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Alzheimer’s is Preventable(アルツハイマー病は予防できる)!

この記事の執筆者

鎌倉元気クリニック

一般社団法人日本オーソモレキュラー医学会 代表理事。鎌倉元気クリニック 名誉院長。 杏林大学医学部卒、同大学院修了。 医学博士。杏林大学保健学部救急救命学科教授を経て、2008年より国際統合医療教育 ... [続きを見る]

認知症は、加齢によって生じる「防げない病気」だと思っていませんか?

ところが、ビタミンB群を補給することによって脳の萎縮を抑制できる可能性を示唆する研究もあります。多くの病気は、食事や生活習慣の改善で予防できることが期待されており、これは認知症も例外ではありません。

そうした中 、“認知症は予防できる”ことを世界中の多くの人に伝えるべく、2022年11月に「Alzheimer’s is Preventable」キャンペーンが始まります。

私たちが直面する健康課題、解決策はどこに

2021年のクリスマス、NASAが長い年月と巨額の資金をかけて開発したジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が打ち上げられました。

現在、この宇宙望遠鏡は地球から100万マイルの軌道を回っている深宇宙からの画像を得ることができます。ビッグバンの直後、星が誕生したばかりの宇宙の始まりを振り返るというのは、なんと大胆なビジョンでしょう。

この輝かしい科学の進歩とは裏腹に、私たちは今、平均寿命の低下、がん、糖尿病、肥満、アルツハイマー病、精神疾患の増加など、心身における健康状態の悪化という奈落の底を見つめています。こうした憂慮すべき傾向をどのように逆転させるか気付くために、望遠鏡は必要ありません。

というのも、すでに解決法を科学が発見しているからです。その解決策は、あなたが街中で見かける「とある場所」、健康食品を取り扱うお店にあります。私たちは最適な栄養を補給するという、わずかなコストで不必要な苦しみの大半を解消する方法を知っています。

しかし、栄養学を自分自身および国における最上位の健康課題として、早い段階で認識しなければ、生活の質と生活の量は今後も低下し続けることになるのではないかと危惧しています。

脳の大きさは過去1万年の間に1.49kgから1.35kgに縮小し、IQは一世代で約7%も低下していることをご存知ですか?

認知症リスクを減らすための「8つの提案」

2022年11月、フード・フォー・ザ・ブレイン(Food for the Brain)財団は、「Alzheimer’s is Preventable(アルツハイマー病は予防できる!)」というキャンペーンを開始します。

これまで、37万人以上の方が無料の認知機能テスト(free Cognitive Function Test)を受けて認知症リスク指数を算出し、8つの確立されたリスク領域をターゲットとして、認知症リスクを低減する方法を彼らに提案しています。

その提案とは、

  • 炭水化物や糖質の少ない食事
  • 抗酸化物質が豊富な植物性食品
  • ホモシステインを低下させるビタミンB群の摂取
  • オメガ3やビタミンDなど脳の脂質の最適化
  • 健康な腸のサポート
  • 良質な睡眠とストレスの軽減
  • アクティブな心と体 
など、とりわけハードルが高いものではなく、すでに多くの人が聞いたことがあるような内容です。

これらの中の1つ、ビタミンB群の補給によるホモシステインの低下に着目しただけで、脳の萎縮が最大で73%抑えられ、記憶力の低下を抑制します。さらに認知症予備軍の30%が臨床的認知症評価ゼロで進行することなく1年を終えることができました。

興味深いことに、オックスフォード大学のデイビッド・スミス教授らのグループによるこの研究では、オメガ3が不足しているとビタミンB群の効果が得られないことがわかりました。最も効果があったのは、オメガ3を十分摂取している状態で、ホモシステインを低下させるビタミンB6、ビタミンB12、葉酸を摂取していた場合でした。

つまり、これらの予防法には相乗効果があるということです。フード・フォー・ザ・ブレイン(Food for the Brain)財団は、これら全てをターゲットにした場合にどうなるか調査しようとしています。

認知症は「避けられない病気」ではない

<図1>8つの領域(Before)

<図2>8つの領域(After)


8つの領域におけるリスクレベルは、それぞれ赤から緑への信号システムで評価されます。そして各リスク因子のスコアを緑、黄色、オレンジ、赤とし、各要素をリスクのない緑に変えられるように食事や生活習慣を見直していきます。(図1)(図2)

2022年11月、フード・フォー・ザ・ブレイン(Food for the Brain)財団は、認知症予防のための食事および生活習慣を段階的に改善するための、個人用対話型脳機能改善アプリ「COG-NITION」をリリースします。現在、認知症は死因の第1位であると同時に、最も治療費がかかり最も恐れられている病気でもあります。

科学顧問の国際トップチームは、このシンプルな戦略によって「アルツハイマー病の発症者数を1/3に減らし、英国だけでも年間100億ポンド(およそ1兆6000億円)以上の医療費削減に貢献できる可能性がある」と予測しています。

本当に素晴らしいことは、年長者が不必要に心を失うのを目の当たりにする悲劇をなくすことです。アルツハイマー病のうち、遺伝子が関与しているものはわずか1%です。

アルツハイマー病は食事と生活習慣による病気であり、正常な加齢による結果ではありません。そして「COG-NITION」を、この解決策の1つとして活用していただけたらと考えています。

自分の今の認知機能レベルがわかる?「COG-NITION」の使い方

まずはじめに、www.foodforthebrain.orgで認知機能テストを行い、ご自身の状態を把握し、その仕組みについて理解しましょう。次に、このメール版を40歳以上の知人・友人に送り、同様にやってみてもらうことをおすすめします。

このチャリティーには多くの支援が必要となりますので、友達に登録していただければ「COG-NITION」にアクセス可能です。

プロジェクトの詳細やその他の支援方法については、「Alzheimer’s is Preventable orアルツハイマーは予防できる」宣言(www.foodforthebrain.org/AIPmanifesto)に記載しています。

11月1日には、世界各国の専門家による「アルツハイマー病が本当に予防可能である理由」を説明するマスタークラスが開催予定です。マスタークラスの詳細については、こちらをご覧ください。

柳澤 厚生 (ヤナギサワ アツオ)先生の関連動画

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