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COVID-19治療にビタミンC点滴を導入する各国の動き

この記事の執筆者

鎌倉元気クリニック

一般社団法人日本オーソモレキュラー医学会 代表理事。鎌倉元気クリニック 名誉院長。 杏林大学医学部卒、同大学院修了。 医学博士。杏林大学保健学部救急救命学科教授を経て、2008年より国際統合医療教育 ... [続きを見る]

3月17日、Richard Cheng医師の呼びかけから各国の医師・研究者による電話会議が行われました。この会議では特別ゲストとして、現場にて治療を行ったEn Qian Mao医師(上海交通大学医学部瑞金病院 救急医学科主任)が参加しました。彼はコロナウイルス発症患者へのビタミンC点滴の導入を決意し、治療した各患者の容態について私たちに話してくれました。

この報告を受け、Andrew G.Weber医師(Northwell Health病院救急治療担当)もビタミンC点滴を開始。イタリアでも臨床試験が始まり、COVID-19に対するビタミンC点滴の可能性が注視されています。

ビタミンC点滴を取り入れた医師による報告

2020年3月17日午前9時30分、アメリカのRichard Cheng医師の呼びかけで、電話会議を開催しました。会議にはアメリカ・中国・イタリア・日本をはじめ各国オーソモレキュラー医学を導入する医師・研究者らが出席し、高濃度ビタミンC点滴療法によるCOVID-19(新型コロナウイルス)肺炎の治療について意見が交わされました。日本からは私、柳澤 厚生と松山 淳先生(日本オーソモレキュラー医学会理事)が出席しました。

<写真>電話会議を呼びかけたRichard Cheng医師

この電話会議では特別ゲストとして、新型コロナウイルス患者の診療を行った上海交通大学医学部瑞金病院 救急医学科主任のEn Qian Mao医師を迎えました。Mao医師は10年以上も高濃度ビタミンC点滴によって様々な疾患を治療したという経験があります。そして彼は今回のCOVID-19に対してビタミンC点滴を導入することに尽力しました。

会議にて、Mao医師はビタミンC点滴をした最初の50名の患者の実施結果について話しました。
「私たちは中等症患者には10g、重症患者には20gのビタミンC点滴を計7〜10日間行いました。結果、全ての患者に病状の改善が認められ、死亡者は出ませんでした。また、ビタミンC点滴を受けたグループの入院期間は、受けなかったグループよりも20〜50%短縮しました」

Mao医師によると、非常に重篤な患者1名には50gのビタミンCを4時間かけて点滴したところ、肺の所見を含めみるみるうちに改善がみられたそうです。

COVID-19では急激に肺の所見が悪化することがあり油断はできません。Mao医師は「入室から15〜30分以内にビタミンC点滴を開始できるかどうかがその後の結果を左右する」と話します。

アメリカ、そしてイタリアでも

この結果を受けて動き出した医師がいます。ニューヨーク州ロングアイランドのNorthwell Health病院 救急治療担当のAndrew G.Weber医師です。彼は新型コロナウイルスへの感染で入院する重症患者には速やかに大量のビタミンC点滴を行いました。こうした動向をニューヨークポスト紙、ニューズウィーク誌は即座に取り上げました。

アメリカ国立衛生研究所が推奨するビタミンCの1日辺りの摂取量は男性90mg、女性75mgですが、Weber医師は1日にその摂取量を大きく上回る6gを点滴投与したのです。結果が明らかになるのはまだ先ですが、Weber医師は「ビタミンC投与は患者を助けるための鍵になるだろう」と自負しています。

中国における治療結果を受け、COVID-19による死亡者が多いイタリアでも新たな臨床試験が3月26日にスタートしました。試験内容はCOVID-19肺炎に対し、1日10gのビタミンCを点滴投与するものです。今後500名の患者にビタミンCを投与する計画です。





<参考文献・資料>

 

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