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慢性疲労症候群とミトコンドリアの切っても切れない関係

慢性疲労症候群とは、生活が著しく損なわれるような強い疲労が少なくとも6ヶ月以上の期間持続ないし再発を繰り返す疾患です。

この慢性疲労症候群も慢性疾患の1つと捉えると、細胞内でエネルギーを生産するミトコンドリアの機能障害もその一因となる可能性があります。

ほとんど全ての細胞にはミトコンドリアが存在し、多くの体のプロセスで使用されるエネルギー分子であるATP(アデノシン三リン酸)が合成されます。ATPの生成にはいくつかの栄養素、とりわけビタミンB群コエンザイムQ10が重要な役割を果たします。

疲労を回復して健康を最適化するために、ミトコンドリアに栄養を与える方法は多くあります。まずは可能な限り環境毒素を避けること、さらに最大の健康を得るにはどの栄養素がミトコンドリアに栄養を与えるのか知ることが重要です。

ミトコンドリアの機能を低下させる要因

ミトコンドリアは独自のDNAを持つ唯一の細胞小器官で、ミトコンドリア内には“ミトコンドリアDNA(以下mtDNAと記載)”と呼ばれるDNAがあります。mtDNAは、両親から受け継いだ遺伝情報を含む核DNAとは異なり、母親から受け継がれます。これは卵細胞のミトコンドリアが子孫にmtDNAを提供しているためです。

mtDNAは核DNAより損傷を受けやすく、健康なミトコンドリアの遺伝能力を持っていても、下記に記載する項目をはじめとする多くの要因によって損傷を受け、ひいては機能喪失につながります。


<mtDNAに損傷を与える主な因子>

  • 環境毒素(重金属や他汚染物質の蓄積)
  • 睡眠不足
  • 慢性ストレス
  • 高血糖
  • 酸化ストレス
  • 銅毒素(特に脳ミトコンドリア)


必要量よりもミトコンドリアの数が少ない、パフォーマンスに必要な基質のレベルが不十分、膜の損傷あるいはATP合成の機能不全につながる問題が発生すると、結果としてATPまたは細胞エネルギーが減少します。その一方でフリーラジカルが増加し、エネルギー合成の代替経路への依存度が高まります。

これらの問題のいずれか、もしくはいくつかの組み合わせは、健康上の問題を引き起こす可能性があります。

ミトコンドリアにエネルギーを供給するためにできること

では、疲労回復し健康を最適化するためには、ミトコンドリアにどのような栄養を与える必要があるのでしょうか。

エネルギー産生に必要なもの

はじめに、ミトコンドリアのエネルギー産生に必要なものについてお話しします。

まずビタミンB群は、ミトコンドリア機能とエネルギー生産に重要な働きをします。「ビタミンB群のいずれか一つが欠乏しても機能障害の一因になる」とも言われています。特にエネルギーを生成する酸化的リン酸化反応の重要な成分であるNAD+またはNADHは、ニコチン酸(B3)から合成されます。

NAD+の前駆体であるNR(ニコチンアミドリボシド)とNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)は話題にも上がっています。ある研究では「NRを1日2回摂取することでNAD+の血清レベルが上昇し、さらにNADHとCoQ10を組み合わせて補給することで慢性疲労症候群のATP産生が改善され酸化ストレスが軽減された」という報告があります。

CoQ10は、膜内に存在しミトコンドリアサポートに重要な役割を担っています。また、カルニチンは脂肪酸のエネルギーへの分解に不可欠であり、クレアチンはミトコンドリアから細胞質への高エネルギーリン酸結合に役立ちます。

健康なミトコンドリアに必要な栄養素と食材

次に、ミトコンドリアの栄養素で重要な抗酸化物質についてお話しします。αリポ酸、リコピン、EGCG(エピガロカテキンガレート)※1、グルタチオン、メラトニン、NAC(N-アセチルシステイン)、ケルセチンやレスベラトロールなどのポリフェノール、プロアントシアニジン※2、セレン、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛などが挙げられます。

なかでもグルタチオンは抗酸化物質としてだけではなく、環境毒素の解毒にも大変重要な役割を果たす物質です。また、亜鉛は重要な抗酸化物質であることに加え、ミトコンドリアの酸化還元調節においてカルシウムと並んで役割を果たします。

ただし、亜鉛の過剰はセレンと同様に酸化ストレスを軽減するだけでなく酸化ストレス自体に関与してしまう可能性があります。実際の食事では、以下の食材を意識して取ると良いでしょう。

  • ビタミンB群:肉類や種子など
  • アルファリポ酸:ブロッコリー、ビーツ、にんじん、芽キャベツ、トマトなど
  • カルニチン:アスパラガス、牛肉、鶏肉など
  • CoQ10:ブロッコリー、カリフラワー、魚、レンズ豆、肉、ごま、大豆、ほうれん草、イチゴなど
  • セレン:鳥肉、卵、豚肉、七面鳥、ナッツなど
  • 亜鉛:小豆、牡蠣、ゴマ、七面鳥、カボチャの種など

慢性疲労の進行状態によっては、食事のみでは間に合わない可能性もあります。そのような場合はメディカルサプリメントなどの補給も必要となるかもしれません。サプリメントを補給する際には、専門の医療機関でご相談されることをお勧めいたします。

最後になりましたが、ミトコンドリアの全体的な健康にはライフスタイルの影響も大きく関わっています。運動や定期的な断食、ストレスの軽減や環境毒素の暴露の軽減も大切です。


※1:緑茶に最も多く含まれるカテキン
※2:ポリフェノールの主成分





<参考文献>

・https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5086445/
・https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22837795/
・https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22513923/

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