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専門医が推奨する認知症予防・対策

認知症の多くは未だ根本的な治療法が見つかっていません。一方で、どのような要因が認知症のリスクを高めるかということについてはかなり明らかになってきています。

2020年に医学誌『The Lancet』で発表された論文では、中年期における聴覚の喪失・頭部外傷・高血圧・過度の飲酒・肥満や、高齢期における喫煙・うつ病・社会的な孤立・運動不足・大気汚染・糖尿病がリスク要因になることが報告されました。(1)

認知症予防のための食事

認知症の予防につながる食習慣としては「地中海食」が世界的に有名です。地中海食とはギリシャやイタリアの伝統的な食事を指していて、野菜・豆・果物・全粒粉・オリーブ油・魚・チーズ・ヨーグルトを多く使用するのが特徴です。さらに「MIND食」という高血圧対策の食事法と地中海食を合わせた食事法は、平均4.5年間の調査中アルツハイマー病のリスクを53%減らしたという報告があり、注目を集めました。(2)

その内容は、緑黄色野菜・ナッツ類・ベリー類・豆・未精製の穀物・魚・鶏肉・オリーブオイル・ワインを毎日食べる一方、鶏肉以外の肉・バター・チーズ・揚げ物・ファストフードは摂取しないようにするというもので、大変シンプルなものです。(2)

また、日本人を対象とした研究では、魚・野菜・海草・漬物・大豆製品・きのこ・いも・果物などを多く摂取するいわゆる「日本食パターン」においても認知症の発症リスクの低下が報告されています。(3)

「リコード法」と食事法

私がクリニックで実践している「リコード法」というアルツハイマー病の治療では、「ケトフレックス12/3」という食事法を提唱しています。この食事法の特徴としては植物主体のイタリアンであり、ゆるやかなケトーシス※1を目指すために1日のうち12時間の絶食時間を設けることが挙げられます。

また、前述の『The Lancet』の報告でも大気汚染について触れられていたように、有害物質の暴露が認知症のリスクに結び付くことがわかってきました。リコード法においては水銀などの重金属・カビ毒・石油由来成分・農薬などを念頭に置き、対策として浄水器を通した清潔な水を十分に飲むこと、HEPAフィルター(高性能空気フィルター)を備えた空気清浄機を設置すること、キャベツや大根などのアブラナ科の野菜を食べること、サウナで汗をかくといったことを推奨しています。

 

※1:通常時よりもケトン体濃度が上昇している状態

緑茶と役立つ栄養素

単一の栄養素で認知症を予防することは困難ですが、1日5杯以上の緑茶を飲む人は1杯未満の人に比べて認知症になりにくいといった報告があります。(4)

農薬の懸念も指摘されますが、認知症対策として緑茶を毎日飲むことは良さそうです。それに加えて、脳の健康維持に重要なビタミンB群・ビタミンD・オメガ3脂肪酸などを検査データを見ながら積極的に補充することは認知症予防にも役立つと考えられます。





<参考文献>

(1)Livingston, G. et al. Dementia prevention, intervention, and care: 2020 report of the Lancet Commission. Lancet 396, 413–446 (2020).

(2)Morris, M. C. et al. MIND diet associated with reduced incidence of Alzheimer’s disease. Alzheimer’s & Dementia 11, 1007–1014 (2015).

(3)Tomata, Y. et al. Dietary Patterns and Incident Dementia in Elderly Japanese: The Ohsaki Cohort 2006 Study. 71, 1322–1328 (2016).

(4)Tomata, Y. et al. Green Tea Consumption and the Risk of Incident Dementia in Elderly Japanese: The Ohsaki Cohort 2006 Study. Am J Geriatric Psychiatry 24, 881–889 (2016).