ログイン 会員登録

ワクチン接種前、私たちが「今」できること【後編】

この記事の執筆者

鎌倉元気クリニック

一般社団法人日本オーソモレキュラー医学会 代表理事。鎌倉元気クリニック 名誉院長。 杏林大学医学部卒、同大学院修了。 医学博士。杏林大学医学部内科助教授を経て、2000年〜2008年同大学保健学部救 ... [続きを見る]

新型コロナワクチンの接種がスタートしましたが、全国民がワクチンを打てるまでにはまだ時間がかかりそうです。
そこで今回は、「ワクチンを待つ間に自分ができること」をまとめてみました。

・ワクチンを打つまでの予防を行いたい方
・ワクチンを打つことができない方
・ワクチンをできれば打たずに対策したい方

に特にご覧いただきたい内容となっています。

こんな時代だからこそ、自分でできる対策を始めていきませんか?

(【前編】はこちら

新型コロナに負けないための生活習慣7か条

国民全員へのワクチン供給の目処が立っていない中、私たちができる対策を私なりにまとめてみました。計7つとなったので、『新型コロナに負けないための生活習慣7か条』と命名しようと思います。

【第1条】まずは手洗い・マスク・ソーシャルディスタンス

この記事をご覧いただいている方においてはすでに徹底されている方が多いかと思いますが、手洗いとマスクは感染症予防対策の基本中の基本です。新型コロナの拡大に伴い、マスクの有効性については大きく見直され始めています。マスクなしで自由に外出できる日が戻るまでは、自分や家族、そして私たちが暮らしている社会を守るためにも外出時や誰かと会う時は必ずマスクを着用して下さい。

「マスク」「手洗い」「ソーシャルディスタンス」の習慣化は最大の防御になるでしょう。

【第2条】カラフルな野菜と肉魚をバランスよく

家族や友人と楽しい食卓を囲むことは、心の健康にとってもプラスになります。とはいえ、ファストフードやコンビニ弁当など、いわゆるジャンクフードばかり食べていたのでは体に良い影響を与えません。

ここでおすすめしたいのが、毎日の食事にカラフルな野菜を取りそろえることです。野菜の色には、それぞれ特有の栄養素があります。例えば、トマトの赤ならリコピン、ナスの紫にはアントシアニン、ほうれん草やニンジンなどの緑黄色野菜にはβカロテンやビタミンCが豊富に含まれています。このように、野菜の色を多くそろえるだけで自然と豊富な栄養素が摂れるものです。

野菜に加えて、肉と魚をバランスよく食べることも大切です。毎日肉、毎日魚と偏り過ぎずに「今日は肉を食べたから明日は魚」「昼食は魚だったから夕食は肉にしよう」など、工夫しながら交互に食べられると良いですね。特に魚にはビタミンD、貝類には亜鉛やマグネシウムが多く含まれています。こうした食材を日々の食事に積極的に取り入れることをおすすめします。

【第3条】対コロナ三大栄養素は「ビタミンC」「ビタミンD」「亜鉛」

新型コロナに負けない体を作るために必要な栄養素として、国際オーソモレキュラー医学会では下記5つの栄養素の摂取を推奨しています。

  1. ビタミンC
  2. ビタミンD
  3. 亜鉛
  4. セレン
  5. マグネシウム

なかでも、ビタミンC、ビタミンD、亜鉛は新型コロナの感染と重症化の予防に必須の栄養素です。全国のサプリメントメーカーの製品を調査したところ、上記の成分を満たすサプリメントの1ヶ月当たりの費用は3000円〜6000円、1日分にして100円〜200円ほどです。この金額は、健康のための投資としては決して高いものではない、と私は考えています。今日ではこうしたサプリメントもインターネットで簡単に購入できます。

ビタミンC、ビタミンD、亜鉛の補給は、新型コロナの予防のほか花粉症などのアレルギー症状やうつ病、ひいてはがん予防に有用である可能性について医学的に証明されています。そして、これらはアンチエイジング、老化を緩やかにする際にも役立つ栄養素です。この投資は、あなたとあなたの家族に「健康」という、他の何にも代え難いものを与えてくれるでしょう。

【第4条】加工食品と糖質は極力控える

普段何気なく食べている加工食品や工場で作られたパンやお菓子には、様々な添加物が含まれています。添加物は人間の体内には元来存在しないものが多く、病気の発症リスクを高め免疫力を低下させる可能性があります。自分と将来生まれてくる子どもの体に与える影響を考えると、できるだけ加工食品を控えることが望まれます。

また、加工食品だけでなく糖質の摂取に関しても注意が必要です。過剰な糖質は体内で炎症を引き起こす原因となります。新型コロナにおいては肥満傾向の人や日常的に糖質を過剰摂取している人、糖尿病予備群や糖尿病の人は回復が遅く、さらには重症化リスクも高まると言われています。

特に、空腹時に糖質だけを単体で摂取することは避けて下さい。糖質を摂るのなら、かぼちゃや芋類をふかしたものを食べるのがおすすめです。これらに関しても食べ過ぎには注意ですが、かぼちゃにはβカロテンやビタミンE、芋類にはビタミンCや食物繊維が多く含まれています。

【第5条】質の良い睡眠を確保する

睡眠は免疫力を高めるために欠かせないものです。夜更かしをせず、十分な睡眠を取るように心がけて下さい。睡眠に関しては、睡眠時間の長さだけでなく質の良さにも気を配ることが大切です。質の良い睡眠とは、以下の3点を満たしている睡眠とも言えるでしょう。

