令和4年1月19日、厚生労働省はファイザー社製mRNAワクチン「コミナティ」について、5〜11才の小児への接種を認可しました。同日、日本小児科学会も「5〜11才の健康な小児へのワクチン接種は意義がある」とする考えを表明し、同学会の提言を受け、厚生労働省は3月から小児へのワクチン接種を全国で開始することに決めました。
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「健康な小児に対する新型コロナワクチン接種」 に対する医師・歯科医師の意識調査の結果
2022年3月以降、国内でも5才から11才の小児に対する新型コロナワクチン接種が開始します。
しかし、小児におけるワクチン接種に関しては、専門家でも意見が分かれており、なかなか判断ができずにいる方も少なくないのではないかと考えられます。そこで「小児における新型コロナワクチン」に関する意識調査を行うことといたしました。
結果、一週間で医師・歯科医師の計541名にご回答いただきましたので、今回は調査結果のご報告をいたします。
ご自身のお子様もしくはお孫様の接種で悩まれている方にとって、本調査結果が判断材料の一つとなることを願っております。
はじめに
しかし、このワクチンの重篤な副反応データや長期安全性データについて、まだ調査が不十分であることは否定できません。また、ワクチン接種後の死亡例の多くについては、ワクチンとの因果関係は不明であると報告されています。
そのような状況下ですが、小児はコロナに感染しても重症化しにくいため、小児へのワクチン接種の意義に関しては、様々な意見が出ています。日本小児科医会も「重症化がまれな小児期の接種意義は、成人および高齢者への接種と同等ではない」という見解を出しています。
当学会においては、ワクチン「反対」でも「推進」でもなく、常に「慎重」の立場であり、子どもへのワクチン接種においては、保護者が正しい情報を元に慎重に判断する必要があると考えています。ところが、テレビメディアや新聞では、小児に対するワクチン接種を推進する内容の情報に偏っており、一方でワクチンの副反応に関する報道が少ないように映ります。
そこで、当学会では「健康な小児に対する新型コロナワクチン接種に対する医師・歯科医師の意識調査」を実施することにしました。調査を実施した理由として、以下の2点が挙げられます。
- 国民の多くは、医師がワクチンの重要性および副反応についての情報や知識をより多く有すると考えていると推定されること
- 医師の意見が、自分の子どもにワクチン接種を行うか否か判断する上で参考になる可能性が高いこと
本調査結果には、例えば「医師は自分の子どもにワクチンを接種するのか?」「医師は友人から相談を受けた時に子どもへのワクチンを推奨するのか?」などの質問項目が含まれます。本調査の目的は、この結果を国民に広く伝えることによって、親が子どもへのワクチン接種を行うか否かの判断をする一助となることを期待したものです。
調査方法と対象について
まずは本調査の対象と調査方法についてお伝えいたします。
対象者と調査期間
一般社団法人 日本オーソモレキュラー医学会、一般社団法人 こどもコロナプラットフォーム、点滴療法研究会に登録されている医師・歯科医師ならびに各所属会員より本調査への協力を呼びかけられた医師・歯科医師。上記3団体に登録されている医師・歯科医師にはインターネット上の調査用紙の回答ならびに職場の同僚や知人に調査への協力の呼びかけを依頼しました。
本調査は2022年1月27日〜2月3日の7日間行いました。
調査用紙について
依頼者が中立的立場であることを明らかにするため、回答を依頼するメールには厚生労働省のワクチン副反応の最新データに加え、日本小児科学会と日本小児科医会の関連記事(①〜④)を参考資料として附記しました。
回答依頼項目
- 回答者プロフィール(医師種別、性別、年齢、勤務先種類、主な診療科、都道府県、氏名、所属先、メールアドレス)
- 質問の内容
①家族に子や孫がいる場合にワクチン接種をするか否かとその理由
②親戚や知人から子どもへのワクチン接種を相談された場合の対応とその理由
③回答者のワクチン接種歴
④国や自治体、医師会から届くワクチンの副反応情報に対する評価
調査結果
本調査で得られた結果を公表いたします。
回答者のプロフィール
まずは回答数、年代、勤務先、そして専門領域などの回答者プロフィールを公表します。
