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メンタルヘルスは食事から~栄養精神医学の重要性~

この記事の執筆者

医療法人山口病院

「メンタルヘルスは食事から」をモットーに、うつ病や認知症などのメンタル不調者に対して、食事栄養療法を中心とした診療を行っている。 また、栄養精神医学とともに、東洋医学が専門。大学の東洋医学科で10年 ... [続きを見る]

「栄養精神医学(Nutritional Psychiatry)」は、食事や栄養がメンタルヘルスに与える影響を研究する精神医学の一分野です。

近年、心や脳の健康に関連する疾患(うつ病、不安障害、発達障害、認知症など)の増加に伴い、栄養や腸がどのように精神的な健康や認知機能に影響を与えるかが注目されています。日本における「栄養精神医学」の学会は、私、奥平智之の「メンタルヘルスは食事から」に賛同する全国の精神科医が集まり、2016年に「日本栄養精神医学研究会」として発足しました。2025年の創立10周年を機に「日本栄養精神医学会」に移行します。本会は「メンタルヘルスにおける食事・栄養療法」(栄養精神医学)に興味関心がある方は、どなたでも参加することができ、年1回の学術総会と毎月各種イベント・セミナー・交流会などを主催・共催等の形で企画しています。https://www.eiyoseishin.com/procedure 食事や栄養を通して一人でも多くのメンタル不調者が救われるよう啓発活動をしています。

メンタルヘルスにおける「栄養精神医学(Nutritonal Psychiatry)」の重要性

栄養精神医学は、精神医学における新しい分野であり、多くの精神疾患の予防と治療において、栄養面からのアプローチが補助的役割を果たすという有望な研究があります1)。最近では、精神疾患の発症に関与する神経伝達物質、腸内細菌叢、神経ペプチド、免疫系に、食事の内容が重要な役割を果たしていることを示すエビデンスが示されるようになりました。しかし、日本の医学教育の中で、栄養精神医学の教育はほとんどなされていない現状があり、カウンセラー・心理士などのメンタルヘルスの専門家においても、同様です。

2021年のメルクルらの国際的な横断的調査では、52か国の1056人のメンタルヘルスの専門家を対象に、栄養医学の知識や教育、食事療法やサプリメントなどの利用状況について調査した報告があります2)。

精神科医(74%)と心理学者(66%)の大多数は、栄養の研修を受けていないと報告しました。それでも、多くの医師が栄養学的なアプローチを採用しており、59% がサプリメントを、44% が患者に特定の食事療法を推奨しています。栄養精神医学に関する教育が十分になされていると評価したのは、参加者のわずか 0.8% でした。ほぼ全員 (93%) が「栄養精神医学(Nutritional Psychiatry)」に関する知識を広げたいと答えました。

「メンタルヘルスは食事から」に賛同する精神科医師が増えている

日本における「栄養精神医学」の学会は、奥平智之の「メンタルヘルスは食事から」に賛同する全国の精神科医が集まり、2016年に「日本栄養精神医学研究会」として発足しました。2025年で創立10周年となり「日本栄養精神医学会」に移行します。本会は「メンタルヘルスにおける食事・栄養療法」(栄養精神医学)に興味関心のある方は、どなたでも参加することができ、年1回の学術総会と毎月各種イベント・セミナー・交流会などを主催・共催等の形で企画しています。https://www.eiyoseishin.com/procedure

食事や栄養を通して一人でも多くのメンタル不調者が救われるよう啓発活動をしています。https://www.dr-okudaira.com

メンタル不調者の女性は子供に多い「鉄欠乏女子(テケジョ)」を救え!3)4)

メンタル不調者の女性や子どもの背景に、代表的なものとして鉄欠乏症があります。そして、周産期における栄養の問題は、子どもの精神疾患のリスクにつながります。

メンタル不調者は血液検査を必ず行い、貧血の有無に関わらず「鉄欠乏症」が確認されたときは、医療機関で適切な対応がなされなければなりません。しかし、鉄欠乏の症状があるから、と自己流で鉄サプリをたくさん飲むことは危険です。鉄欠乏の症状が出ていても、鉄サプリを積極的に飲んでいい場合と、飲まない方がよい場合があります。そのため、精神科の医療機関を受診した時に、栄養精神医学の知識のある医師やカウンセラーのもとで、適切なアドバイスを受けられることが大切です。

ある企業において、精神科医が産業医面談において栄養療法を積極的に取り入れたところ、精神科薬が必要な人が5割から3割に減りました5)。

栄養精神医学の知識は「早期発見・早期栄養医学的介入」につながります。メンタルヘルスにおける臨床現場での食事療法や栄養療法の普及が急務です。

【参考文献】

  1. Martins, L. B., Berk, M., Ferreira, A. V. M.,et  al. (2023). Nutrition and brain: bidirectional link in neuropsychiatry disorders. Frontiers in nutrition, 10, 1212075.
  2. Mörkl, S., Stell, L., Buhai, D. V.,et al. (2021). ‘An Apple a Day’?: Psychiatrists, psychologists and psychotherapists report poor literacy for nutritional medicine: international survey spanning 52 countries. Nutrients13(3), 822.
  3. 奥平智之:マンガでわかるココロの不調回復 最新版食べてうつぬけ~鉄欠乏女子(テケジョ)を救え!,主婦の友社,2017
  4. 奥平智之:鉄欠乏,周産期の栄養,周産期医学,東京医学社,2022.vol.52
  5. 奥平智之:血液栄養解析を活用!うつぬけ食事術.KKベストセラーズ,2019

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