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健康のために補給したいミネラル“マグネシウム”

この記事の執筆者

SPIC Clinic

一般社団法人日本オーソモレキュラー医学会代表理事。スピッククリニック名誉院長。 杏林大学医学部卒、同大学院修了。 医学博士。杏林大学保健学部救急救命学科教授を経て、2008年より国際統合医療教育セン ... [続きを見る]

今年はやけに残暑が長いと思っていたら、突然肌寒い季節がやってきました。皆さまは疲れなど溜まっておりませんでしょうか。先週日本に大きな被害をもたらした台風19号の被害を受けた地域にお住まいの方の心労は計り知れません。今回は疲労感の解消にも役立つ「マグネシウム」を取り上げていきます。

近年のとある研究により、必須ミネラルの一つであるマグネシウムを十分に摂取することで、疾病を改善する可能性があることが明らかになってきました。逆にマグネシウムが欠乏すると、うつ・慢性疲労といった精神神経症状や心臓病・2型糖尿病などの生活習慣病を誘発する可能性があります。マグネシウム不足を回避するために取り入れられる食品としては、海藻類やナッツ類そして大豆製品などがあります。

サプリメントとして摂取する場合は、マグネシウムのなかでも便通促進作用が強い酸化マグネシウム以外のもの(塩化マグネシウムやクエン酸マグネシウムなど)をおすすめします。また、使用する際は栄養療法・オーソモレキュラー医学を実践している医師の指導のもと行って下さい。

不足しがちなマグネシウム

今日においてはビタミンC点滴やビオチン注射などの普及もあり、ビタミン類の重要性に関してご存知の方も多いかもしれません。その一方、陰の主役と言っても過言ではない栄養素が今回のキーミネラル“マグネシウム”です。

マグネシウムは、ミトコンドリアでエネルギー源となるATPの生成に必須のミネラルであり、私たちの健康維持のために欠かせません。しかしながら、海水から製塩したマグネシウム豊富な天然塩の使用頻度の低下、全粒穀物の消費量の減少に伴い、近年では食事からの十分なマグネシウム摂取が難しくなってきました。

マグネシウム不足が誘因となる病気

マグネシウムが欠乏することで、以下をはじめとする数多くの疾病を誘発し、悪化させる可能性があります。

  • 「うつ」「慢性疲労」などの精神神経症状
  • 「心臓病」「2型糖尿病」などの生活習慣病

マグネシウムによる疾病改善の実際

ケース1:心臓病

心臓病専門医として大学病院に勤務していた頃の話です。

私がマグネシウムに関心を持つきっかけとなったのは「慢性心不全の時には心筋細胞のマグネシウム量が半減している」と発表した論文です。この時代、私は栄養療法の重要性についてそれほど認識していなかったため、正直半信半疑でした。ですが、当時米国で実施されていたプログラム(魚菜食、運動療法などを取り入れた心臓病治療)に感銘を受け、同一の研究を日本でも行うことを決めました。その結果、劇的な症状の改善がみられました。その後改めて当時の食事を分析したところ、高マグネシウム食が大きな特徴として挙げられたのです。

ケース2:がん治療

2015年ブラジルサンパウロ州のABC大学医学部腫瘍内科の研究グループがある実験を行いました。研究内容は、南米産ガラナの実抽出物質が与える乳がん患者への効果についてです。このような研究を彼らが行ったのは、ガラナの実ドリンクには化学療法の実施による倦怠感を軽減することが知られていたためです。

さて、まずこの研究結果を述べると、乳がん患者の倦怠感の改善はたしかに確認できました。それと同時にプラセボにも効果があることが判明しました。この結果を受け、研究者たちが成分を調べたところ、ガラナにもプラセボにもマグネシウムがおよそ100mg含まれていたのです。彼らは解析を重ね、2017年11月に「マグネシウムはQOL改善に直接作用し、ガラナ抽出物質の効果を増強する」と論文を発表しました。

また、スティーブン・ヒッキー博士(英国出身)は、「がん治療における栄養療法においては、ビタミン群とアルファリポ酸、そしてマグネシウムが重要である」と述べ、マグネシウム300mgの投与を推奨しています。

食事からのマグネシウム摂取

オーソモレキュラー医学の基本として、まずは可能な限り食事からのマグネシウム摂取が大切です。マグネシウムを含む食品を下記に挙げます。

  1. 海水から製塩された塩
  2. 海苔・ひじきなどの海藻類
  3. ナッツ類
  4. 豆腐・納豆などの大豆製品
  5. 玄米

サプリメントから摂取するには

ほとんどのマグネシウムサプリメントには、便通促進作用があります。特に酸化マグネシウムはその傾向が顕著であるため、マグネシウムの補給には不向きです。サプリメントでの補充をする場合には塩化マグネシウム、クエン酸マグネシウム、グリシン酸マグネシウムを使用するのがよいでしょう。また、安全かつより効率的な摂取のためにも、自分自身で判断せず専門医への相談を推奨します。

また、おすすめなのが入浴剤としてのエプソム塩(硫酸マグネシウムを多く含む)の使用です。入浴剤ですので、安心して使用できます。使用方法としては、就寝前の入浴時に100gほど入れ、しっかりと浸かることで睡眠および血流改善を促します。

まとめ

今回お話ししたように、マグネシウムは健康維持のためには欠かせない栄養素です。そして様々な疾病の改善にも効果があることが直近の研究にて徐々に明らかになってきています。ビタミン類に続き、マグネシウムの重要性を1人でも多くの方に知っていただけたらと思います。





<参考文献>

  • Ralston MA, Murnane MR, Kelley RE, et al.: Magnesium content of serum, circulating mononuclear cells, skeletal muscle, and myocardium in congestive heart failure. Circulation. 80:573-80, 1989.https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/2766510
  • de Oliveira Campos MP, Riechelmann R, Martins LC, et al: Guarana (Paullinia cupana) improves fatigue in breast cancer patients undergoing systemic chemotherapy. J Altern Complement Med. 17:505-12, 2011.https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21612429
  • Sette CVM1, Ribas de Alcântara BB1, Schoueri JHM et al: Purified Dry Paullinia cupana (PC-18) Extract for Chemotherapy-Induced Fatigue: Results of Two Double-Blind Randomized Clinical Trials. J Diet Suppl. 2018 Sep 3;15(5):673-683https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29190155
  • Hickey S and Roberts H: “Cancer breaktroough”, 2007. Lulu.com.

<マグネシウムに関する過去の記事>