花粉症の有病率は年々増加傾向にあり、2008年では39.4%、2019年に至っては49.2%という数値を示していて、約2人に1人が罹患しているとも言われています。この背景として、スギ・イネ・ヒノキ・キク花粉の飛散量の増加が影響していると考えられています。
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専門医が推奨する花粉症予防・対策
日本国内で花粉症に悩む方は年々増加しています。花粉が飛ぶ前からできる緩和対策としては、症状出現前からの内服薬のが効果的とされています。また、2020年から保険適応が認められた注射薬・オマリズマブ(※重症のスギ花粉症患者が対象となります)にも期待が寄せられています。本記事では、その他花粉症対策として心がけたい習慣についてもご紹介したいと思います。
花粉の飛散量は年々増加中?
花粉症の症状が強く出る日の特徴としては、
- 晴天の日
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前日に雨が降った日
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最高気温が高めの日
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湿度が低く、乾燥した日
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強めの南風が吹いた後、北風に変わった日
などが挙げられます。
特に今年は花粉量が昨年の2倍と予想されておりますので、昨年症状が軽かった人も今年は注意が必要です。
近年進化を遂げる抗アレルギー薬
内服薬には『鼻アレルギー診療ガイドライン』の通り、抗ヒスタミン薬(第2世代)を中心に使用します。メーカーによって少し眠気が出る方もいますが、第一世代と比較すると副作用も少なく、非常に使いやすい薬剤となっています。最近では内服薬だけでなく貼布薬も販売されているため、内服が苦手な方にはこのような貼るタイプがおすすめです。症状によっては点眼薬や点鼻薬を同時に併用する場合もあります。
最新治療「オマリズマブ」とは?
毎年症状がひどく内服薬の効果が乏しい12歳以上の重症アレルギー性鼻炎の方、とりわけスギによる季節性アレルギー性鼻炎の症状に悩む方に対し、昨年から適応が認められた治療法があります。それが生物学的製剤(抗IgE抗体)であるオマリズマブの注射です。
当院でも昨年から導入を開始したところ、「今年も注射を受けたい」いう方が多くいらっしゃいます。オマリズマブの効果については、しっかりとエビデンスも認められています。
症状緩和のためにできること
花粉症対策として、まずは症状が悪化する前から内服することをおすすめします。「約1ヶ月前から内服を継続していると症状があまり強く出現しない」と言われておりますので、可能であれば症状の出現前から内服を始めましょう。また、アレルギーの症状を軽くするためには、普段からの規則正しい食生活が肝心です。
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早寝早起きをする
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バランスの取れた食事を心がける
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適度な運動をする などして、日頃から体調を整えておきましょう。
さらに体に負担をかけないために、以下の点も意識してみて下さい。
- 暴飲暴食は避ける
- お酒やお菓子は控えめに
- 体に優しいお茶や野菜をたくさん摂る
また、帰宅時には玄関前で衣類に付着した花粉を払い落としてから室内に入ると症状の軽減にもつながります。うがい・鼻うがい・洗顔で花粉を洗い流すとより効果的です。さらに、花粉シーズンにはドアや窓を閉め、外からの花粉の侵入を防ぐことも重要なポイントになります。とはいえ、完全に花粉を持ち込まないのは難しいことです。外から持ち込まれた花粉を除去するためにも、こまめな掃除を心がけましょう。
花粉シーズンにおいては、なるべく布団は外干しせずに布団乾燥機などを使うようにしましょう。どうしても干したい場合は、花粉の飛散量が比較的少ない午前中がおすすめです。
症状が強くなった際のセルフケアとしては、
- 顔や身体をタオルで冷やす
- 花粉症予防眼鏡やマスクをしっかりと着用する
といったこともおすすめなので、是非試してみて下さいね。
<参考文献>
- 『鼻アレルギー診療ガイドライン―通年性鼻炎と花粉症―2020年版』 (ライフ・サイエンス,2020,改訂第9版)
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