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世界で最も健康的な食事

ーカナダフードガイドー

この記事の執筆者

鎌倉元気クリニック

一般社団法人日本オーソモレキュラー医学会 代表理事。鎌倉元気クリニック 名誉院長。 杏林大学医学部卒、同大学院修了。 医学博士。杏林大学保健学部救急救命学科教授を経て、2008年より国際統合医療教育 ... [続きを見る]

「健康的な食事」と聞いて思い浮かべる内容は、人によって違うかもしれません。
さて、今回は、2019年5月末からカナダ・バンクーバーで開催された国際オーソモレキュラー医学会 第48回世界大会の中でジョン・ホッファー教授が行った講演にて話題に上がった「世界で最も健康的な食事」についてお話しします。今一度、食事について考えてみましょう。

「世界で最も健康な食事」

2019年5月31日よりカナダのバンクーバー市で開催された国際オーソモレキュラー医学会 第48回世界大会にて、カナダ・マギル大学医学部内科のジョン・ホッファー教授が「栄養療法の相乗効果が急性・慢性疾患を予防・治療する」と題する講演を行いました。

彼は講演中に「世界で最も健康的な食事」という観点から、ロマリンダダイエット(自然の収穫物、野菜、果物、ナッツをベースにした聖人の食事)、DASHダイエット(高血圧を治療・予防する食事)、地中海ダイエット(循環器疾患の予防と長寿)、カナダのフードガイド、日本人の食事、そして石器時代の食事について解説しました。

<写真1>マギル大学(カナダ)のジョン・ホッファー教授

これらの中でも、最も新しいのが2019年1月にカナダ保健省より発表されたカナダのフードガイド(Canada’s food guide:以下フードガイドと表記)です。ホッファー教授も「世の中には様々なフードガイドがあるが、カナダのガイドラインは政府が提唱したもので、カナダ国民のライフスタイルに見合った方法である」と解説していました。

カナダフードガイド

ここでカナダのフードガイドを紹介しましょう。2007年に最初のフードガイドを発表してから、今回は12年ぶりの改訂となりました。このフードガイドは、自身の健康に強く関心を持っているカナダ国民、政策立案者、そして医療関係者に向けて作成されました。

内容

1.毎日、たくさんの種類の食材を食べる習慣をつけましょう

たくさんの野菜と果物、全粒穀物、タンパク質食品を摂ります。タンパク質食品は、植物由来のものを多く摂ります。食品は飽和脂肪酸ではなく、オメガ3など健康的な脂肪を多く含む食品を選びます。

2.加工食品を摂るのは制限しましょう。

食べるとしても、量と回数を少なくします。加工食品の成分を確認し、無塩無糖で飽和脂肪酸の少ないものを選びます。外食時もメニューから健康的なものを選びましょう。

3.砂糖の入った清涼飲料水ではなく、水を選びましょう。

4.食品に添付されている成分を見ましょう。

5.流通している食品の選び方次第で、健康にとって良い影響も悪い影響も受けます。

<写真2>カナダフードガイド2019 日本語版

このフードガイドの基本を表したのが<写真2>です。写真を見てみるとワンプレート内の理想的な食材の配分がわかりますね。文章でまとめると次のようになります。

(1)カラフルな野菜と果物を多く摂る。量は全体の半分を占める。

(2)タンパク質の食材は全体の1/4ほど。タンパク質の主体は植物性タンパク質、中でも豆類を多めに。(※一方、牛肉、魚、乳製品などの動物性タンパクの比率は、以前のフードガイドと比較するとかなり低くなっている)

(3)残った1/4は全粒穀物(玄米など)。

(4)食事中は清涼飲料水ではなく水を飲む。

健康的な食習慣


“Healthy eating is more than the foods you eat.”

-何を食べるかも大切ですが、どのように食べるかはもっと大事です−

健康的な食べ方とは

[1]食習慣に目を向けることが大切です。どのように、また、どのような時に食べますか。ゆっくりと時間をかけて食べましょう。空腹時のみでなく、満腹の時にも注意が必要です。

[2]自分で料理しましょう。何を食べるか計画を立て、それに家族も巻き込みましょう。

[3]食事自体を楽しむ。

[4]1人ではなく、家族や友達、同僚と一緒に食事をしましょう。

ホッファー教授の経験的サプリメント処方

ホッファー教授は講演の最後に、高いレベルの健康を手に入れるには次のような食事とサプリメントを推奨すると述べました。

総体的健康になるための経験的な処方

(1) カナダフードガイドに従う

(2) ニコチンアミド 500-1,000 mg、1日2回

(3) ビタミンC 500 mg/日

(4) 複合ビタミンB

(5) ビタミンD3を1,000-2,000 IU/日または10,000-20,000 IU/週

(6) オメガ3の豊富な魚油 最大1 g/日

日本オーソモレキュラー医学会の立場から願うこと

カナダ政府と保健省の取り組みは、国民の健康を考えるといった意味で、とても素晴らしいものと言えます。日本オーソモレキュラー医学会としては、今後日本政府がカナダ政府と同様に、日本人の体質に合ったジャパンフードガイドを作成してくれることを願っています。

ただ、現実的には、厚生労働省が「全粒粉の推奨あるいは乳製品ならびに加工食品の摂取量を極力抑えるように」などと発言すれば、農林水産省や経済産業省を通じて、各業界から圧力がかかる可能性があります。しかし、ここでオーソモレキュラー医学を提唱したライナス・ポーリングの2つの言葉が頭に浮かびました。私がオーソモレキュラー医学の重要性について改めて認識するきっかけにもなったこれらの言葉を紹介し、今回の文章を締め括ろうと思います。

“Nearly all disease can be traced to a nutritional deficiency.”

ほとんどの病気の原因は、突き詰めてみれば栄養不足にある−

 

“Optimal nutrition is medicine of tomorrow.”

−未来の薬とは理想的な栄養である−





<参考ウェブサイト>

柳澤 厚生 (ヤナギサワ アツオ)先生の関連動画

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