新型コロナウイルス感染症(以下「新型コロナ」と記載)は、2020年から日本および世界中で流行が始まりました。同年後半からは、新型コロナに対するmRNAタイプのワクチン(以下「新型コロナワクチン」)接種が開始となりました。
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新型コロナワクチン副反応・後遺症の実態 ①臨床症状について
新型コロナ感染症に対するワクチン接種により、いわゆる「ワクチン後遺症」が多発し、重篤例や死亡例も相次いでいます。
その症状は、倦怠感、歩行障害、ブレインフォグ、胸部痛など極めて多彩です。重篤例では寝たきりとなり休職や離職に至った方もいます。
こうしたワクチン接種後の副反応・後遺症に悩む方の中には、病院を受診しても診察自体拒否される、あるいは検査では何の異常もなく「治療法はない」と一蹴され、タライ回し状態となっていわば難民化している人が少なくありません。
ワクチン接種後の死亡例は接種当日から翌日が最多であり、死数日以内での血栓症が多く、接種後の経過とともに炎症性疾患や悪性腫瘍などが目立ってきます。
ワクチン副反応・後遺症に関しては、臨床研究や症例検討によっていくつかの医学的要因が関係することが明らかになりつつあり、一部の医療機関で各種の治療が行われています。
2002年から流行したSARSではМE/CSF(筋痛性脳脊髄炎・慢性疲労症候群)が関係し、各種神経のシナプス(神経間隙)において神経伝達物質受容体に炎症が生じ、多彩な神経機能異常に基づく諸症状が発生すると説明されました。
そして、今回のワクチン副反応・後遺症でもМE/CSF類似の病態が発生し、運動機能障害やブレインフォグなどが発生すると指摘されています。
こうした広範な炎症は、ワクチンに含まれる「mRNA」がスパイクタンパクを量産し、それを標的として全身各組織で自己免疫現象が広範に生じるためと説明されています。同時に、自然免疫の低下による帯状疱疹や各種ガン増悪の事例が多発しているのが現状です。
また、全身の血管内で微小血栓が多発することも指摘されており、接種後の早期死亡例の多くは脳梗塞、心筋梗塞、肺梗塞などが原因となっています。さらに長期的な影響として、スパイクタンパクが卵巣などに長く留まることによる不妊症の多発などが危惧されています。
新型コロナワクチンの副反応にみられる症状
そして、新型コロナワクチンは日本でも1回以上ワクチン接種をした国民が8割以上となるなど広く普及しています。
ところが、新型コロナワクチン接種後の体調不良(以下「ワクチン副反応・後遺症」)の事例が多数発生しており、重篤な事例や死亡例も相次いでいます。厚生労働省の公式統計で判明しているだけでも、2022年4月1日現在、1667人もの方がワクチン接種後に亡くなっています。
ワクチン後遺症の症状は多岐にわたりますが、報告が多い症状だけでも、
- 全身倦怠感
- 歩行障害
- 筋力低下
- ブレインフォグ(思考力や集中力、記憶力などの低下)
- めまい・立ちくらみ
- 脱毛
- 皮疹
- 呼吸苦および胸部苦痛
- 動悸・息切れ など
と枚挙にいとまがありません。
接種後の体調不良、医療サポートは
前提として、ワクチン副反応・後遺症の深刻さには大きな個人差がありますが、著しい例では接種後まもなくから体調不良で動けなくなり、数ヶ月間も寝たきりに近い状態となっている方もいらっしゃいます。そうなると仕事の続行は当然困難となり、多くの方が休職や離職を余儀なくされています。
こうした体調不良に陥った方々は、総じて十分な医療的サポートを受けられていないのが現状です。地域の病院やクリニックを受診したとしても、「当院でワクチン後遺症は診られません」などと告げられ、診察自体を拒否されるケースが少なくありません。
また、仮に診察を受けられたとして、様々な検査を受けたものの「何の異常もなく、治療法もない」と告げられ、他の医療機関でも同様の扱いを受けたという方も、多く見受けられます。結果的に医師の間で“タライ回し状態”となり、いわば「難民化」しているのです。
接種後の死亡事例における主な死因
ワクチン後遺症の重篤化あるいは死亡に至る経緯は様々ですが、これらが最も多発しているのは接種の当日から翌日にかけてで、2日後、3日後と続きます。つまり、ワクチン接種後の比較的早い時期に重篤化あるいは死亡する事例が多い傾向があります。
死亡する方の死因としては、接種して数日以内であれば「血栓症」の多さが目立ちます。すなわち脳血栓や心筋梗塞、肺梗塞など、急性の血栓症です。そして接種後の経過とともに、炎症性疾患や自己免疫疾患、悪性腫瘍などによると思われる死亡が増えてきます。
本稿の冒頭で、接種後の死亡者が4月1日現在1667人であると記載しましたが、それは厚生労働省が正式に「接種後の死亡」と認定した事例数であって、実際には計上されていないワクチン副反応・後遺症による死亡事例は決して少なくないと考えられます。
次第に明らかになってきたワクチンのしくみと副反応の相関関係
多くの医療機関で「原因不明」とされても、それは単に検査では「主要臓器に明らかな疾患がない」と診断されただけです。例えば、腫瘍はない、大きな血栓はない、目に見える炎症所見はない、明らかな臓器肥大や萎縮はない、などと除外診断をされたに過ぎません。
