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ワクチン・予防接種合同委員会(英国)が示した12歳から15歳に対する新型コロナワクチン接種に関する追加方針

この記事の執筆者

鎌倉元気クリニック

一般社団法人日本オーソモレキュラー医学会 代表理事。鎌倉元気クリニック 名誉院長。 杏林大学医学部卒、同大学院修了。 医学博士。杏林大学保健学部救急救命学科教授を経て、2008年より国際統合医療教育 ... [続きを見る]

2021年9月3日、ワクチン・予防接種合同委員会(JCVI:英国政府の諮問機関)は12歳から15歳の子どもへの新型コロナワクチン接種について、接種を推奨しない方針を明らかにしました。今回は、英国公衆衛生庁が掲載した上述のJCVIの方針について翻訳した文章をご紹介します。

新型コロナ重症化リスクが高い基礎疾患を持たない子どもへのワクチン接種を行うエビデンスについて再検討を行った

ワクチン・予防接種合同委員会(以下JCVIと記載)のアセスメントでは、ワクチン接種による健康上の有益性(ベネフィット)は、既知の潜在的な有害性よりもわずかに大きいとする一方で、現時点では健康な12歳から15歳の子ども全員へのワクチン接種を支持するには有益性が低すぎるとしました。

教育上の利益を含む、幅広い社会的影響について検討することは、JCVIの権限の範囲ではありません。英国政府は、英国4ヵ国の首席医務官らから、より広い社会的および教育上の影響についてのさらなる見解を求める可能性があります。

大多数の子どもにとって、SARS-CoV-2感染症(新型コロナウイルス感染症)は無症候性もしくは症状が軽度であり、治療せずとも解決します。

12歳から15歳の子どもで入院が必要なごく少数の子どものうちの多くは基礎疾患があります。JCVIはワクチン接種が推奨される重症化リスクのある12歳から15歳の基礎疾患リストの拡大を推奨しています。

また、これは非常に稀な有害事象ではありますが、mRNA新型コロナウイルスワクチンと心筋炎の発症には関連性があるというエビデンスが出てきています。中・長期的な影響については不明であり、長期的な追跡調査が行われています。

健康な12歳から15歳においては、新型コロナウイルス感染症による深刻なリスクが非常に低いことを考えると、ワクチン接種による潜在的な有害性と有益性は非常に絶妙なバランスにあるものの「予防的なアプローチを取ること」として合意がなされました。

JCVIの新型コロナウイルスに対する予防接種の責任者であるウェイシェン・リム博士は以下のように話しています:

「12歳から15歳の子どもで、重度の新型コロナウイルス感染症に罹る可能性の高い基礎疾患を持つ者には、新型コロナウイルスワクチンが提供されるべきです。提供の対象となる基礎疾患などの範囲は最近拡大されました」

「健康な12歳から15歳の子どもについては、重度の新型コロナウイルス感染症のリスクは低く、新型コロナウイルスのワクチン接種によって得られる有益性も低いです。JCVIの見解として、総合的には12歳から15歳の健康な子どもに対する新型コロナワクチン接種による健康上の有益性は、潜在的な有害性をわずかに上回るとしています」

「予防的なアプローチを取る上で、現時点ではこの年代の子ども全員に対する新型コロナウイルスのワクチン接種を支持するには、この有益性の差は小さすぎると考えられます。JCVIは、安全性のデータについて引き続き検討を行っていきます」

小児期の予防接種を決定する際、JCVIは一貫して主となる焦点は“子ども自身にとっての利益であり、ワクチン接種により生じる可能性のある害とのバランスを考える必要がある“と主張しています。

潜在的な副作用に関する長期的なデータが蓄積されることで、有益性と有害性についての再考がより確実になりますが、こうしたデータを得るには数ヶ月かかる場合があります。

JCVIはこれまで、重度の神経障害、ダウン症、免疫抑制、精神身体障害などを伴う最重度の知的障害、重度の知的障害がある、または知的障害の登録をしている子どもへの新型コロナウイルスワクチンの提供を推奨しています。

また、入院と死亡に関する最新のデータを考慮し、JCVIはワクチンを提供する対象を拡大し、以下の疾患のある12歳から15歳の子どもを含むよう推奨しています。

  • 悪性血液疾患
  • 鎌状赤血球症
  • I型糖尿病
  • 先天性心疾患
  • その他追記A(下記に記載)に示す心疾患

先天性の障害あるいは代謝障害が原因となることが多いコントロール不良の喘息などを持つ子どもにとって、呼吸器感染症が重篤な疾病に繋がる可能性があるため、新型コロナウイルスのワクチン接種が提供されるべきでしょう。

【追記A12歳から15歳の子どもに関する新型コロナウイルス感染症のリスクグループ

 

  1. 慢性呼吸器疾患

    全身性ステロイド薬の継続的または反復使用を必要とするコントロール不良の喘息の患者、または入院を必要とする急性増悪、嚢胞性繊維症、線毛機能不全症、気管支肺異形成症の患者を含む。

  2. 慢性心疾患

    血行動態に大きな影響のある先天性および後天性の心疾患、または他の併存疾患を伴う軽度の心疾患。

  3. 腎臓、肝臓または消化器の慢性疾患

    先天性の内臓奇形、代謝障害、新生物によるもの、および呼吸器感染症の素因となる重度の胃食道逆流症を含む。

  4. 慢性神経性疾患

    以下の状態を含む者:
    ・脳性麻痺、自閉症、てんかん、筋ジストロフィーなどを含む神経障害および/または神経筋疾患
    ・神経系または筋肉の遺伝性疾患および変性疾患、または低換気を起こすその他の病態
    ・重度の知的障害または精神身体障害を伴う最重度の知的障害、ダウン症、脳腫瘍、知的障害者登録を行っている者

  5. 内分泌疾患

    糖尿病、アジソン病、下垂体機能低下症を含む。

  6. 免疫抑制

     疾病や治療による以下の免疫抑制を含む:
    ・化学療法、放射線療法、実質臓器移植、骨髄移植または幹細胞移植を受けた者
    ・免疫系に影響を与える遺伝性疾患のある者(例:IRAK-4またはNEMO遺伝子欠損症、補体欠損症、重症複合免疫不全症)
    ・白血病およびリンパ腫を含む悪性血液疾患のある者
    ・免疫抑制剤または生物学的免疫調整剤を使用している者
    ・高用量または中用量の副腎皮質ステロイドを用いた治療を行っている・あるいは行う可能性が高い者
    ・メトトレキサート、アザチオプリン、6-メルカプトプリンまたはミコフェノール酸などの非生物学的経口免疫調整剤を使用している者
    ・長期の免疫抑制治療を必要とする可能性のある自己免疫疾患のある者

  7. 無脾症または脾臓機能障害

    遺伝性球状赤血球症、ホモ接合型鎌型赤血球症、サラセミアメジャーを含む。

  8. 多数の機能に影響を与える重度の遺伝性疾患

    ミトコンドリア病と染色体異常を含む。

 

 


[翻訳協力]Mr. Sandor Buza





<参考URL>
https://www.gov.uk/government/news/jcvi-issues-updated-advice-on-covid-19-vaccination-of-children-aged-12-to-15