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気になるビタミンC!過剰摂取や欠乏するとどうなるの?

この記事の執筆者

鎌倉元気クリニック

一般社団法人日本オーソモレキュラー医学会 代表理事。鎌倉元気クリニック 名誉院長。 杏林大学医学部卒、同大学院修了。 医学博士。杏林大学保健学部救急救命学科教授を経て、2008年より国際統合医療教育 ... [続きを見る]

「ビタミンC」は誰もがよく知っているビタミンですよね。なんとなくレモンのイメージが強いですが、日々のビタミンCの摂取量についてはあまり意識していない人も多いのではないでしょうか。

ビタミンCを過剰に摂取した時、または欠乏した時に身体への影響はあるのでしょうか。国際オーソモレキュラー医学会会長でビタミンCの専門家でもある柳澤 厚生先生に聞いてみました。

ビタミンCの効果とは?

ほとんどの動物は身体の中でビタミンCを作ることができますが、ヒト・サルなどの限られた動物だけは自力で作ることができません。つまり、人間は身体の健康を維持するために、ビタミンCを体外から摂取する必要があります。ビタミンCの効果には、例えば以下のようなものがあります。

酸化還元反応

「身体がさびる」といった表現がされるように、身体のなかでは日々酸化が起きており、活性酸素が生み出されています。ビタミンCはこの酸化に抗う「抗酸化力」をもっていて、顔のシミや白内障、動脈硬化などの予防に効果的です。

コラーゲン繊維の構築

細胞と細胞の間をつなぎ、皮膚や血管、骨を丈夫にしてくれるコラーゲンですが、規則的な3重らせん構造をしています。この構造を強く保つ働きのある酵素を助けるのがビタミンCです。ビタミンCがあることで、肌のハリを保つことが期待できます。

コレステロールの代謝

血液内のコレステロールの大部分は、通常肝臓で代謝され胆汁酸へ変換されます。ビタミンCはこの変換を助ける酵素(CYP7A1)を活性化させる補助をします。また、血中コレステロール濃度にもビタミンCの働きは影響しています。

ビタミンCを過剰摂取するとどうなる?

ビタミンCが身体に必要なことはわかりましたが、摂り過ぎるとどうなるのでしょうか?

ビタミンCは一度に多くを摂取しても、全てが体内に吸収されるわけではありません。吸収されなかったビタミンCは、胃や腸の中で消費され、尿や便から排泄されます。そのため、基本的には身体に悪影響はないとされています。

ビタミンCが欠乏するとどうなる?

先ほどもお伝えした通り、ビタミンCは身体で作ることができないので身体の外から補給する必要があります。そのため、摂取量が足りないとビタミンC欠乏症になってしまいます。ビタミンCが足りないと、以下のような不調があらわれることがあります。

  • 皮膚の乾燥
  • 脱力感
  • うつ症状
  • 太ももなど大腿部にあざが出る
  • 歯ぐきや粘膜から出血する

ビタミンCの欠乏状態が続くと、最悪死に至る場合もあります。ビタミンC欠乏症は壊血病とも呼ばれ、15世紀以降の大航海時代では長い航海により野菜などを摂取できなかった乗組員たちが苦しめられた病気でもありました。

日本における壊血病

食料事情に恵まれている日本では「壊血病はない」と考えられてきました。しかし、重度のアルコール依存や一人暮らしのお年寄りなど、偏食が原因で知らず知らずのうちにビタミンC欠乏に陥る可能性があります。実際に、そうした偏食が原因による壊血病の症例も報告されています。

現代社会では仕事の忙しさから偏食に陥りがち、という方も多いのでは?皆さんも一度、食生活を見直してみてはいかがでしょうか。

ビタミンCを摂取するには?

ビタミンCの摂取量を増やすには、まずは食事の見直しをしましょう。ビタミンCは多くの野菜や果物に含まれています。

  • 赤ピーマン
  • レンコン
  • ジャガイモ
  • レモン
  • オレンジ
  • キウイフルーツ  など

厚生労働省から出されている「日本人の食事摂取基準(2010年版)」によると、成人におけるビタミンCの推定平均必要量は85mg/日、推奨摂取量は100mg/日です。よく食品に表記される「レモン1個分」は20mgなので、推奨摂取量が多いことがわかるかと思います。

しかし100mgは壊血病にならない最低レベルであり、より積極的に健康を目指すならば1日に1000㎎、体調が優れなかったり肌の調子が気になる時はそれ以上摂取したほうが効果的です。

吸収率の高いサプリメントや点滴で補給!

体内で多くの役割を担ってくれるビタミンC、特に肌荒れが気になる時や風邪を引きそうな時は積極的に摂りたいですね。しかし、フルーツなどで摂ろうとすると、糖質過多になる可能性もあるので注意が必要です。オレンジ1個に含まれるビタミンCは40㎎程度なので、1000㎎のビタミンCを摂取するためには25個のオレンジを食べなければなりません。もし毎日それほどのオレンジを食べていたら、ビタミンCで健康になるよりも先に糖尿病になってしまいます。

そこでおすすめなのが、サプリメントもしくは点滴で補う方法です。一般的なサプリメントでは一度にたくさん飲んでも吸収されにくいので、少量をこまめに飲むことがポイントです。また、最近では新しい技術で吸収率を高めたサプリメントも販売されていますので、インターネットなどで探してみるといいかもしれません。

さらに不足が気になる場合は、ビタミンC点滴を受けられる医療機関を訪れてみましょう。風邪予防や美容のために25g(25,000㎎)程度の高濃度ビタミンC点滴を行う医院も最近では増えてきています。

【まとめ】必要に応じてサプリメントや点滴も活用しよう

身体を健康に保つために必要なビタミンC。まずは食事、必要であればサプリメントや点滴も効果的に取り入れるのがおすすめです。

ビタミンCにはここに挙げた以外にも、数え切れないほど多くの身体に良い作用があると言われています。日頃より身体に不調がある場合は、ビタミンC欠乏症予備軍の可能性もあります。気になることがあれば、気軽に専門医に相談してみましょう。





<参考文献>

  • 「ビタミンCの事典」(石神 昭人著、2011年、東京堂出版)
  • 「点滴でアンチエイジング」(柳澤 厚生著、2017年、主婦の友社)

柳澤 厚生 (ヤナギサワ アツオ)先生の関連動画

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