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オーソモレキュラー医学ニュースサービスー日本語版

国際版編集主幹Andrew W. Saul, Ph.D. (USA)
日本語版監修柳澤 厚生(国際オーソモレキュラー医学会会長)
溝口 徹(みぞぐちクリニック)
姫野 友美(ひめのともみクリニック)
北原 健(日本オーソモレキュラー医学会理事)
翻訳協力Wismettacフーズ株式会社ナチュメディカ事業G

* 国際オーソモレキュラー医学会ニュース<日本語版>は自由に引用・配信ができます。引用の際は必ず引用元「国際オーソモレキュラー医学会ニュース」とURL(https://isom-japan.org/)を記載してください。

アスコルビン酸としてのビタミンC: 本当の話は?

執筆者: Andrew W. Saul編集員

(OMNS、2013年12月6日) アスコルビン酸としてのビタミンCについて、最近何か悪い噂を聞かれたことがあるだろうか。もしなければ、海王星に行くぐらい長く留守にされていたのかもしれない。私は、もう40年近くも、ビタミン剤へのバッシングについて、流行した他のあらゆるものと同じく、「流行」と「流行遅れ」があるのを見てきた。ビタミンC、とくに、安価なアスコルビン酸として摂る場合のビタミンCが激しい批判にさらされる時期が最近(再び)到来している。世界で最も適格なビタミンC支持者であるLinus Paulingは、純粋なアスコルビン酸の粉末または結晶を摂るよう、人々に強く勧めていた。

Pauling博士に会ったことがなくても、おばあちゃんは家で桃の缶詰を作るときにそれを使っていた。ビタミンCの粉末は、ずっと安価なままで、インターネットですぐに手に入る。小さじ4分の1杯で1,000 mgちょっとである。効力がそれよりもかなり低い粉末に出くわした場合は、混ぜ物が入っているかもしれない。これを基準として選ばなければならない。

私は、長いこと生徒にこう話してきた:「貴方が言わなければならないことを聞くための列に、Linus Paulingの話に耳を傾けなかった人たちが並んでいなくても、驚きすぎないこと」。Paulingは、ノーベル賞を二度、単独受賞している(彼は、そうした名誉が与えられた歴史上唯一の人物である)。しかし、アスコルビン酸でのビタミンC摂取について、まず基礎生化学の観点から熟考することもなく激しく非難する批判家に対しては、こうした受賞歴も防御の役目を果たさない。

「原子的には正しい」

ビタミンCは、アスコルビン酸、C6H8O6であり、まさにそれだけのことである。友だちを是非感心させたいのなら、アスコルビン酸を、(5R)-5-[(1S)-1,2-ジヒドロキシエチル]-3,4-ジヒドロキシ-2(5H)-フラノンと呼ぶこともできる。私は自分の大学の生徒に教えるのが好きだったので、「今日学校で何を習ったきたの?」と親から聞かれたときに答えられるようなものがここにはある。

たとえこの分子が、私が反対しているGMO(遺伝子組み換え生物)に由来していても、分子的に問題はない。炭素原子も、水素原子も、酸素原子も、遺伝子組み換えすることはできない。

こうした原子が自己を並べてC6H8O6の形を作る方法は2つある。一つはアスコルビン酸である。もう一つはエリソルビン酸塩で、これはイソアスコルビン酸またはD-アラボアスコルビン酸としても知られている。これは市販の酸化防止剤であるが、体内で必須栄養素として利用することはできない。

「酸性度」

「酸」という語は、我々を刺激するが、実際、アスコルビン酸は弱い酸である。オレンジを3個食べることできる場合や、炭酸のコーラを1本飲むことができる場合、また、魚フライやサラダに酢をかけても大丈夫な場合は、ほとんど心配することはない。実際に、正常な胃酸のほうがビタミンCより50倍以上強いのである。胃は、強酸に対処できるようになっており、こうした強い胃酸によっても栄養素は壊されない。もし栄養素が壊されるのなら、哺乳類はすべて死んでしまう。嘔吐したとき、喉に焼けるような感覚を覚える場合があることに、これまで気付いたことがあるだろうか。それが胃酸である。少しぞっとするが、生きていくためにそれが必要なのである。裂孔ヘルニアや逆流による多くの問題を抱えている人は、実際に、数カ月間も酸がたくさん逆流することがあり、そうした場合、喉に損傷や傷が生じる。

ビタミンCには、そのようなことは決して考えられない。不可能である。自動車のバッテリーに酢を入れても、エンジンはかけられないであろう。バッテリーに必要なのは硫酸で、これは非常に強い酸である。胃の中にある塩酸は、車のバッテリーの酸より若干弱い程度であるが、ビタミンCは、レモネードとほとんど同じくらい弱い。これは大きな違いである。

