本邦で「コロナ後遺症」と呼ばれているPost-acute COVID-19 syndrome(PACS:新型コロナウイルス感染症罹患後症候群)においては、ブレインフォグ、記憶障害、集中力の低下、睡眠障害、抑うつ気分などの神経精神症状を呈することが多い。
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【国際栄養医学シンポジウム2022連動記事 第12弾】COVID-19禍における栄養精神医学~コロナ後遺症~
2022年9月18日、19日の2日間で開催する「国際栄養医学シンポジウム2022(日本オーソモレキュラー医学会 第4回総会)」では、健康・栄養分野において活躍されている著名な講師陣をお招きし、多彩なプログラムをご用意しています。
さらに今回は、初の試みとなる日本オーソモレキュラー医学会ならびに点滴療法研究会の合同開催となります。
JSOMウェブメディアでは本学会の開催に先立ち、各講師の講演内容について順次ご紹介していきたいと思います!第12回目となる今回は、1日目・18日にご講演いただく奥平 智之先生の「COVID-19禍における栄養精神医学~コロナ後遺症~」をピックアップし、ご紹介いたします。
COVID-19禍における栄養精神医学~コロナ後遺症~
栄養精神医学の立場から最新の知見を交え、コロナ禍における栄養の重要性について論じる。
コロナ後遺症においては、30〜60%程度で疲労感が一番多く、次いで気分や認知の障害が目立ち、不安・うつ、睡眠障害、認知障害がそれぞれ20~30%程度ほどみられる。
疲労感を中心としたこれらの症状の背景にある病態として考えられるのは、①炎症、②酸化ストレス、③免疫応答の障害、④タンパクの異化亢進などである。
これらはビタミン、ミネラル、タンパク質の需要増につながるため、栄養状態を積極的に最適化することが望ましい。また、ミトコンドリアにおけるATP産生効率をいかに高めるかという観点からも、これらの病態についてアプローチする必要がある。
特に神経細胞はミトコンドリアが豊富な細胞で、ミトコンドリア機能障害の影響も大きい。栄養面を最適化した後に、断続的な断食(ファスティング)を行うことでマイトファジーが促進され、抗炎症・抗酸化・免疫調節の一助となることが期待できる。
コロナ後遺症に対しては、栄養療法とともに睡眠衛生指導や運動指導を積極的に考慮したい。
まずは、規則正しい睡眠の確保。概日リズムは全細胞代謝、とりわけミトコンドリア活性に影響を与える多くの転写―翻訳プロセスを調節する。そのため、概日リズムの乱れはミトコンドリアの形態変化と機能障害を引き起こす。
睡眠時に分泌されるメラトニンや習慣化された適度な運動は、抗炎症・抗酸化・免疫調節に寄与し、ミトコンドリア機能を高めることにつながる。運動は主にミオカイン放出と脳由来神経栄養因子(BDNF)を介して海馬の神経新生とシナプス形成を促進し、認知機能障害を予防する。
当日は、コロナ後遺症に対する栄養精神医学的なアプローチの詳細を紹介したい。
※奥平 智之先生の講演は、9/18(日)15:00より開始予定となっております。
※国際栄養医学シンポジウム2022へ参加ご希望の方は、こちらよりお申し込み下さい。
※講演プログラムの演題は配信日時点のものとなります。当日変更となる場合がございますので、その点ご留意いただきますようお願い申し上げます。
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