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国際オーソモレキュラー医学会 第48回世界大会開催レポート(柳澤 厚生)

この記事の執筆者

SPIC Clinic

一般社団法人日本オーソモレキュラー医学会代表理事。スピッククリニック名誉院長。 杏林大学医学部卒、同大学院修了。 医学博士。杏林大学保健学部救急救命学科教授を経て、2008年より国際統合医療教育セン ... [続きを見る]

目次

    2019年5月31日から3日間、カナダのバンクーバーにて開催された国際オーソモレキュラー医学会 第48回世界大会(Orthomolecular Medicine Today Conference)。今大会の様子をご報告します。

     

    参加者

    世界各国から約250人の医師・歯科医師などが出席しました。日本からは日本オーソモレキュラー医学会理事、松山 淳先生(松山医院・群馬県)、松村 浩道先生(スピッククリニック・神奈川県)、西脇 俊二先生(ハタイクリニック・東京都)、内山 葉子先生(葉子クリニック・福岡県)など総勢20人が出席しました。

    講演の幕開け

    <写真1>開会の挨拶をする筆者

    本医学会の会長を務める私・柳澤 厚生の開会挨拶からはじまり、3日間で合計13講演が行われました。各講演内容は分子栄養医学を軸足に、がん治療の基礎と臨床、精神疾患、栄養療法によるインフルエンザ治療、自己免疫療法、ビタミンDやグルタチオンの最新知見など多岐にわたりました。

    殿堂入り式典

    大会2日目の夜には、オーソモレキュラー医学会・殿堂入りのセレモニーがフェアモントホテルにて行われました。これまでの殿堂入りメンバーには、ノーベル賞を二回受賞したライナス・ポーリング博士、エイブラム・ホッファー先生、ヒュー・リオルダン先生など分子栄養医学に貢献した73人のパイオニアがいます。日本人では、金子 雅俊先生、北原 健氏、阿部 博幸先生、水上 治先生、溝口 徹先生、柳澤 厚生の計6人が受賞しています。

    晩餐会に引き続き、カーター事務局長より受賞者が発表されました。2019年は3人のパイオニアが受賞され、学会長である私からクリスタルの盾を贈呈しました。各受賞者についてご紹介したいと思います。

    <写真2>今回殿堂入りを果たしたバートン・バークソン氏、マーク・レビン氏、マイケル・ホリック氏(右から)

     

    バートン・バークソン医師

    ニューメキシコ統合医療センターの所長であるバークソン氏は、私が日本で会長を務める点滴療法研究会の国際ボードメンバーの一人です。αリポ酸点滴によるがんや膠原病の治療を普及させた功績により殿堂入りとなりました。
    研修医時代、毒キノコ中毒により劇症肝炎を発症した患者をαリポ酸の点滴で治療したことから、この分野の臨床研究に入りました。FDAのαリポ酸に関する主任研究員を23年間務め、さらには米国疾病予防管理センターのキノコ中毒のエキスパート・コンサルタントでもあります。
    私が彼と出会ったのは、2009年に開催された英国の学会でした。クリニックに招いていただいたこともあり、私にとっては父親のような存在です。そのため、受賞盾を渡す時には胸に熱いものが込み上げてきました。

    マーク・レビン医師

    レビン氏はアメリカ国立衛生研究所(NIH)栄養療法部門の上級研究員です。高濃度ビタミンC点滴療法が、がん細胞のアポトーシスを誘導する機序を米国アカデミー紀要に発表し、ポーリング博士が提唱するがんへのビタミンC療法が正しかったことを証明したことで、今回の受賞となりました。
    氏は、ハーバード大学医学部を卒業し、ジョンズホプキンス病院でトレーニングを受けた後にNIHで研究者としてのキャリアを積みました。以前からお会いしたいと思っていたのですが、その願いが今回実現しました。
    レビン氏と情報交換をする中で、共同臨床研究を持ちかけられたため、帰国してから詰める予定です。

    マイケル・ホリック医師

    ホリック氏は、ビタミンDの基礎研究とビタミンDの重要性を国民に伝える活動が評価されました。氏は、ビタミンDが血液中においては25-ヒドロキシビタミンD3の状態であることを世界で初めて発見、さらに活性型ビタミンD3を分離同定しました。さらにヒトのビタミンD必要量や疾病との関係について、これまで精力的に研究を行ってきました。すでに国際的ないくつもの賞を受賞しています。

    オーソモレキュラー医学の未来を感じた第48回世界大会

    これまでにカナダで開催された世界大会は、古典的なオーソモレキュラー医学を踏襲している講演内容が多く、講演者にも新鮮さが感じられなくなっていました。そのために同窓会的な大会となり、年齢の高い出席者が目立ち、人数も減少傾向にありました。しかし、昨年3日間で計2,000人を集めた東京大会に刺激された今回の世界大会では、プログラムが一新され、臨床現場が必要とする最新の治療研究を実践的に発表する講演者が選定されました。

    私が国際オーソモレキュラー医学会に携わり10年以上経ちますが、参加者の平均年齢が若くなり、出席者も2〜3割ほど増えた印象を受けました。来たる2020年のバレンシア大会を、今から心待ちにしています。

    日本オーソモレキュラー医学会、記念すべき第1回総会

    そして令和元年である今年7月20、21日に日本オーソモレキュラー医学会の第1回総会を、私が会頭で東京の笹川記念館で開催します。オーソモレキュラー医学はピープルズメディスン(市民の医学, people's medicine)であり、開業医や市民の中から生まれた医学です。第1回総会は研究発表の場ではなく、臨床現場や市民生活の中で実践的に活用できる具体的な情報を伝える場とし、参加される方にとって有益なものとなるよう、相応しい講師を招いています。

    ヘルスケア・プロフェッショナルから健康・栄養に関心の高い方まで集まっていただき、期待を越える学会にする所存です。
    皆様と当日会場でお会いできることを楽しみにしています。
    <第1回総会HP>
    https://isom-japan.org/seminar/event_annoucement