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スーパーマンの恋人とオーソモレキュラー医学

この記事を執筆した先生

SPIC Clinic

杏林大学医学部卒、同大学院修了。医学博士。杏林大学保健学部救急救命学科教授を経て、2008年より国際統合医療教育センター所長。2011年国際オーソモレキュラー医学会殿堂入りし、2012年同医学会会長。日本で初めてマイヤーズカクテル、グルタチオン点滴、高濃度ビタミンC点滴療法、サルベストロールサプリメントを導入。

<TOP画像>スーパーマンと恋人ロイス・レイン役演じるマーゴット・キダー

おそらく知らない人はいない超大作『スーパーマン』シリーズで活躍した故マーゴット・キダーには、オーソモレキュラー医学との深い関わりがありました。それは、彼女自身の辛い経験があったからこそつながった、偶然とも必然ともいえる出会いでした。今回は、国際オーソモレキュラー医学会雑誌にスティーブン・カーター氏が執筆したマーゴットへの追悼記の一部をご紹介します。

女優マーゴット・キダー

マーゴット・キダーの代表作品は、超大作『スーパーマン』シリーズです。作中ではスーパーマンの恋人である記者ロイス・レイン役を『スーパーマンⅣ(1987年)』まで演じています。アメリカ国内において、彼女は政治活動家として広く知られていました。しかし一方で、メンタルヘルスケアのためのオーソモレキュラー栄養療法の普及を目指し、自ら広告塔となっていたことはあまり知られていません。

ホッファー博士との出会い、そして躁うつ病からの脱却

1996年、マーゴットは躁うつ病に苦しめられていました。鍼灸治療を受けていたある日、彼女は鍼灸師から、ある人物に診てもらうよう勧められました。その人物とは、これまで何千人もの精神疾患患者を治療してきたエイブラム・ホッファー博士です。こうしてホッファー博士を知ったマーゴットは、彼の元で治療を受け、見事躁うつ病を克服したのです。

オーソモレキュラー医学のドキュメンタリー映画に出演

1997年、マーゴットの躁うつ病を治療したホッファー博士が設立したカナダ統合失調基金(のちの国際統合失調基金)は、精神疾患におけるオーソモレキュラー療法に関する長編映画の制作が決まりました。そこで基金の事務局長であるスティーブン・カーター氏はマーゴットに電話をかけます。彼女に映画のナレーションを引き受けてほしいと告げたのです。基金の設立者がホッファー博士と知った彼女は「博士は私の命を救ってくれたわ。だからナレーションだけではなく、映画にも出演させてほしい!」と答えました。

1998年5月、基金はマーゴットをオーソモレキュラー医学のリーダーが集まる国際オーソモレキュラー医学会に招待し、彼女は他の出席者と一緒にオーソモレキュラー医学を学びました。この様子を撮影した映画『隠された狂気:癒しの科学』を観た人々は、学会の聴衆に混じっている1人の有名な女優の姿に驚きました。
同年10月には、マーゴットとホッファー博士、そしてオーソモレキュラー精神医学をリードする8名の医師が集まりました。そしてマーゴットがホッファー博士ら医師にインタビューを行う形式で、ドキュメンタリー映画の撮影が行われました。このドキュメンタリー映画は、世界中のテレビ局で配信され、オーソモレキュラー医学を知ってもらうためのベストフィルムとなりました。

<写真1>マーゴット・キダーとカナダ統合失調基金のスティーブン・カーター事務局長

その後の彼女の活動

ドキュメンタリー映画『隠された狂気:癒しの科学』の制作が終わった後、彼女はカナダ統合失調基金の名誉総裁に就任しました。市民向けワークショップ「精神疾患からの再生」を開催し、アメリカで毎年開催される学会内でも講演を行いました。マーゴットは自ら基金のスポークスマンとして、オーソモレキュラー医学の素晴らしさを何千人もの人々に伝え、感動を与えたのです。

ホッファー博士へ贈る言葉

2007年4月19日カナダのトロントで、ホッファー博士の生誕90周年を祝う晩餐会が行われました。MCを務めたマーゴットは、閉会のスピーチで博士にこう告げました。

「私がひどく精神を病んだ時、他の何千・何万もの患者が経験したように、主流となる精神医学は何の助けにもなりませんでした。博士とオーソモレキュラー医学に出会えた私は幸運です。あなたのパイオニア精神と深いヒューマニティは多くの人を救いました。あなたと共に仕事ができたことは、私にとっての誇りです。ありがとう!」

<写真2>マーゴット・キダーとエイブラム・ホッファー博士

天国へ旅立ったマーゴット

オーソモレキュラー医学の普及に貢献したマーゴットは、2018年5月13日に息を引き取りました。きっと今はホッファー博士と共に、オーソモレキュラー医学の動向を天国から見守ってくれていることでしょう。2人の想いを引き継ぎ、今後のオーソモレキュラー医学の普及を進めていこうと強く心に決めました。


※この記事は、『統合医療でがんに克つ』(2018年8月発行vol.122)にて掲載された原稿を再編集したものです。