被曝対策のために必要となる栄養素にはどのようなものがあるでしょうか。代表的なものをいくつかご紹介します。
- 個別の病気
- 治療法・栄養
食事とサプリメントによる放射線被曝対策
ー東日本大震災を振り返るー
2011年3月11日に起きた東日本大震災。あれから9年の月日が流れましたが、私たち日本人にとっては忘れてはならない出来事として心に刻まれています。当時、福島第一原発事故による放射線の影響が不安視されていましたが、今回は被曝対策におけるオーソモレキュラー医学の観点からお話しします。
被曝対策に必要な栄養素
メラノイジン
味噌の成分。外部被曝、内部被曝共に防護効果があると言われています。しかし、被曝前からの習慣的な摂取が必要となります。
ジピコリン酸
納豆の成分であるジピコリン酸は金属イオンと結合する力が強く、ストロンチウムやコバルトと結合して排出する働きがあるとされています。
アルギニン
アミノ酸の一種。放射線で損傷したDNAを修復するための自己免疫力を高める補助的な役割を担います。
ヨウ素
昆布・わかめなどの海藻に含まれる成分で、甲状腺ホルモンの原料となります。
ヨウ素は、放射性ヨウ素の侵入を阻止します。
フコダイン
吸着性の高い水溶性の食物繊維です。以下の作用が期待されています。
・がんの抑制への作用
・免疫力の向上
カリウム
ミネラルの一種。
カリウムを多く含む夏野菜(かぼちゃなど)を十分に食べることで、セシウム吸収の抑制が期待できます。
ビタミン類
内部被曝によって体内では活性酸素が発生し、DNAを傷つけてしまいます。活性酸素対策には、抗酸化成分であるビタミンA・C・Eの摂取が重要です。とりわけビタミンC摂取による被曝対策は、自衛隊の論文にもなっている点からもエビデンスのあるものとして挙げられます。
今日、高品質のビタミンCの摂取は、放射線被曝対策のみならずアンチエイジングやがん予防への作用が期待されています。ビタミンCサプリメント(製剤)は数多く存在していますが、いかなる用途においても質の見極めが肝心です。
カテキン
緑茶の成分として知られているカテキンには、活性酸素対策および抗がん対策となる抗酸化作用があります。
緑茶を飲む時には、1煎目は飲まずに捨て、2煎目から飲むことをお勧めします。そうすることで茶葉の表面についた放射性物質を最小限に減らすことができます。
食事を含む生活習慣の重要性
これまでいくつかの栄養素を紹介してきましたが、何よりも大切なのはバランスの取れた毎日の食事です。つまり、良質なタンパク、野菜そして十分な水分(約2ℓ)の摂取が重要となります。食品のみからの摂取が難しい場合には、良質なサプリメントからの摂取も選択肢の一つとして挙げられます。その場合は、オーソモレキュラー療法を導入している専門医に相談することを推奨します。
また、デトックスとして発汗・排尿を心がけてください。そして、便秘にならないように乳酸菌やビフィズス菌をはじめとした善玉菌を含む「プロバイオティクス」や「プレバイオティクス」の摂取もお勧めです。放射線被曝対策にアンチエイジング、そしてがん予防。基本の対策は同じです。あなたも無理のない範囲で、できることから予防対策を始めてみませんか。
「自分と家族の健康は、自分たちで守る」
そういった積極性が必要な時代になってきたように思います。糖尿病などの生活習慣病患者数が増加している現代、自分自身の健康を見据えた生活習慣の改善は、将来への投資にもつながるでしょう。
<参考文献>
- 『いまからでも間に合う!家族のための「放射能を解毒する」食事』(生田哲著,講談社,2011)
- 『子どもたちを守るためのいちばんわかりやすい放射線対策の本』(青木晃監修,マーブルトロン,2011)
- キチンと体から毒を出す食(増尾清著,PHP研究所,2011)
- 点滴療法研究会ホームページ;http://www.iv-therapy.jp/index.html
同じタグの記事を読む