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若者の自殺率が高い日本、今こそ必要なオメガ3脂肪酸

この記事の執筆者

SPIC Clinic

一般社団法人日本オーソモレキュラー医学会代表理事。スピッククリニック名誉院長。 杏林大学医学部卒、同大学院修了。 医学博士。杏林大学保健学部救急救命学科教授を経て、2008年より国際統合医療教育センター所長。2011年国際オーソモレキュラー医学会殿堂入りし、2012年より国際オーソモレキュラー医学会会長。

日本オーソモレキュラー医学会です。
皆さんは「自殺が多い国」と聞いてどの国を思い浮かべますか?

実は、世界的にみても日本の若者の自殺率は飛び抜けています。厚生労働省が公表した自殺対策白書によると、2014年における15〜34歳の死因の第一位は自殺であり、その死亡率は人口10万人あたり17.8人でした。この数値は、同時期のフランス(8.3人)、ドイツ(7.7人)、カナダ(11.3人)、アメリカ(13.3人)、イギリス(6.3人)、イタリア(4.8人)と比べても著しく高いです。国や地方自治体は、若者の自殺を減らすためにメンタルヘルスや職場・家庭内で行われるコミュニケーションへの介入を行っていますが、今日においてはもっと成果の上がる方法が求められています。

そうした中、魚(とりわけ青魚)に多く含まれ、記憶力維持や中性脂肪値の低下に作用する栄養素として知られるオメガ3不飽和脂肪酸であるDHA(ドコサヘキサエン酸)の摂取が、若い米軍兵士の自殺リスク減少に貢献していることがわかりました。

米軍保健衛生大学の研究チームは、2002年から2008年の間に自殺した米軍兵士800人と年齢・性別・軍歴が一致する兵士800人の血液中脂肪酸を比べました。
その結果、DHA濃度の高い上位1/8のグループに比べ、下位1/8の兵士のグループの自殺リスクは62%上昇しました。とりわけ男性兵士にいたっては、75%も上昇するという驚きの数値になりました。この研究により、DHA濃度を高めれば、自殺のリスクから兵士を守ることができる可能性が導き出されたのです。
DHAは脳の神経組織に集積し、健常な神経活動に機能する必須の栄養素です。オメガ3は人間の体の中では生成できず、主に海産物の摂取により体内に取り入れます。オメガ3脂肪酸の欠乏は、戦闘状態のストレスに対する適応障害・うつ病・衝動的暴力や自殺などを誘発する原因となり得る不安定な心理状態を招くと報告されています。

この研究では、オメガ3多価不飽和脂肪酸の摂取が自殺のリスクをどのくらい減らせるかは明らかにされていませんが、1日2gのEPAとDHAの摂取によって自傷行為のある若者の自殺想起を45%、うつ状態を30%減らすという研究は行われています。

低DHA血症は、低コストで食事やサプリメントからの摂取により改善することができます。既にアメリカ精神医学会では、精神疾患の患者に対して、少なくとも毎日1gのオメガ3多価不飽和脂肪酸の投与を推奨しています。うつ状態で自殺予防が必要な若者もしくは過去に自殺企図があった若者には、DHAを主体としたオメガ3多価不飽和脂肪酸の摂取が推奨されます。

オーソモレキュラー医学会としても、オメガ3多価不飽和脂肪酸の摂取により、うつ症状の緩和が期待できる点を多くの方に知って頂きたいと思います。

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