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インフルエンザワクチンは効かない?その真実と効果を高める方法とは

この記事の執筆者

SPIC Clinic

一般社団法人日本オーソモレキュラー医学会代表理事。スピッククリニック名誉院長。 杏林大学医学部卒、同大学院修了。 医学博士。杏林大学保健学部救急救命学科教授を経て、2008年より国際統合医療教育センター所長。2011年国際オーソモレキュラー医学会殿堂入りし、2012年より国際オーソモレキュラー医学会会長。

肌寒い季節になると、そろそろ気になる風邪やインフルエンザ。特にインフルエンザは、風邪と比べて高熱が出やすく、重症化するケースもあるので、できれば予防したいですよね。

一般的な予防法としては、インフルエンザワクチンが知られていますが、「本当に効くの?」という疑問を持ったことがある人も多いのではないでしょうか。

インフルエンザワクチンについて、そしてインフルエンザを効果的に予防する方法を、国際オーソモレキュラー医学会会長の柳澤厚生先生に聞きました。

インフルエンザワクチンは効くの?効かないの?

「私のクリニックでも、毎年10月頃からインフルエンザワクチンについての問合せが増えてきます。しかし、『インフルエンザワクチンは効かない』というイメージを持っているかたも多く、実際に『インフルエンザワクチンは打ったほうが良いんですか?打たないほうが良いんですか?』といった質問もたくさん受けます。」と柳澤先生はおっしゃいます。

やはり、インフルエンザワクチンが効くのか効かないのか、疑問に思う人はたくさんいるんですね。柳澤先生によると、「しかし、この質問は、『インフルエンザワクチンは打つべき!』『打たないべき!』と単純に答えることが難しいんです。私のクリニックでは、患者さんによって、ワクチンを勧める場合も、勧めない場合もあります。」とのことです。

インフルエンザワクチンを勧めるか勧めないか、人によって異なる、その理由は何なのでしょうか。そもそも、インフルエンザワクチンというのはどのようなものなのでしょうか。

「インフルエンザワクチン」の中身は毎年違う!

実はワクチンの内容は、その年によって異なります。2016-17年のワクチンには、A型2種類・B型2種類、合計4種類の抗原が含まれていました。ちなみに2014年までは3種類でした。これらのウイルスの種類は、全体のインフルエンザウイルスの中の一部です。すべてのウイルスの種類に対応しているわけではありません。

一般的に、インフルエンザワクチンの予防効果は60%程度といわれています。一概に「インフルエンザワクチンは効かない!」ということでは、全くありません。一定の予防効果は認められていますし、インフルエンザになった場合の重症化を防ぐ効果もあると言われています。

ワクチンの中身を決めるのはWHOの流行予測!

インフルエンザワクチンの予防効果や予防できる割合は、実は年によっても異なってきます。その年のワクチンの内容は、毎年WHO(世界保健機関)が発表する流行予測によって決められています。WHOの専門家が「今年はこのインフルエンザが流行る!」と予測し、その種類のインフルエンザに対応したワクチンが世界中に流通されるのです。

その予測は、外れることもあるのが事実です。予測が外れてしまうと、「ワクチン接種したのにインフルエンザにかかってしまった!」という人が多い結果になってしまいます。

また、「新型インフルエンザ」と呼ばれるような、突然変異したウイルスが流行することもあり、その場合は今までのワクチンでは効果が出ないケースが多いのです。  

ワクチンを打つだけではだめ?インフルエンザワクチンの役割とは

 「インフルエンザにかかる可能性を少しでも下げ、そして重症化を避ける、という意味で、ワクチンには重要な役割があります。なので、免疫力が低く、重症化しやすいお年寄りや子供、他の持病がある場合などは、インフルエンザワクチンを打つことを推奨することもあります。

また、『ワクチンを打たないと不安』というかたには、ワクチンが効かない可能性も説明した上で、患者さん自身に判断してもらいます。」と柳澤先生はおっしゃいます。

ワクチンに効果がないわけではない一方で、ワクチンさえ打っておけば大丈夫!というわけではない、というのが重要なポイントですね。では、インフルエンザにならないためには、ワクチン以外にどのような方法があるのでしょうか。

インフルエンザの予防には「ビタミンD」が大切!

 この記事では、食事や栄養を活用して、インフルエンザをより効果的に予防するための簡単な方法をご紹介します。インフルエンザの予防に効果的な様々な栄養素については、こちらの記事でもご紹介しています。
インフルエンザ予防に必要な5つの栄養とは?

 

インフルエンザの予防に効果的といわれる成分は色々とありますが、一番注目すべきは「ビタミンD」です!2010年に慈恵医大の研究グループが発表したインフルエンザに関する研究結果が、世界中で話題になりました。ビタミンDのサプリを飲むだけで、子供たちのインフルエンザの発症が4割以上も減ったというのです。

強い味方「ビタミンD」の効果とは?

