新型コロナウイルスに感染したほとんどの人は、自宅もしくはホテル療養での回復が見込めます。こうした状況の中で各々ができることは、インフルエンザの時と同様です。例えば、下記のような行動が挙げられます。
- 個別の病気
- 治療法・栄養
COVID-19に対するビタミンC・ビタミンDの有効性についてのハーバード大学の見解
ハーバード大学医学部は2021年1月13日、新型コロナウイルス治療におけるビタミンCとビタミンDの可能性について言及しています。本稿では原文『Treatments for COVID-19』(『Harvard Health Publishing』掲載記事)を和訳しながら、自宅療養時に症状改善のために推奨されることも併せてご紹介していきます。
自宅療養中にできること
- 十分な休息を取る
- しっかりと水分を補給する
- 発熱や痛みを和らげるために薬を服用する
こうした対策は、自宅療養の際にも役に立ちます。
ハーバード大学医学部のビタミンに対する見解
さて、気になるのはビタミンCとビタミンDに対するハーバード大学の見解です。掲載内容を要約すると、ビタミンDに関してはかなり肯定的に捉えている一方、ビタミンCについては高濃度ビタミンC点滴を行う場合もあると述べた上で、一般的な治療ではないとしています。ビタミンCについては、まだエビデンスに乏しいとやや反対の立場のようです。
ビタミンDは私たちをCOVID-19から守ってくれる
新型コロナウイルスに感染した時、ビタミンDが重症化を防ぐために役立つ可能性を示唆するいくつかのエビデンスがあります。例えば、ビタミンD濃度の低い人は上気道感染症にかかりやすい可能性があることを私たちは知っています。あるメタアナリシス※1では、ビタミンDサプリメントを摂取した人(とりわけビタミンDレベルが低い人)の場合、摂取しなかった人よりも急性気道感染症を発症する可能性が低いことがわかりました。
ビタミンDは、新型コロナウイルスから私たちを以下2つの方法により保護してくれるかもしれません。
- ウイルスやバクテリアに対する私たちの体の自然な防御を高める可能性がある。
- 新型コロナウイルスへの感染で重症化した一部の人々に生じる過剰な炎症反応を防ぐために役立つ可能性がある。
私たちの体は日光を浴びてビタミンDを生成します。一週間のうちのほとんどもしくは数日、日焼け止めを塗らずに5分〜10分ほど腕・脚・背中に日光を当てることで、十分な量のビタミンDを摂取できます。
ビタミンDの優れた食料源としては、以下のような食品が挙げられます。
- 脂肪の多い魚(マグロ・サバ・サーモンなど)
- ビタミンDで強化された食品(乳製品・豆乳・シリアルなど)
- チーズ
- 卵黄 など
推奨される毎日のビタミンD摂取量は、70歳以下の成人では600 IU、70歳以上では800 IUです。なお、毎日1,000〜2,000IUほどのビタミンDサプリメントの摂取は、ほとんどの人にとって安全である可能性が高いです。有害となるリスクが考えられるのは、成人の場合で1日あたりの摂取量が4,000IUを超えた場合です。
※1:複数の研究結果を統合して算出する解析手法
まだエビデンスとしては不十分か、新型コロナ治療としてのビタミンC
「新型コロナ患者の治療に高用量のビタミンCが使用されていると聞きました。これは効果があるのでしょうか。また、新型コロナウイルスへの感染を防ぐためにビタミンCを摂取する必要はありますか?」という質問に対して、ハーバード大学医学部は以下のように述べています。
「新型コロナ重症患者の中には、確かに早期の回復を期待して静脈内への高用量ビタミンC点滴で治療されている方もいます。しかし、それが新型コロナウイルス感染症に効果があるという明確かつ説得力のある科学的なエビデンスは現時点ではなく、この感染症においては標準的な治療ではないでしょう。新型コロナ感染症の予防という観点からも、ビタミンCの摂取が感染を防止すると断言できる証拠はありません」
また、ビタミンCの摂取量についても「標準量のビタミンCの摂取は一般的に無害ですが、高用量となると吐き気・けいれん・腎臓結石のリスクの増加などの副作用を引き起こす可能性がある点には注意が必要です」と結論付けています。
<参考ウェブサイト>
・https://www.health.harvard.edu/diseases-and-conditions/treatments-for-covid-19?fbclid=IwAR1nRihs6CwN-JHIvuxgVgGXXDIWHZzVTCZ8MrSOP1Np576_Vn1X5mRImJU (『Harvard Health Publishing』2021/1/13掲載)
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