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専門家が実践しているコロナ予防対策〜大学教授・川嶋 朗先生の場合〜

この記事の執筆者

東京有明医療大学 保健医療学部鍼灸学科

『専門家が実践しているコロナ予防対策』第三弾では、川嶋 朗先生(東京有明医療大学)の予防対策をお届けします。川嶋先生が予防のために心がけていること、世界と日本の感染状況、中国で新型コロナ患者の治療に用いられた「三方三薬」とは?

正しく怖がるべき

新型コロナウイルスにより医療崩壊が危ぶまれていると言いますが、我が国の病床数は約1,600,000床で、このうち2%程度しか新型コロナウイルス対策病床としては使われていない(これはおそらく病床数と比較して医療スタッフが少ないことと新型コロナウイルスがエボラウイルス以上の扱いのゾーニングになっているため?)のです。

また、高齢者が重症化して入院すれば入院期間が長くなるのは周知の事実であり、これに伴う病床ひっ迫も当然です。

マスコミは毎日感染者(実際はPCR陽性者)の実数ばかりを発表していますが、分母(検査数)についてはあまり報道せず、実数が下がると検査数の問題を少し表に出します。恐怖心を煽っていた方が注目されるからでしょうか。それとも、自粛には恐怖心が必要だからでしょうか。

日本において深刻化するのはコロナ感染のみではない

さて、日本における新型コロナ関連死は2020年2月13日に初めて確認されてから2021年4月26日までの1年2か月余りで1万人を超えました。

2021年7月9日17時現在の累計死者数は606,475人の米国を筆頭とし、ブラジル530,179人、インド405,939人、メキシコ234,458人、ロシア138,441人、イギリス128,336人、イタリア127,731人、コロンビア111,155人、フランス110,344人、ドイツ91,197人で日本は14,934人です。

日本の2018年の死者数を死因順位別にみると、悪性新生物(腫瘍)373,547人、心疾患(高血圧性を除く)20,8210人、老衰109,606人、脳血管疾患 108,165人、肺炎で94,661人、不慮の事故41,238人(転倒・転落・墜落9,645人、不慮の窒息8,876人、不慮の溺死および溺水8,021人)、自殺20,031人などとなっております。ちなみに、2019年までのインフルエンザの感染者数は約10,000,000人でその関連死は約10,000人です。

新型コロナウイルスの感染者数あたりの死亡率は50代で0.3%、40代で0.1%(インフルエンザ並み)、30代以下においてはインフルエンザよりも低い値となります。あくまでわが国においてですが、変異株も含め感染力は強いとはいえ、新型コロナウイルス感染症は臨床的に“恐ろしい疾患”なのでしょうか。

深刻なのは、うつによる自殺者の急増です。2003年より減少し続けていた自殺が2021年に増加(男性は減少したのに対し、女性は増加傾向にある)に転じ、しかも女子高生や女子中学生さらには子どもの自殺まで増えたそうです。おそらく長引く外出自粛によってうつが増加したためと考えられます。

60歳未満の死亡は全体の5%余と低いので、高齢者および高齢者と接する機会のある方は十分に予防を徹底する必要があります。日本において、それ以外の60歳未満の方については正しく怖がって、日頃から飛沫感染予防および接触感染予防を心がければ、自殺や倒産が増えてしまうような現状を何とか改善できるような社会を目指しても良いのではないでしょうか?

日常生活で心がけていること

自分自身の食事バランスが決して良いとは言えないため、EPA・DHA、マルチビタミン・ミネラル、食物繊維、プレバイオティクス、霊芝を毎日服用しています。間食は基本的にしません。

筋肉は加齢に伴って衰える速度が増すので、60歳を過ぎてからはこれまで以上に身体に負荷をかけるようにしています。具体的には週2回の自転車通勤(往復25㎞)と週1回の筋トレおよび1㎞の水泳を行っています。

睡眠に関しては元々ショートスリーパーでしたが、最近では睡眠時間を6時間以上はとるように心がけています。

COVID-19対策:イベルメクチンの可能性

マスクは不織布のものを使用し、粘膜に触れる前に必ず手洗いあるいはアルコール消毒の徹底に努めています。

また、有効か無効か論争中ではありますが、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部が2020年5月18日に各都道府県、保健所設置市、特別区の各衛生主管部(局)に出した「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き(第2版)」のなかで「適切な手続きを行った上でイベルメクチンのCOVID-19への適応外使用を認める」旨を明記しています。

さらに2021年2月17日の衆院予算委員会で、田村厚生労働相は「適応外使用であれば今でも使用できる。医療機関で服用して自宅待機するという使用法もある」としています。菅首相も「日本にとって極めて重要な医薬品であると思っているので、最大限努力する」と積極的に取り組むとも見受けられる発言をしています。

実際、イベルメクチンについては約80件の報告があります。その中で否定的な論文は、JAMA掲載論文(米国の医学会に所属する128人の医師が連名で「米国の医師による公開書簡:JAMAイベルメクチン研究は致命的な欠陥がある」とする書簡を公開)を含む2件のみです。

というわけで、ワクチン接種を希望しない患者には主治医としてイベルメクチンを処方し、罹患した場合の内服を指示しています。自分は幸いにして罹患を免れているためイベルメクチン使用には至っていません。

新たなウイルス感染を念頭に

COVID-19に対してはおそらくイベルメクチンが有効であり、ワクチンも決め手になる可能性が考えられますが、今後の新たなウイルスの発生を見越して、補完代替医療については国内外の報告やデータ収集をしています。

中国で新型コロナ治療に用いられた「三方三薬」

中国では『傷寒雑病論』1を基本に「温病学」の理論も取り入れて中医治療ガイドラインを作成しました。そして「三方三薬」といわれる緊急用の中医薬を開発し、大量に発生したCOVID-19患者に対して無症状から重症まで細かく治療にあたり、COVID-19を封じ込んだのです。三方とは、清肺排毒湯、化湿敗毒方、宣肺敗毒方という三つの方剤で、三薬とは、連花清瘟カプセル、金花清感顆粒、血必浄注射液のことを指しています。

感染症状が少しでもあったのなら、これを参考に「葛根湯」を使用すれば重症化は予防できると考えています(実際COVID-19と診断はついていませんが、葛根湯を服用していた患者で陽性に至った例は皆無です)。もちろん、煎じが可能なら清肺排毒湯2を処方しても良いでしょう。


1:中国最古(3世紀初め)の医学書。長沙の太守であった張仲景が記したと言われている。漢方医学の古典書。
2:五苓散、麻杏甘石湯(マキョウカンセキトウ)、小柴胡湯、射干麻黄湯(ヤカンマオウトウ)を組み合わせたもの。

そのほか活用したいもの

COVID-19のようなエンベロープ(脂質の外膜)を持つウイルスには、ティーツリー、ユーカリ・ラディアタ、ラヴィンツァラ、シナモスマ・フラグランスなどの精油の持つ成分が有効とされており、また呼吸器系の不調に用いるフランキンセンスなどを利用したアロマセラピーにも期待が持てます。

Italian Society of Homeopathic Medicineには、陽性と判断された人と疑いのある人を含む在宅療養者50人に対してホメオパシーを実施したところ、全員が入院せずに済んだと報告されています。症状や経過に応じたレメディで対応できると思われます。

上記に加えて腸管免疫向上を目的に、プレバイオティクスやプロバイオティクスなどを食品あるいはサプリメントでとっておくことも良いでしょう。

まとめ

以上、通常の医療(西洋医学)では対応できない病態も日常生活を整えれば予防や治療は十分に可能であり、今後さらに補完代替医療は大きな武器になることが期待されます。