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記念すべき第50回国際オーソモレキュラー医学会カンファレンスと受賞者のご紹介

この記事の執筆者

鎌倉元気クリニック

一般社団法人日本オーソモレキュラー医学会 代表理事。鎌倉元気クリニック 名誉院長。 杏林大学医学部卒、同大学院修了。 医学博士。杏林大学保健学部救急救命学科教授を経て、2008年より国際統合医療教育 ... [続きを見る]

2021年5月28〜29日、私が会長を務める国際オーソモレキュラー医学会の第50回目となるカンファレンスが開催されました。今回は新型コロナウイルスの影響もあり、カナダ・トロント市からオンラインで世界25カ国の人々へ向けて配信されました。

筆者による開会のあいさつ

「国際オーソモレキュラー医学会会長として、皆様と記念すべき第50回目のカンファレンスを祝えることを嬉しく思います。この節目に改めてエイブラム・ホッファー先生、ライナス・ポーリング先生をはじめとする多くのパイオニアの先生方の偉業に対し敬意を表します。

オーソモレキュラー医学会の「ニューエイジ」に生きる私たちのミッションは、研究や教育ならびに実践を通してオーソモレキュラー医学を世界に広めることにあります。

新型コロナが蔓延る時代において、オーソモレキュラー医学はこれまでにないほど医療従事者や市民へ拡がりました。なぜなら、オーソモレキュラー医学による新型コロナ予防および治療は効果的かつ実践的であり、ひとたび始めようと思えば即導入が可能であることに加えて安全・安価なためです。是非、皆で健康な世界を作っていきましょう。それでは第50回国際オーソモレキュラー医学会カンファレンスの開会を宣言します」

主な講演プログラム

様々な分野の講師を迎え、2日間にわたり計12の講演が行われました。内容は国際オーソモレキュラー医学会の歴史、オーソモレキュラー栄養療法によるメンタルヘルス、精神疾患、アルコール依存症、がん治療、新型コロナウイルス感染、幹細胞療法などです。

その中でも特に私が注目したのは、アメリカのリチャード・チェン博士による「ビタミンCと新型コロナウイルス感染:オーソモレキュラー療法は患者の予後を改善する」という講演でした。

チェン博士は、ビタミンCの経口投与や点滴の効果についてデータを示しながら解説したのち「ビタミンCだけでなく、人間の体内では様々な栄養素が相互に関わりながら免疫力を高め、新型コロナウイルス感染に立ち向かいます。ライフスタイルも含め統合医学的なオーソモレキュラー療法こそがこれからの主流になると確信しています」という言葉で締めくくったのが印象的でした。

2021年度殿堂入りメンバーのご紹介

学会2日目の最後には、ライブ配信でオーソモレキュラー医学名誉の殿堂入り授賞式が行われました。カナダ本部のカーター事務局長が選出された3名の殿堂入り受賞者を発表しました。

チアミン欠乏症を研究したデリック・ロンズデール博士

1人目の受賞者はデリック・ロンズデール博士(1924〜)です。

<写真1>チアミン欠乏症の先駆者である小児科医デリック・ロンズデール博士

ロンズデール博士はイギリスで生まれ、 ケンブリッジのクイーンズ大学医学部を卒業後、ロンドンのサイデンハム小児病院で小児科医としての道を歩み始めます。1953年にはカナダのオンタリオ州に移住し、カナダ空軍の医師として勤務した後、アメリカのクリーブランドクリニックに勤めることになります。この時に栄養療法、特にチアミン(ビタミンB1)欠乏症について関心を持ち、多くの業績を残しています。

最近では子宮頸がんワクチン後遺症とチアミン欠乏との関連性を報告しています。彼はこれまでに「ビタミンB1の臨床使用への栄養士ガイド」(1987)、「なぜ私は正統派医学を去ったのか:21世紀を癒すために」(1994)、「新しい医学のための栄養的アプローチ:近代的な医学はあなたを助けますか?」(2013)、「チアミン欠乏症病害と高カロリー栄養失調」(2017)などの著書があります。

国際オーソモレキュラー医学会はチアミン欠乏症の先駆的な研究と治療の確立に対し、ロンズデール博士を殿堂入りの受賞者に選出しました。

モハメド・アリの栄養アドバイザーを務めたリチャード・A・パスウォーター博士

二人目の受賞者はリチャード・A・パスウォーター博士(1937〜)です。

<写真2>抗酸化栄養素の研究で著名なリチャード・A・パスウォーター博士

米国デラウェア州ウィルミントン生まれのパスウォーター博士はデラウェア州立大学で科学を学び、さらにアルバーニア大学で博士号を取得しました。分析化学会社などに勤めたのちに栄養科学研究所に勤め始め、セレンや様々な抗酸化物質の研究を行い、抗酸化物質の相乗作用を発見しました。

1970年代初頭には、ナショナルフットボールチームの初めての栄養アドバイザーに就任します。プロボクサー、モハメド・アリの栄養アドバイザーでもありました。1975年に出版した『スーパー栄養:メガビタミン革命』はベストセラーとなり、これまでに栄養に関する45冊以上の書籍、600にも及ぶ論文を書いています。 日本でも1997年に『パスウォーター博士のがんと闘う超栄養療法―微量栄養素の使い方』が翻訳出版されています。

パスウォーター博士は彼が上げた栄養に関する世界的な功績から、殿堂入り受賞者として選出されました。

再生医療で業績を生み出したニール・リオルダン博士

最後となる3人目の受賞者はニール・リオルダン博士です。父親は高濃度ビタミンC点滴療法で有名なヒュー・リオルダン博士です。

<写真3>再生医療で多くの成果を生み出したニール・リオルダン博士

リオルダン博士はウィチタ州立大学で理学士号を最優秀で取得、ネブラスカ大学医療センターで修士号を取得しました。その後、アメリカ医科大学で健康科学の博士号を取得しました。リオルダン博士は、高品質の栄養補助食品を提供するアイダンプロダクツ社、再生医療製品を提供するシグネイチャー・バイオロジック社の会長でもあります。

また、国際的な医学誌に70編を超える科学論文を発表し、多発性硬化症、脊髄損傷、心不全、関節リウマチ、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(遺伝性で男児のみが発症する疾患。徐々に全身の筋が萎縮してしまうのが特徴的)、自閉症などに対する幹細胞療法により成果を出しています。

国際オーソモレキュラー医学会はリオルダン博士の卓越した再生医療の業績を評価し、受賞者に選出しました。余談ですが、リオルダン博士とは米国のパールメーカー賞を同時に受賞したのを機に親友のようなお付き合いをさせてもらっています。

カンファレンスを終えて

50周年にふさわしい講師の方々の講演プログラムでした。本年も昨年に続きWEBでの開催となりましたが、次回の第51回カンファレンスは皆様を直接会場でお迎えできることを楽しみにしております。