回答者数
男性384名・女性157名の計541名(医師301名・歯科医師240名)
回答者の年代
20代1名、30代23名、40代140名、50代235名、60代124名、70代17名、80代1名
回答者の勤務先
診療所(84.7%)、一般病院(7.6%)、教育機関関連病院(5.0%)
<表1>回答者の主たる勤務先
回答者の専門領域
回答者の専門領域は多岐に渡ります。医師では内科が139人と最多で、産婦人科、皮膚・美容皮膚科、精神神経科、小児科、整形外科、外科と続きました。
<表2>回答者の専門領域
自分の子ども・孫へのワクチン接種に対する考え
「ご家族に5才~11才の子どもや孫がいますか?」という質問に対して、医師86名・歯科医師83名の計169名が「はい」と回答しました(表3:上段)。
この169名の中で「5才~11才の子ども、もしくは孫にワクチン接種をしますか?」という質問に「する」と回答したのは5.3%(医師5.8%・歯科医師4.8%)、一方で「しない」と回答したのは71.6%(医師70.9%・歯科医師72.3%)、「しばらく様子を見てから判断する」と回答したのは20.7%(医師20.9%・歯科医師20.5%)でした(表3:中段)。
また、「その他」と回答した4名のうち3名は「どちらかといえば接種を避けたい」という意見でした。
「接種をしない」「しばらく様子を見てから判断する」と回答した156名(医師79名・歯科医師77名)は、その理由として「決めるための情報が十分でない」(66.0%)、「この年齢にワクチンは必要でない」(65.4%)、「副反応が心配」(60.3%)、アレルギーなどの健康上の理由(10.9%)、その他(8.3%)(複数回答可)と回答しています(表3:下段)。
<表3>自分の子や孫へのワクチン接種に対する意識
親戚や友人から子どもへのワクチン接種を相談された場合の返答
次に「親戚や友人から子どもへのワクチン接種を相談されたら接種を推奨しますか?」との質問に対し、「推奨する」と回答したのが6.7%(医師8.6%・歯科医師4.2%)、「推奨しない」が64.0%(医師59.5%・歯科医師69.6%)、「しばらく待つように言う」が24.4%(医師26.9%・歯科医師21.3%)でした(表4:上段)。
また、「接種を推奨しない」「しばらく待つように言う」と回答した478名(医師260名・歯科医師218名)がそのように判断した理由としては、多い順に「決めるための情報が十分でない」(66.3%)、「この年齢にワクチンは必要でない」(64.0%)、「副反応が心配」(59.4%)、アレルギーなどの健康上の理由(12.3%)、その他(7.1%)(複数回答可)となりました(表4:下段)。
<表4>親戚や友人から接種を相談された時の返答
回答者の新型コロナワクチン接種歴
回答者のワクチン接種歴は多い順に「接種していない」が55.1%(医師51.8%・歯科医師59.2%)、「3回接種した」が23.5%(医師29.6%・歯科医師15.86%)、「2回接種した」が20.1%(医師16.6%・歯科医師24.6%)、「1回接種した」が1.3%(医師2.0%・歯科医師0.4%)でした(表5)。
<表5>回答者の新型コロナワクチン接種歴
公的な副反応情報に対する評価
「国や自治体、医師会から届くワクチンの副反応情報は十分ですか?」との質問に対して、「十分である」が2.2%、「やや十分である」が9.2%、一方で「不十分である」が47.7%、「あまり信頼していない」が37.3%、「その他」が3.5%であり、低い評価が目立つ結果となりました。
<表6>国や自治体、医師会から届くワクチン副反応情報への評価
回答者の信頼レベル
回答者の二重投稿やなりすましを防ぐために、個人情報管理を厳格にすることを伝えた上で ①メールアドレス の入力を必須とした上で ②氏名、③所属の自由入力を求めました。その結果、74.3%が氏名と所属を記入しており、これは高い信頼度と言えるのではないでしょうか。
<表7>回答者の個人情報公開レベル
本調査結果のご報告は以上となります。
なお、調査報告書PDFはこちらよりダウンロードいただけますので、是非ご活用下さい。
上記報告書には、本稿では掲載しきれなかった回答者の生の声も掲載しております。
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