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オーソモレキュラー医学ニュースサービスー日本語版

国際版編集主幹Andrew W. Saul, Ph.D. (USA)
日本語版監修柳澤 厚生(国際オーソモレキュラー医学会会長)
溝口 徹(みぞぐちクリニック)
姫野 友美(ひめのともみクリニック)
北原 健(日本オーソモレキュラー医学会理事)
翻訳協力Wismettacフーズ株式会社ナチュメディカ事業G

* 国際オーソモレキュラー医学会ニュース<日本語版>は自由に引用・配信ができます。引用の際は必ず引用元「国際オーソモレキュラー医学会ニュース」とURL(https://isom-japan.org/)を記載してください。

ビタミンCはワクチンの副作用を防ぎ、ワクチンの効果をより高める

執筆:Thomas E Levy, MD, JD

ワクチン投与は日常的に行われているものでありながら、世界各国の例にもれず、米国でも議論が絶えない。わが子に最善のことをしてあげたいと願う親たちは、自ら決断を下すたび、その判断を誤ればわが子に危害をもたらしかねない恐怖と向き合っている。ワクチンを接種するにせよしないにせよ、それぞれに潜む危険をめぐる議論が、いつどの立場から見ても満足な決着をみることは当分ないだろう。ここでは、ワクチン接種全般についてどう考えているかに関係なく、小児科医にとっては患者さんに、親御さんにとってはわが子にずっと健康でいてほしいと思ったときに、実際に役立つ情報を提供しようと思う。

ワクチン接種が思わしくない結末に至る頻度をめぐる議論は多いが、ワクチンによる被害が実際に起きていることについて、ほとんど議論されていない。そこで浮かんでくるのは、頻度が少ないとはいえそのような被害を全くとはいかないまでも極力少なくするために、何ができるか、という疑問である。

ワクチン接種の副作用の原因

ワクチン接種に副作用および有害反応が実際に現れた場合、それはアレルギー反応によるものか、または弱った免疫系との負の相互作用の結果のいずれかに分類されることが多い。いずれの反応も、ワクチンを接種した結果、悪い反応が過去に一度でも現れたことがあれば、次回からは回避できるが、ワクチンの初回接種時に不都合な結果が起こらないよう、回避に努めることがきわめて重要である。

毒素、毒性作用、相当なアレルギー反応および免疫力低下の誘発はいずれも、それが直接的にも間接的にも最終的には、肝心の生体分子が酸化するという共通の特徴に行きつくものであるという事実がある一方で、抗酸化物質であるビタミンCが、いかなる毒素や過剰な酸化ストレスをも撃退する究極的に非特異的な物質であることはすでにわかっている。

ワクチンは、接種した人の免疫系に対して抗原に本来備わっている毒性をもたらすものであり、それに関する議論は大いに上がっている。しかし、たとえばチメロサール(ワクチンに用いられる水銀を含む防腐剤)が多量に存在すると極めて有害であることは疑問視されていない。ここで問いたい。現在ワクチンに用いられているチメロサールをはじめ、有毒となりうる成分の量による毒性が、ごく軽微なのか、中程度なのか、著明なのかを議論するのではなく、どんな毒性でもできるだけ完璧かつ徹底的に中和すればよいだけではないのだろうか。

ビタミンCは強力な抗毒素

ビタミンCには総合的な抗毒素特性(Levy、2002)があるほか、水銀の有毒性をその化学形態に関係なく中和する効果が高いことが明らかにされている。ある動物実験では、ビタミンCを投与した動物は、致死量の塩化水銀を投与しても死ななかった(MokranjacとPetrovic、1964)。また、ビタミンCを先に投与しておけば、水銀に曝露しても通常なら起きるはずの腎障害を予防することができる(Carrollら、1965)。ビタミンCはこのほか、シアン化水銀の致死作用をも遮断している(Vauthey、1951)。さらに、きわめて毒性の高い有機水銀も、ビタミンCによって効果的に無毒化されることがわかっている(Gage、1975)。

ビタミンCはワクチンの効果を高める

多大な毒性はごく一部の乳児から小児にしかみられないのに、そういった毒性のことばかり考え、それを抑制したり遮断したりするために一定量のビタミンCをワクチン接種前後に投与しないというのは、どうにも納得がいかない。しかも、いかなるワクチン接種プロトコルにもビタミンC投与を必ず盛り込む理由として、説得力のあるものがある。それは、ビタミンCが免疫系の抗体反応を増強させることが明らかにされているということである(Prinzら、1977;Vallance、1977;Prinzら、1980;Feigenら、1982;LiとLovell、1985;Amakye-Animら、2000;; Wuら、2000;LauridsenとJensen、2005;Azadら、2007)。いかなるワクチン接種もその目標は、そのワクチンに対して最も敏感な人にも毒性作用が極力起こらないようにしつつ、ワクチンという抗原に対して最大の抗体反応を起こさせることにあるため、医学的にみて、ワクチン接種プロトコルにビタミンC投与を盛り込まない理由はない。すでに著しい腎不全である場合を除き、ビタミンCはどう考えても、特に以下に示す量を投与する際には、あらゆる栄養素のなかで最も安全である。ほとんどすべての処方薬および一部サプリメントとは異なり、ビタミンCは、ある量を上回ると何らかの毒性が現れてもおかしくないという量が未だに確認されていない。

