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ノロウイルスにご用心!原因は?かかった時の食事や取るべき栄養は?

この記事の執筆者

鎌倉元気クリニック

一般社団法人日本オーソモレキュラー医学会 代表理事。鎌倉元気クリニック 名誉院長。 杏林大学医学部卒、同大学院修了。 医学博士。杏林大学保健学部救急救命学科教授を経て、2008年より国際統合医療教育 ... [続きを見る]

寒い季節が近づくとよく耳にするようになるのが「ノロウイルス」。みなさんはどんなイメージをもっていますか。もっとも感染数が多いのは冬ですが、実は1年を通して発生する可能性があります。ノロウイルスに感染し重症化すると、場合によっては死亡に繋がるおそれもあります。

ノロウイルスに感染した際の症状や、発症した時にはどういった食事や栄養素を取るべきなのかなど、国際オーソモレキュラー医学会会長の柳澤先生に伺ってきました。

ノロウイルスにはどうやって感染するの?

ノロウイルスはほとんどが口から感染します。すでにノロウイルスに感染している患者さんの嘔吐物に触れてしまったり、感染している人のくしゃみを浴びて飛沫感染してしまったりする場合があります。そのため予防するためには、まずは手洗い・うがいやマスクの装着が効果的です。

また、食事から感染してしまうこともあります。ノロウイルスに汚染されている二枚貝を十分に加熱処理することなく食べることで感染します。冬場になると、生ガキによる集団感染のニュースなどを見たことがあるかたも多いのではないでしょうか。免疫力が下がっているときは特に感染・発症しやすくなるので、疲れていたり体調がすぐれないときは、生の貝類は避けたほうが良いかもしれません。その他、ノロウイルスに汚染された井戸水を摂取するなどした場合にも感染してしまいます。

日本におけるノロウイルスによる食中毒は、平成19年以降統計がとられていますが、毎年の感染者数は8000人〜18,000人にも及びます。食中毒の年間発生数のうち、おおよそ半数はノロウイルスによるものであるというのだから驚きです。

ノロウイルスに感染するとでる症状とは

ノロウイルスに感染すると、以下のような症状が出ます。

  • 吐き気、嘔吐
  • 下痢
  • 腹痛

発熱は軽度であることが多く、感染しても症状が一切出ない場合や軽い風邪のような症状で治る場合もあります。

その一方で、ノロウイルスの感染が死に繋がるケースもあるため、油断は禁物。もともと何かしらの疾患を持っていたり、高齢であったり、体が弱っている場合には、特に注意が必要です。直接ノロウイルスの症状で死亡せずとも、合併症を起こしてしまったり、嘔吐物を喉に詰まらせて窒息死してしまう場合もあります。

ノロウイルスの一般的な治療法は?

ではノロウイルスに感染した場合はどうしたらよいでしょうか。残念なことに、現時点でノロウイルスに効果のある抗ウイルス剤は存在しません。そのためノロウイルスに感染した場合は、症状を緩和する対症療法が一般的です。

嘔吐を繰り返すと脱水症状が心配されるため、水分と栄養の補給をしっか理と行います。あまりにもひどい脱水症状の場合は、点滴など病院での治療が必要になります。通常、発症してから1〜2日ほど症状が続いたあとは回復に向かいます。

ノロウイルスにかかったとき、摂るべき食事とは

もしノロウイルスにかかってしまったとき、食事はどうしたらよいのでしょうか。ノロウイルスでは吐き気や嘔吐症状がでるため、食事が難しい場合があります。

症状がつらいときは無理に食べない

嘔吐や吐き気がつらいときには、無理に食事をとる必要はありません。腹痛や下痢といった症状があるときには、特に胃腸を休ませる必要があります。1〜2日程度食べられなくても問題はありません。

ただし食欲不振の時に気をつけたいのは、水分補給です。普段食事で摂れている水分も摂ることができず、さらに嘔吐や下痢症状が伴っている場合は特に脱水症状に陥りやすく、脱水症状になると重症化しやすくなります。胃腸が弱っている時には、なるべく室温から人肌程度のぬるめの飲み物を摂るようにしましょう。また、経口補水液やスポーツドリンクがオススメです。

食べられるようになったら、胃に優しいものを選ぶ

不快症状が収まり食事を取れるようになってきたときには、どんな食事を選ぶのがよいでしょうか。弱っていた胃腸が回復し始めているので、極力胃に優しい消化しやすい食事を選ぶのがよいでしょう。たとえば、暖かい人参やかぼちゃを柔らかく煮たスープなどがオススメです。おかゆや素うどん等も食べやすいですが、栄養が少ないので、ゆで野菜などを一緒にいれ、嘔吐や下痢で失われた栄養を補給できると良いですね。味は薄めにするのがよいでしょう。

ノロウイルス対策に摂るべき5つの栄養素!

