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お酒とナイアシン

筆者はお酒を飲むのが好きですが、一時酒量が増えてきて困っていました。「今日は飲まないようにしよう」と決意したものの、仕事を終えた後は解放感を求め、ついつい飲んでしまうことが多々あり、いよいよ酒量を減らしたくなってきました。

国際オーソモレキュラー医学会初代会長のエイブラム・ホッファーは、ナイアシンを高容量摂取することによって様々な健康効果が得られることを述べています。

・関節炎
・高脂血症
・アレルギー
・うつ
・アルコール依存症 等々。

筆者はナイアシンを普段から服用しています。当初は500mgのカプセルを1日に2~3個、分けて飲んでいました。合計で1000~1500mg/日という量です。

そこで、果たして本当にナイアシンを飲んでアルコールに対する欲求が減るのかどうか、そしてナイアシンの摂取量をさらに増やすとどうなるのか自分自身で試してみたのです。

ナイアシンとは

ナイアシンは別名、ニコチン酸やニコチン酸アミドとも言われています。ナイアシンは脱水素酵素の補酵素であるニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(以後NADと表記)の前駆物質であり、体内における活性化補酵素です。糖質・脂質・タンパク質の代謝、エネルギー産生に関わっています。また、アルコールの代謝にも大きく関わっています。

ナイアシン発見の歴史

ナイアシンは極度に欠乏するとペラグラという病気になります。ペラグラの主な症状としては、皮膚炎、下痢、認知症が挙げられます。また、初期症状には倦怠感や精神的苦痛などの精神神経症状があらわれることがあります。このペラグラが感染症ではなく、何らかの物質(ナイアシン)の欠乏によるものだと見抜いたのは、ペラグラの研究を行いその病因の解明に貢献したジョセフ・ゴールドバーガーでした。彼は、ペラグラが感染症だと信じて疑わない人々を説得するため、ある実験を行いました。

まず、ゴールドバーガーはペラグラが感染症であると仮定した際、必ず感染を招くであろう下記3つの条件を設定しました。

  1. ペラグラ患者の血液を採取し、健常者の体内に注射する。
  2. ペラグラ患者の鼻腔と喉から分泌物を採取し、健常者の同じ場所に塗布する。
  3. ペラグラ患者の排泄物や、皮膚の紅斑部分の組織を、健常者の食物に混ぜて食べさせる。

このような凄まじい内容の実験を誰が行ったかといえばゴールドバーガー自身と妻、そして16名のボランティアです。実験の結果、ペラグラを発症した人は誰一人としていなかったため、“ペラグラは感染症ではない”ことが証明されました。ただ、その当時は欠乏している物質が何かまでは判明していませんでした。

ゴールドバーガーはその後も、欠乏している物質(P-P因子と名付けられた)の同定に取り組みました。しかし、その願いは叶うことなく1929年、彼はガンにより死去しました。ゴールドバーガーが亡くなってから8年後、その物質がニコチン酸であることがわかり、C・エルビーエムによって今日知られている「ビタミンB3」として認識されるようになったのです。

アルコールとナイアシン

アルコールを摂取すると肝臓でアルコール脱水素酵素によりアセトアルデヒドに分解されます。アセトアルデヒドはさらにアセトアルデヒド脱水素酵素により酢酸に分解され、酢酸は二酸化炭素と水に分解された後、体外に排出されます。ナイアシンはアルコール脱水素酵素やアルデヒド脱水素酵素の補酵素として働きます。

つまり、アルコールを大量に摂取すれば、その代謝にナイアシンが消費されるのでナイアシン不足になりますし、逆にナイアシンを十分な量、体内に供給しておけばアルコールの代謝がスムーズに行われることも期待できるわけです。さらにナイアシンはセロトニンやドーパミン、GABAなどに代表される脳内神経伝達物質の生合成に必要な補酵素であり、その代謝過程の上流で必要とされるため、精神バランスの維持のためにも重要なビタミンです。

アルコールを摂取すると通常よりドーパミンが多く放出され、“ほろ酔い”状態を脳内に生み出します。過剰なアルコール摂取を日常的に続けていると、同じ量ではドーパミンの分泌量が出なくなります。つまり、今までと同量のドーパミンを出して気持ち良くなるためには、より多くのアルコール量が必要になるということです。

アルコール欲求に対するナイアシンの効果について

ライナス・ポーリングと共にオーソモレキュラー療法を提唱し、国際オーソモレキュラー医学会の初代会長でもあるエイブラム・ホッファーの著書「ORTHOMOLECULAR MEDICINE FOR EVERYONE」によると、ナイアシンの高容量摂取はアルコール依存症に効果的であると記載されています。エイブラム・ホッファーはナイアシンを統合失調症の治療に用いていましたが、統合失調症でアルコール依存症の患者にナイアシンを用いると、統合失調症の症状の改善だけではなく、アルコール依存症までも改善することが述べられています。

アルコホーリクス・アノニマス(AA)の創設者の一人であるビル・ウィルソンはアルコール依存症の治療に対してビタミンB3つまりナイアシンを使用した最初の人でもありました。長年のアルコール過剰摂取およびナイアシン不足によりNADが少ない状態で、脳内におけるNADレセプター部位が空いていると、病気、不快症状、そして空いているNAD受容体の受容部位を埋め合わせるためにNAD以外の物質の依存症という結果になります。

アルコール摂取は、アセトアルデヒドの生成を増加させます。アセトアルデヒドはドーパミンと結びつきモルヒネ様物質を形成します。モルヒネ様物質は、脳内のNADレセプターと結合して一時的に離脱症状を抑えます。であれば、十分な量のNADがあればモルヒネ様物質に依存せずにNADレセプターと結合し、離脱症状の抑制が可能になるはずです。

十分な量のNADが生体に満ちているためには外部からナイアシンを摂取すれば良いわけです。根本的なアルコール摂取障害の治療で重要なのは、NAD受容体のレセプター部位をNADで満たしておくことです。

実際に試してみて

筆者はフラッシュするナイアシン(ナイアシンはフラッシュタイプとノンフラッシュタイプの2種類に大別されます)を飲んでいますが、アルコールの欲求を減らす目的で、摂取量を一時期3000~4000mg/日まで増やしてみました。すると、確かにそれまでと比べて「お酒を飲みたい」という欲求が減ったのです。仕事を終えた後は心の解放を求めてお酒を飲みたくなる時がよくありましたが、ナイアシンの摂取量を増やしてからは、帰宅時にも「別に飲まなくても良いかな」という気持ちを維持できるようになりました。

習慣化した飲酒を何とかしたい、過剰飲酒を抑えたいという方は、ナイアシンを飲むことで飲酒欲求を軽減できるかもしれません。試す際には医師の指導のもと、注意して行っていただきたいと思います。





<参考文献>