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緑茶を飲みたい3つの理由②緑茶と脳機能の改善

この記事の執筆者

鎌倉元気クリニック

一般社団法人日本オーソモレキュラー医学会 代表理事。鎌倉元気クリニック 名誉院長。 杏林大学医学部卒、同大学院修了。 医学博士。杏林大学医学部内科助教授を経て、2000年〜2008年同大学保健学部救 ... [続きを見る]

緑茶は日本人にとって馴染み深い飲み物です。現代では海外でもその需要は高まっており、今や世界基準の飲み物と言っても過言ではないでしょう。数多くある「お茶」カテゴリーの中の一つと言えばそれまでですが、緑茶には多くの作用があることをご存知でしょうか。

今回はそれらの作用の中からさらに大別し、緑茶の3つの魅力について解説していきたいと思います。第二弾となる今回は、緑茶と脳機能についてお話しします。

(緑茶を飲みたい3つの理由 ①緑茶と脂肪燃焼はこちら

脳機能の改善に役立つ

緑茶は頭の中をスッキリさせるだけでなく、脳機能の向上にも役立つかもしれません。緑茶の主要な有効成分は“興奮剤”として知られているカフェインです。コーヒーほどカフェイン含有量は多くありませんが(玉露は除く)、神経を興奮させるには十分な量が含まれています。

カフェインは睡眠物質の一つであるアデノシンの作用を抑制することで脳に影響を与えます。その結果、ニューロンを興奮させ、ドーパミンやノルエピネフリンなどの神経伝達物質の濃度を高めます。(1)(2)

ある研究では、カフェインが気分・覚醒状態・反応時間・記憶といった脳機能の様々な側面を改善できることを示しています。(3)

L-テアニンとの相乗効果で効果も倍に

そして、緑茶に含まれる脳を活性化する化合物はカフェインだけではありません。血液脳関門(脳にとって有害な物質が入らないように遮断する役割を持つバリア機構)を通過できるアミノ酸L-テアニンも​​含まれています。(4)

L-テアニンは抗不安作用を持つ抑制性神経伝達物質である「GABA」の活性を高めます。また、ドーパミンと脳内のα波の生成を増加させます。(4)(5)(6)

ある研究はカフェインとL-テアニンが相乗効果をもたらす可能性を明らかにしています。つまり、脳機能の改善において、この2つの組み合わせがより強力な効果を発揮する可能性があるということです。(7)(8)

また、L-テアニンとカフェインの含有量が少量である点を踏まえると、緑茶はコーヒーよりもはるかに穏やかで健康に対してもネガティブな印象を与えません。 コーヒーと比較した場合、多くの人が「緑茶を飲んだ方が安定したエネルギーを感じ、生産性が向上する」と報告しています。

脳を老化から防ぐ

緑茶は短期的に脳機能を改善するだけでなく、年齢を重ねる毎に脳を保護する可能性があります。神経変性疾患のアルツハイマー病は、高齢者における認知症の最も一般的な誘因です。(9)

もう一つの代表的な神経変性疾患であるパーキンソン病に関しては、脳内のドーパミン産生神経細胞の死を伴います。

いくつかの研究は、緑茶に含まれるカテキン化合物が試験管や動物モデルのニューロンに様々な保護効果をもたらし、認知症のリスクを低下させる可能性があることを示しています。(10)(11)(12)

まとめ

緑茶に含まれるカフェインとL-テアニンは、脳機能を改善する可能性が示されています。薬ではないため即効性には期待できませんが、認知症予防のための毎日の習慣として取り入れる価値はあるのではないでしょうか。





<参考文献>

  1. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1356551/
  2. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1600-0773.1995.tb00111.x
  3. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/j.1467-3010.2007.00665.x
  4. http://apjcn.nhri.org.tw/server/APJCN/17%20Suppl%201/167.pdf
  5. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17182482/
  6. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17928735/
  7. https://academic.oup.com/jn/article/138/8/1572S/4750819
  8. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4480845/
  9. https://www.nia.nih.gov/health/what-alzheimers-disease
  10. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15350981/
  11. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6493995/ 
  12. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26092629/

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