 ビタミンDは、骨や歯を強くする効果でも知られていますが、免疫力を高める効果も、世界各国の研究で明らかになっています。風邪やインフルエンザを始め、様々な病気や感染症の予防・治療にも効果的です。

また、ビタミンDを摂取している人は、摂取していない人に比べ総合的に寿命が長いといった統計も出ています。ビタミンDは人間の体内で作られる唯一のビタミンで、紫外線に当たることで生成されます。

紫外線を浴びると「ビタミンD」が生成される!

UVBと呼ばれる紫外線が一番ビタミンDの生成に必要なのですが、これは日焼けの元にもなる紫外線。夏でも日傘をさしたり、日焼け止めを塗っていると、生成量が減ってしまいます。日焼けが気になるかたには悩ましいかと思いますが、1日15分程度は、地肌を日光に当てることが推奨されています。

冬になると、日射量が少なくなり、肌の露出も減るので、さらに不足しがちになります。冬のビタミンD生成量は、夏の25%程度にまで低下してしまうというデータもあるんです!冬になると風邪やインフルエンザにかかる人が増えるのは、乾燥による粘膜のダメージ等もあるのですが、実は日光に当たらないことでビタミンDが不足することが大きな原因であるとも言われています。  

「ビタミンD」を十分に摂取するコツは?

慈恵医大の研究では、児童を167人ずつのグループに分け、1つのグループにはビタミンDを飲ませ、1つのグループにはプラシーボ(栄養素を含まない偽薬)を与えました。約4か月間の研究機関中、インフルエンザに罹ったのは、ビタミンDを飲んだグループで18人、飲まなかったグループで31人でした。

この研究で子供たちに与えられたビタミンDの量は、1日あたり1200IU。薬局などで売っているサプリでも1000IUほど含まれているものが多いので、1日1~2粒のビタミンDサプリを飲むことで、よりインフルエンザの罹患リスクを下げることができることになります。鮭やニシン、ウナギなどにも多く含まれるので、積極的に食べるといいでしょう。

「ビタミンDは風邪やインフルエンザを予防するためには非常に効果的な栄養素と言えます。流行の季節が始まる前から、日常的にビタミンDを補充し、免疫力を高めておきましょう。また、より高い効果を求める場合は、医療機関などで取り扱っている高品質のサプリメントもおすすめです」と柳澤先生はおっしゃいます。

摂りすぎには注意!ビタミンDとのつきあい方

たったひとつの栄養素を十分に摂るだけで予防効果が上がるのは、ワクチンを打っても不安な人や、ワクチン注射が苦手な人にとっても朗報ですね。「じゃあビタミンDをいっぱい飲もう!」と思いがちですが、柳澤先生によるとビタミンDは摂りすぎに注意が必要だそうです。

「ビタミンDは水に溶けないので、取りすぎると体の中に蓄積されてしまいます。食事に含まれる量や、サプリメントの分量を守っていれば問題ありませんが、あまりに摂りすぎると他の疾患を引き起こす可能性があると言われています。風邪やインフルエンザの予防が目的であれば、1日1000~2000IUくらいで十分でしょう。」

インフルエンザや風邪の予防をはじめとして、色々なメリットがあるビタミンD。食事やサプリメントで上手に取り入れて、今年は健康的に冬の季節を過ごしたいですね!

その他のインフルエンザ関連の記事はこちら
2018年(2017年度冬)のインフルエンザの傾向とは?

インフルエンザ予防に必要な5つの栄養とは?

出典: 【ビタミンDとインフルエンザ・風邪】
Urashima M, Segawa T, Okazaki M, Kurihara M, Wada Y, Ida H. Randomized trial of vitamin D supplementation to prevent seasonal influenza A in schoolchildren., Am J Clin Nutr. 2010 May;91(5):1255-60

【ビタミンDと癌】
Lappe J, Travers-Gustafon D, Garland C, Heaney R, Recker R, Watson P. Vitamin D3 and calcium supplementation significantly decreases cancer risk in older women. Poster 3352. 0. American Public Health Association 2016 meeting Oct 31, 2016

McDonnell SL, Baggerly C, French CB, Baggerly LL, Garland CF et al. Serum 25-Hydroxyvitamin D Concentrations≥40 ng/ml Are Associated with >65% Lower Cancer Risk: Pooled Analysis of Randomized Trial and Prospective Cohort Study. PLoS One. 2016 Apr 6;11(4):e0152441.

【ビタミンDと寿命】
Karla A. Mark, et al. Vitamin D Promotes Protein Homeostasis and Longevity via the Stress Response Pathway Genes skn-1, ire-1, and xbp-1. Cell Reports Volume 17, Issue 5, p1227–1237, 25 October 2016