「プロバイオティクス」

ヨーグルトを食べたり、プロバイオティクスのカプセルを飲むと、胃に行き着く。胃の中では、この強い胃酸にさらされるが、これらは容易に切り抜ける。ヨーグルトに含まれているようなアシドフィルス菌(好酸性乳酸菌)は、「好酸性」であるため、こうした文字通りの命名となっている。「ヨーグルトを食べることやプロバイオティクスのサプリメントを他に摂ることが良策であること、そしてそれが役立つことは、多くの研究でわかっている。強い酸がそうした菌を殺さないのであれば、弱い酸が殺すこともないだろう。」

また、体内では、胃を過ぎてすぐ、ちょうど小腸が始まる場所で、高アルカリ性の物質が分泌されるので、これによって胃酸が中和され、その後に続く消化管が酸性にならないよう自動的に保たれている。体内で強酸を中和することができるのなら、アスコルビン酸は実質的に無関係である。

「緩衝剤での処理」

アスコルビン酸は緩衝剤で処理することができ、胃が敏感な人は、そうしたものを用いるべきである。非酸性の形態のアスコルビン酸もいろいろある。http://orthomolecular.org/resources/omns/v05n10.shtml 私は、ビタミン剤も、他のいかなる健康製品も、売り込むことはなく、ブランドの推奨をすることもない。

アスコルビン酸に関する風評にだまされたり踊らされたりしてはならない。アスコルビン酸は安価であり、役に立つ。アスコルビン酸ナトリウムの静脈投与に関する研究は別として、ビタミンCが疾患の予防と治療に効果があることを示している研究の大部分は、単純なアスコルビン酸を使用していた。そう、あの安物である。

テレビ番組「Leave it to Beaver(邦題:ビーバーちゃん)」で父親のWard Cleaverが幼い息子に言った言葉を覚えているだろうか。「自分にとって良いことを、誤りであると証明しようとして一生を過ごす人はたくさんいる。」

(OMNS編集員であるAndrew W. Saulは、健康科学、中毒後の回復、臨床栄養学および臨床化学の分野で指導を行っている。Dr. Steve Hickeyとの共著 「Vitamin C: The Real Story(ビタミンC:本当の話)」がある。)

詳細情報の参照先:
抗ウイルス剤としてのビタミンC: http://orthomolecular.org/resources/omns/v05n09.shtml

インフルエンザやウイルスに対するビタミンの大量投与: http://orthomolecular.org/resources/omns/v05n07.shtml

熱帯魚にはビタミンCによる腎臓結石ができているか? 熱帯魚はRDAをはるかに超える状態にある:?http://orthomolecular.org/resources/omns/v09n04.shtml

腎臓結石の本当の原因は何か(そしてビタミンCが原因ではない理由): ?http://orthomolecular.org/resources/omns/v09n05.shtml

ビタミンC: どの形態が最適か?: http://orthomolecular.org/resources/omns/v05n10.shtml

ビタミンCに関するIrwin Stoneの著書「The Healing Factor(治癒要因)」の全文は下記サイトに掲載されており、無料で閲覧可能: http://vitamincfoundation.org/stone/

経口投与量のビタミンCによって飽和状態(腸での許容量)に達する方法  執筆者 Robert F. Cathcat: http://www.doctoryourself.com/titration.html

Frederick Robert Klenner, M.Dに関する情報: http://www.doctoryourself.com/klennerbio.html

Dr. Klennerによる用量表: http://orthomolecular.org/resources/omns/v05n11.shtml

なぜ政府は人間よりモルモットのほうが重要と考えるのか: http://orthomolecular.org/resources/omns/v06n08.shtml

Levy, TE. Curing the Incurable. Vitamin C, Infectious Diseases, and Toxins.(不治の病を治す: ビタミンC、感染病、毒素) Henderson, NV: MedFox Publishing, 2004.
下記サイトにて閲覧可能:?http://orthomolecular.org/library/jom/2003/pdf/2003-v18n02-p117.pdf

Pauling L. How to Live Longer and Feel Better (寿命を長く、気分を良くする方法). Corvallis, OR: Oregon State University Press, 2006.:
下記サイトにて閲覧可能: http://www.doctoryourself.com/livelonger.html?.

ビタミンと栄養素に関するLinus Paulingの全文献目録は下記サイトに掲載されている:?http://www.doctoryourself.com/biblio_pauling_ortho.html