  • 寝付きが良い
  • 「ぐっすり眠れた」という実感がある
  • 起床時、目覚めが良い

次に、質の良い睡眠を取るために重要な2つのポイントをお伝えします。

①就寝3時間前には夕食を済ませる

・・・夕食後、間を空けずに寝てしまうと睡眠時間が十分であっても眠りが浅くなり、疲労が抜けにくくなります。帰宅から就寝までの時間が短い時は、消化の良い食品を少量摂る程度に留めましょう。 

②就寝1〜2時間前にお風呂に入る

・・・入浴は睡眠の質を高めるために効果的です。一時的に体温を上げてからもう一度下げることで眠気が誘発されます。また、湯船に浸かると体温が上昇し、血液を温めてくれるので、血液と免疫細胞の循環が改善されます。

【第6条】軽い運動やヨガ、瞑想は心身のリフレッシュに

運動をすると筋肉が動き、体温が上昇します。体温が高くなると、血液中の免疫細胞が活性化されて、結果として免疫力の向上にもつながります。軽い運動やヨガはストレス解消にも効果的です。

私たちの体には「交感神経」と「副交感神経」という2つの自律神経があります。交感神経は激しい運動や日中などの活動時に優位となり、血圧を上げて心臓から全身の臓器に送る血液量を増やす働きがあります。一方、副交感神経は睡眠時といったリラックスしている時間に優位となる自律神経です。

免疫機能は、交感神経と副交感神経とが交互にバランスよく働くことで正常に機能します。

軽い運動をして血管が拡張すると、副交感神経が優位になります。同様に、瞑想をして心をすっきりさせることも副交感神経の働きを高めます。毎日の習慣に軽い運動やヨガ、瞑想を取り入れるのは心身の健康のためにも役立つでしょう。

注意点

ここで注意していただきたいのは、運動の強度です。適度を超えて体に大きく負荷をかける過度な運動は、コルチゾールやカテコールアミン※1 といったストレスホルモンの過剰分泌をもたらし免疫機能を低下させます。じんわりと汗をかく程度の軽い有酸素運動がおすすめです。

※1:副腎髄質から分泌されるホルモン

【第7条】家族や友人とのコミュニケーションは良薬に

ステイホームが習慣となり、以前と比べるとリモートワークの導入も進んできたように窺えます。そんな中、家で過ごす時間が増えた方もおられるかと思います。自分の時間を楽しめるというのはとても素敵なことです。しかしながら、孤独感の蓄積および増強は免疫力を下げる一因となります。もし、「最近誰とも話していなくて寂しい」と感じる方は、家族や友人などと話す機会を積極的に作りましょう。

孤独は、心臓や脳の血管系疾患の発症リスクを高める恐れがあります。また、免疫力が下がり、肺炎や呼吸器系の疾患にかかりやすくなります。そのほか、孤独は糖尿病・がん・認知症・抑うつのリスクだけでなく自殺を引き起こすという研究もあるのです。

三密を避けること・不要不急の外出を避けることは、感染予防の観点から必要であるのは明らかです。そうは言っても最低限の人との接触まで断てば、コロナに感染しなくても心の健康の損失につながりかねません。孤独が免疫力を下げる“元凶”であるなら、家族や友人、地域とのコミュニケーションは免疫力を高めるための最高の「くすり」と言えるかもしれませんね。

もし新型コロナに感染したら?万が一の時にできること

どれだけ注意しても、感染対策を徹底していたとしても、その時の体調が悪ければ新型コロナに感染してしまうことだってあるでしょう。それでは、万が一感染したらどうすれば良いのか。「医師任せ」「病院任せ」で済ませるのではなく、何か自分でできることはないのでしょうか。

初期感染の段階で自宅療養や入院治療となった時には、下記3種類のサプリメントをなるべく早い段階で摂取することを推奨します。タイミングの見極めとしては、風邪症状があるものの、新型コロナかどうかはまだわからない時点から摂るのがベストです。

  1. ビタミンC:1回2g/1日3〜4回
  2. ビタミンD:1回5000IU (125㎍)/1日1回
  3. 亜鉛:1回100mg /1日1回

今こそ、予防意識を高める必要性が問われている?

日本の医療機関で行われている新型コロナの治療では、ビタミンCやビタミンD、亜鉛といったサプリメントは処方されません。栄養療法は保険適用外となるためです。しかし、ビタミンCやビタミンD、亜鉛は市販されているサプリメントなので、自分で対処することが可能です。

予防の段階から自分でできることはやっておく。そして、万が一ウイルスに感染した場合は、重症化させないためにできる限りの対処を行う。こうした行動が変異を繰り返すウイルスと対峙せざるを得ない今日において、医療現場を守っていくためにも重要になっていくと考えています。こんな今だからこそ、「自分の体は守れる範囲で自分で守る」という意識が必要ではないでしょうか。

今回ご紹介した『新型コロナに負けないための生活習慣7か条』全てを実践するのは難しいかもしれませんが、「これなら今の自分でも取り入れられる」という習慣や対策を一つでも発見し、あなた自身や周りの方の健康のために導入していただくきっかけとなれば本望です。

柳澤 厚生 (ヤナギサワ アツオ)先生の関連動画

同じタグの記事を読む