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血清ビタミンDの低下が新型コロナ感染と重症化を招くのか

最新のシステマティック・レビューとメタ分析を用いた研究

この記事の執筆者

鎌倉元気クリニック

一般社団法人日本オーソモレキュラー医学会 代表理事。鎌倉元気クリニック 名誉院長。 杏林大学医学部卒、同大学院修了。 医学博士。杏林大学保健学部救急救命学科教授を経て、2008年より国際統合医療教育 ... [続きを見る]

国際オーソモレキュラー医学会は昨年のパンデミック発生時から、新型コロナの予防においてビタミンDが重要な役割を担っていると発信してきました。また、同学会が提唱した新型コロナ予防のための推奨栄養素にもビタミンDは含まれています。

この「推奨栄養素」に関しては、その後の各国の臨床研究の基準としても多く用いられるようになりました。今回は2020年12月9日までに発表された論文を検索した上で最終的に選ばれた14の論文の対象者となる計999,179人およそ100万人の分析から導き出された結果をご紹介します。

ビタミンDと新型コロナ感染に関するシステマティックレビューとメタ分析

2020年1月、国際オーソモレキュラー医学会は新型コロナウイルス(以下「新型コロナ」と記載)の感染と重症化の予防にビタミンC、ビタミンD、亜鉛、セレン、マグネシウムの推奨を発表しています(表)。この摂取推奨量は、その後の臨床研究や治療の基準として各国に広がっています。

<表>国際オーソモレキュラー医学会が推奨する新型コロナ感染予防の栄養素

 

この推奨栄養素の中でも、特にビタミンDは免疫応答を調整することで知られています。しかし、これまでにビタミンDが新型コロナの重症度や死亡率と関連するかについては相反する研究結果が出ているために研究者の間でも論争となっています。

2021年3月29日、インドネシアのパジャジャラン大学医学部のMohammad Rizki Akbar博士らの研究グループは、ビタミンDと新型コロナウイルス感染についてのシステマティックレビュー※1ならびにメタ分析※2を行い、その結果を『Frontiers in Nutrition』誌に発表しました。このシステマティックレビューとメタ分析は、エビデンスレベルとしての信頼性が高いと評価されている手法です。

※1:一定の基準を満たした文献をデータベース等から調査収集し、分析を行うこと。
※2:複数の研究結果を統合し、改めて解析を行うこと。メタアナリシスとも呼ばれる。

分析結果から考えられるビタミンD低下によるリスク

この研究は、血清ビタミンD(25-ヒドロキシビタミンD,25-OHD)のレベルが新型コロナに対する感染の感受性(感染のしやすさ)、重症度および死亡率に関連しているかどうかを評価しました。

PubMed、Scopus、Embaseデータベースより2020年12月9日までに発表された論文について体系的な文献検索を行いました。選択された論文には、血清ビタミンDに関する情報とともに前向き観察研究と後ろ向き観察研究を含みます。血清ビタミンDの低下は20〜30ng/mLの範囲のカットオフポイントを下回る対象者としました。

最終的に14の論文の対象者となる計999,179人について分析を行った結果は、以下の通りです。

ビタミンDの低下がみられた対象者においては、

  1. 対照群と比べて新型コロナへの感染率が高いことに関連していた(p <0.001)
  2. 重症化発生率の増加に関連していた(p = 0.003)
  3. 死亡率の上昇に関連していた(p = 0.011)
  4. 死亡率との関連として、男性(p = 0.002)、糖尿病(p = 0.0019)の合併が影響を及ぼす

まとめ

結論として「血清ビタミンDレベルの低下は新型コロナに感染しやすいだけでなく、重症化ならびに死亡率の高さにも関連していた」というものです。しかし、この研究ではビタミンDの補給によりこれらが改善するかについては明らかになっていません。一方で、インフルエンザウイルスによる上気道感染にビタミンDが有効であることはすでに証明されています。また、小規模な研究ではありますが、ビタミンDが新型コロナに有用であると発表している論文も公開されています。

論文の研究者らは「さらなる大規模研究が必要だが、血清ビタミンD低下症にはビタミンDをサプリメントとして補給することを推奨する」と述べています。





<参考文献>

Akbar MR et al. Low serum 25-hydroxyvitamin D (Vitamin D) level is associated with susceptibility to COVID-19, severity, and mortality: A systematic review and meta-analysis. Frontiers in Nutrition (2021) 8:660420