食欲がわいてきたら、身体の回復に役立つ栄養素を積極的に摂るようにしましょう。下痢や嘔吐によって栄養素も排出されてしまいますので、吸収率の高いサプリメントや、医療機関で受けられる栄養の点滴で、集中的に栄養素を摂取することで、回復のスピードを上げることができます。また、日常の生活に質のいい栄養素を取り入れることで、免疫力があがり、ノロウイルスをはじめとする感染症を発症しにくくなります。

ここでは、免疫力を上げたり粘膜を強くしたりすることで、予防・回復を助けてくれる栄養素を5つ紹介します。

ビタミンC

免疫力を高めるために必要不可欠な栄養素です。体内に侵入したウイルスを弱め、発症を抑えたり、回復を助けてくれます。また、炎症を抑える効果もあるので、ノロウイルスによる下痢・嘔吐で炎症を起こしている胃腸の回復にも役立ちます。ビタミンCは口からの摂取だと吸収率が非常に低いので、サプリメント等を1日数回に分けて摂るか、医療機関で提供されているビタミンCの点滴がオススメです。

ビタミンD

ビタミンDは免疫力を上げるためにとても重要な栄養素。過去には日本の慈恵医大の研究で、ビタミンDのサプリを飲むことでインフルエンザの発症率が4割減ったという結果も出ています。

ビタミンA

ビタミンAは粘膜を強くし、免疫力を正常化する働きがあります。ノロにかかると、嘔吐や下痢で胃腸の粘膜がダメージを受けるので、回復期にはビタミンAが含まれる食事がおすすめです。レバーやウナギ、卵などに含まれています。ビタミンAは取りすぎると吐き気や頭痛などの副作用が出る場合もあるので、サプリメント等で摂りすぎないように注意しましょう。

マグネシウム

マグネシウムは、必須ミネラルのひとつで、エネルギー代謝や、神経や免疫の機能を助けるなど、体内で様々な役割を担っています。しかし、下痢になると大幅に失われてしまうため、回復してきたら必ず補給が必要です。不足すると、だるさ、食欲不振、免疫力の低下などを招きます。

※便秘薬として使われるような酸マグネシウムは、下剤のような効果があり下痢が悪化してしまうので、ノロウイルスにかかった時や回復時は避けましょう。

マグネシウムは海藻類やゴマなどに多く含まれています。そもそも現代人はマグネシウムが不足しがちなので、日常生活の中でも積極的に摂取するようにしましょう。

水溶性食物繊維

水溶性食物繊維には腸内環境を改善する力があります。ノロウイルスによって悪化してしまった腸内環境を整えるためにも、積極的に摂取しましょう。

海藻類やさつまいも、果物などに含まれますが、海藻類にはマグネシウムも含まれるので特におすすめです。腸内環境の改善の意味では、ヨーグルトなどで乳酸菌をとりいれるのも効果的です。

まとめ

ノロウイルスにかかってしまったときは、まずは脱水症状に気をつけて安静に過ごすことが大切です。ノロウイルスは回復したように感じても、しばらくウイルスが滞在していると言われています。回復後も1〜2週間は二次感染に気をつけて生活するようにしましょう。特効薬はないので、ノロウイルスに感染しないように、手洗いうがいなどの基本的な対策はかかさないようにしましょう。

今回あげた5つの栄養素は、ノロウイルスに限らず、インフルエンザや風邪などの予防・治療時にも効果が期待できます。是非日々の生活でも意識して摂取するようにしましょう!食事から栄養が取れない場合は、サプリメントや点滴による補助も可能です。栄養療法に詳しい医師に相談してみるのもよいでしょう。相談先に迷う時は、日本オーソモレキュラー医学会の医師検索が便利です。

https://isom-japan.org/clinic/search

冬の時期に合わせて気をつけたい「インフルエンザ」対策についてはこちらの記事でまとめています。合わせてご覧ください。

【参考】
厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html

マイナビニュース「ノロウイルスや胃腸炎にかかったときの食事、どうすればいい?」
https://news.mynavi.jp/article/20171223-561921/

柳澤 厚生 (ヤナギサワ アツオ)先生の関連動画

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