加により、十分な脳酸素供給が不足することで引き起こされる二次的損傷や脳血管の自律神経障害、神経代謝障害、興奮毒性細胞死を伴う炎症反応を回避することが可能です。(図1)

(図1)

注意事項

DMSOの機能の一つとして、キャリア溶液としての働きがあります。これは、難吸収性の分子を皮膚に塗布した後に体内へと運ぶ作用であり、多くのケースで非常に有益です。しかし、この特性がデメリットとなる場合もあります。たとえば、肌に化粧品やその他の化学物質など望ましくない物質がついている場合、DMSOがそれらも体内に取り込んでしまう可能性があります。これを防ぐため、使用前には皮膚を不必要な物質から清潔にしておくことが推奨されます。

結論

DMSOは医療において発見された中で最も安全で有用な物質の一つです。抗炎症作用、鎮痛作用、抗凝血作用、抗菌作用、抗がん作用、抗アミロイド(タンパク質シャペロン)作用など多くの効果を持ち、医療において見過ごされてきた治療薬として今後も頼りになる存在です。

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