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第53回国際オーソモレキュラー医学会(アメリカ開催)の出席報告

この記事の執筆者

鎌倉元気クリニック

一般社団法人日本オーソモレキュラー医学会 代表理事。鎌倉元気クリニック 名誉院長。 杏林大学医学部卒、同大学院修了。 医学博士。杏林大学医学部内科助教授を経て、2000年〜2008年同大学保健学部救 ... [続きを見る]

2024年5月17日〜19日の3日間に渡り、アメリカのアリゾナ州スコッツデール市のダブルツリー・パラダイスバレーホテル(写真1)において第53回国際オーソモレキュラー医学会(ISOM)が第15回アメリカ先端実践医療カンファレンス(AAMP)との合同開催で行われました(写真2)。

私は昨年の第52回学会の時に会長を退いているので、今回の学会は気が楽で、新しい知識を入れることに集中ができます。

<写真1>学会会場となったダブルツリー・パラダイスバレーホテル

<写真2>国際オーソモレキュラー医学会(上)とアメリカ先端実践医療カンファレンス(下)のロゴ

学会のトピックは「成人と小児の神経多様性について」

AAMP会長のポール・アンダーソン先生の開会宣言で3日間の学会のスタートです(写真3)。

<写真3>学会プログラムの表紙

学会のトピックは自閉症、小児多動症、神経炎症疾患、小児急性発症神経精神症候群などの精神神経疾患における多様性でした。各講演者の話は、様々な神経疾患を単一と考えずに遺伝、代謝、栄養、毒物など様々な観点から多様性として診断治療をするという新しい考えに集約されていきました(写真4)。

神経疾患は私の専門外でしたが、メチレンブルーという色素を使った治療が印象的でした。メチレンブルーは日本でもメトヘモグロビン血症の治療薬として点滴製剤があります。このメチレンブルーが脳のミトコンドリアにおけるATP生成における電子の受け渡しに関わることから 注意欠陥症候群、慢性疲労症候群、記憶障害、ブレインフォグ、減量、さらには運動後のリカバリーなどに用いられるようになっています。アメリカではコロナワクチン後遺症にも使用され、以前から関心を持っていました。私自身もBEST365社のメチレンブルー錠を2ヶ月間服用していますが、体調は非常に良いです(写真5)。

2024年名誉の殿堂入り

恒例の国際オーソモレキュラー医学会「名誉の殿堂入り」式典は、学会二日目の昼食会で催されました。今年の殿堂入りはAAMP会長のポール・アンダーソン先生です(写真6)。

<写真6>2024年の名誉の殿堂入りに選ばれたポール・アンダーソン先生

アンダーソン会長は、統合医療および自然療法医学において複雑な感染症、慢性疾患、および腫瘍性疾患に焦点を当てた教育者および臨床医です。30年以上の臨床経験に加えて、米国国立衛生研究所(NIH)の研究費支援によるがん患者に点滴療法や統合療法を使用した介入研究試験の責任者を務めました。

彼は、シアトル(ワシントン州)にがんおよび慢性疾患に焦点を当てたクリニックであるAdvanced Medical Therapiesを設立し、米国および海外のクリニックや病院と提携しています。これまでに複数の医学校でのポスト、バスティア大学の薬理学および臨床医学の教授、バスティア腫瘍研究センターの点滴治療部門の責任者などを務めています。現在の彼の関心は生化学、免疫学、ゲノミクス、および代謝修復です。彼は講演者および執筆者としても積極的に活動しており、オンラインによる教育講演やコンサルティングをしています。彼は2019年(カナダ・バンクーバー)、2023年(ブラジル・サンパウロ)、2024年(アリゾナ州・米国)に開催されたオーソモレキュラー医学会で発表を行いました。

昨年のブラジルでの彼の講演は、高濃度ビタミンC点滴療法でした。その治療プロトコルは繊細で、かつエビデンスが集約されていました。例えば高濃度ビタミンC点滴療法の前後での電解質の変化について彼のデータを公開していました。それによれば高濃度ビタミンC点滴療法の後にナトリウムの増加、クロールの低下、カルシウムの低下が見られ、補正の方法についても詳しく述べていました。

私はこれまでに何度かアンダーソン先生とお会いし、彼の講演を聴いています(写真7)。教え方も丁寧で分かりやすく、教育者として一流です。アンダーソン先生にぜひ日本に来て、私たちに教えて欲しいとリクエストしたところ、快諾されました。今年か来年にはお呼びしたいと約束をしました。

<写真7>アンダーソン先生と筆者

おわりに

さて、来年2025年の国際オーソモレキュラー医学会は中国の上海、2026年はロンドンでの開催が計画されています。ぜひ日本の医師の方とツアーを組んで出席したいと考えています。

【参考】

AAMPのウエブサイト:https://aampconferences.com

Best365Lab社のウエブサイト:https://www.best365labs.com

 

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