しかしながら、今回の論点となっているワクチン副反応・後遺症に関しては、主として海外における臨床研究や症例検討により、いくつかの医学的要因が関係していることが明らかになりつつあります。そして海外だけでなく日本においても、一部の医療機関で各種治療法が行われるようになってきました。
世界中の研究者から指摘される、SARSとの「ある共通点」
ワクチン後遺症の要因分析の伏線として、2002年から東南アジアなどで流行した「SARS」があります。SARS後の後遺症で多彩な神経症状が多発したのを受けて研究が進められ、その要因の一つとして、МE/CSF(筋痛性脳脊髄炎・慢性疲労症候群)が注目されました。
МE/CSFでは、運動神経や自律神経などのシナプス(神経間隙)において、免疫異常を背景として神経伝達物質の受容体に炎症が生じます。その結果、セロトニンやアドレナリンなどの神経伝達物質の機能障害を招き、多彩な神経機能異常に基づく諸症状が発生するとされています。
例えば、歩行障害や筋力低下を含む運動機能障害は、運動神経のシナプスまたは神経筋接合部(神経終板)において、慢性炎症をベースとした神経接合部の機能不全および神経伝達物質の枯渇を招いて運動機能の低下や破綻をもたらす、などと説明されています。
今回のワクチン副反応・後遺症でもこのМE/CSF類似の病態が発生していることが、世界中の研究者から指摘されています。つまり「運動機能障害やブレインフォグ、各種の自律神経失調症状などは、神経接合部の炎症と神経伝達物質の機能不全が関与している」というのです。
神経伝達物質の機能不全は、直接的には前駆物質であるタンパク質の代謝障害、代謝経路の補酵素である鉄やビタミンB群などの欠乏が関係しています。実際に、血液検査を行うと鉄やビタミンB群などの欠乏、タンパク質代謝障害などの存在が検出されます。
「免疫異常」と「自然免疫の低下」
神経接合部などに炎症が生じると前述しましたが、神経組織以外でも全身各組織で炎症が生じることが指摘されています。例を挙げると、心筋や心膜、皮膚や毛根組織、副腎などの内分泌組織、肺や肝臓などの炎症が知られており、これはつまり全身どこでも炎症が生じ得るということです。
そのように広範な炎症が生じる原因として、ワクチンがもたらす「免疫異常」が挙げられます。「ワクチンに含まれるmRNAがコロナウイルスのスパイクタンパクを多量に産生し、それを標的として全身の各組織で『自己免疫」現象が広範に生じ得る」と説明されています。
次に、免疫異常と相反する現象として、自然免疫の低下が指摘されています。ワクチン接種が引き金となってNK細胞(ナチュラルキラー細胞:がん細胞やウイルス感染細胞などが侵入した際に見つけ次第攻撃する、免疫システムの「要)となる細胞)などが関係する自然免疫が低下し、ヘルペスウイルスによる帯状疱疹の多発や、各種ガンの発症あるいは増悪するケースが多数報告されています。
それと並び、全身の血管内で「微小血栓」が多発することも指摘されています。デルタ株までのコロナウイルスは血管壁ADE受容体に作用して血栓を形成することが知られていますが、新型コロナワクチンも同様の機序で全身の血管内で血栓を形成すると言われています。
実際、冒頭で説明したように接種後の数日以内に死亡した方の多くにおいては、何らかの「血栓症」が死因であると報告されています。血栓症は全身各所で発生する可能性がありますが、重篤もしくは死亡に至りやすいのは脳梗塞、心筋梗塞、肺梗塞など、通常でも致死率の高い血栓症です。
今後憂慮されること
ワクチン副反応・後遺症は、比較的短期間で発現する副反応のみならず、長期的な影響も懸念されています。スパイクタンパクは卵巣など生殖器にも長く留まることが証明されており、実際に女性の生理不順なども多く発生しています。今後は、不妊症や奇形の多発などが危惧されているのが現状です。
次回以降はワクチン副反応・後遺症の各種治療、医療体制の構築、学術的なレベルアップなどに関して論じることにいたします。
<参考文献>
・https://www.ncnp.go.jp/topics/2020/20200703.html(筋痛性脳脊髄炎 (ME/CFS)の自律神経受容体抗体に関連した脳内構造ネットワーク異常を発見,国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター(NCNP))
・https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jon.12751(Hiroyuki Fujii, Wakiro Sato, Yukio Kimura,et al.Altered Structural Brain Networks Related to Adrenergic/Muscarinic Receptor Autoantibodies in Chronic Fatigue Syndrome)
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