ビタミンCによって、ワクチンを接種した乳児から小児の死亡率は低下する

Kalokerinos(1974)は、ワクチン接種後の死亡率が異常に高いアボリジニーの乳児から小児を対象にした試験で、ワクチン接種前後にビタミンCを投与することによって、死亡という結末をほぼ完全に回避できることを繰り返し、かつかなり確実に明らかにしている。死亡率が高くなる理由としてはっきりわかっているものは、非常に粗末で壊血病を誘発しかねない(ビタミンCがほとんど含まれない)食べ物であり、それはアボリジニーが栽培する作物によくみられる。このことからも、明らかである。米国をはじめ世界のどこであっても、栄養状態がよければ、推奨量のビタミンCを投与することによって、基本的には毒素が引き起こす急性壊血病を原因とする死は免れるはずであり、それより毒性の小さいものは、いかなるワクチン接種によるものも予防できることはほぼ間違いない。論理的に考えても、毒性を中和し、かつワクチン接種で最も重要な抗体産生を刺激することがわかっている非毒性物質を投与しない理由はないことは至極明白である。

小児科医および親御さんのための投与量情報

それでは実際問題として、小児科医や親御さんはどのように臨めばいいのか。抗体を刺激して毒素から身を守るうえで最善なのは、ワクチンを接種する3~5日前から少なくとも接種から2~3日後まで投与することである。乳幼児の場合、リポソームカプセル化ビタミンCを1,000 mg投与することが、最も簡単かつ最善である。というのも、このビタミンCはゲル状で、ヨーグルトなど口にしやすい食べ物によく混ざる。しかも、リポソームは完全に近位吸収されることから、軟便など望ましくない腸管作用も起こらない。

アスコルビン酸ナトリウム粉末としてのビタミンCもよく効く。体重が4.5 kgに満たない乳児なら、1日500 mgをフルーツジュースに溶して与える。4.5~9 kgになると1日に計500~1,000 mgを数回に分けて与える。さらに年齢が上になれば、年齢×1,000 mgを与える(5歳児なら5,000 mgを数回に分けて、ということになる)。もしナトリウムを避けなければならない場合は、アスコルビン酸カルシウムなら許容性にもすぐれ、アスコルビン酸ナトリウムと同じく非酸性である。全部とはいかないが、アスコルビン酸カルシウムを原料とする小児用のチュアブルビタミン剤もある。必ず表示内容を確認すること。ビタミンCを1日数回に分けて与えると、吸収も忍容性もよくなる。子どもも年齢が上がるほど、食事に混ぜるなどすればアスコルビン酸のビタミンCも摂りやすくなる。特に腸が敏感な小児は、リポソームカプセル型ビタミンCにするか、または1回分を無理なく摂取できる量に減らしてみること。

年齢がさらに上になっても、毎年受けるインフルエンザの予防接種のように、感染予防のため何度もワクチンを接種しているものがひとつでもあれば、考え方はほとんど同じである。差し迫ったことが実際にないか、めったにない場合には、ワクチンを接種する前後数週間ずつでよいので、可能な範囲でビタミンCのサプリメントを摂ること。

ビタミンCは、上記の投与量を1回摂るだけでも、ワクチン接種直前であれば毒素中和作用および抗体刺激作用がある。ただし、その前後の期間が長いほど、よい結果に至る可能性は高まる。

(Thomas Levy, MD, JDは、心臓専門医の資格と、コロラド州およびコロンビア特別区の弁護士資格を持つ。ビタミンCに関する書籍や論文も多数執筆。ただし、リポソームカプセル化ビタミンCのブランドを販売する企業のコンサルタントではある。Levy医師によるビタミンCの講義はこちら:http://www.youtube.com/watch?v=k0GC9Fq8lfg

 

参考文献:

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Azad, I., J. Dayal, M. Poornima, and S. Ali (2007) 食物のレベルを上回る量のビタミンCおよびビタミンEは、ホルマリンで殺菌したVibrio vulnificusに対するサバヒーの稚魚の抗体産生および免疫記憶を強化する Fish & Shellfish Immunology 23:154-163

Carroll, R., K. Kovacs, and E. Tapp (1965) ラット腎の塩化水銀中毒の予防 Arzneimittelforschung 15:1361-1363

Feigen, G., B. Smith, C. Dix, et al. (1982) ビタミンCの大量投与による抗体産生の強化と全身性アナフィラキシー予防 Research Communications in Chemical Pathology and Pharmacology 38:313-333

Gage, J. (1975) 有機水銀化合物を生分解するためのメカニズム:アスコルビン酸の作用と可溶性タンパク質の作用 Toxicology and Applied Pharmacology 32:225-238

Kalokerinos, A. (1974)小児二人に一人. New Canaan, CT: Keats Publishing, Inc.

Lauridsen, C. and S. Jensen (2005) 授乳期前期にall-rac-α-トコフェリル酢酸、授乳期後期にビタミンCを補うことが、α-トコフェロールおよび子ブタの免疫応答に及ぼす影響 Journal of Animal Science 83:1274-1286

Levy, T. (2004) 不治のものを治す-ビタミンCと感染症と毒素 Henderson, NV: MedFox Publishing

Li, Y. and R. Lovell (1985) 食餌中のアスコルビン酸量が増えれば、ブチナマズ免疫応答が高まる The Journal of Nutrition 115:123-131

Mokranjac, M. and C. Petrovic (1964) 致死量の水銀中毒の解毒剤としてのビタミンC Comptes Rendus Hebdomadaires des Seances de l’Academie des Sciences 258:1341-1342

Prinz, W., R. Bortz, B. Bregin, and M. Hersch (1977) アスコルビン酸補給がヒト免疫防御機構の一部のパラメータに及ぼす影響 International Journal for Vitamin and Nutrition Research 47:2248-257

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日本語訳監修:姫野 友美(ひめのともみクリニック)