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オーソモレキュラー医学ニュースサービスー日本語版

国際版編集主幹Andrew W. Saul, Ph.D. (USA)
日本語版監修柳澤 厚生(国際オーソモレキュラー医学会会長)
溝口 徹(新宿溝口クリニック)
姫野 友美(ひめのともみクリニック)
北原 健(日本オーソモレキュラー医学会理事)
翻訳協力Wismettacフーズ株式会社ナチュメディカ事業G

* 国際オーソモレキュラー医学会ニュース<日本語版>は自由に引用・配信ができます。引用の際は必ず引用元「国際オーソモレキュラー医学会ニュース」とURL(https://isom-japan.org/)を記載してください。

最新の研究で明らかにされた新型コロナウイルス感染におけるビタミンDの役割

目次

    執筆:William B.Grant,PhD

    OMNS202069日)

    体内のビタミンD値が高いほど新型コロナウイルス感染症の発生リスク、重症度ならびに死亡リスクが低くなることを示した医学的エビデンスが増えています。本報では、20206月初めまでに入手できた関連情報を述べ、主要な参考文献のリンクを示します。

    ビタミンDサプリメントの摂取によって、新型コロナウイルス感染症の発生率または死亡率が有意に低下したことを示すランダム比較試験の結果が公表されるまで、ビタミンDの役割が認められることはないでしょう。ビタミンD摂取と新型コロナウイルス感染症の発生率・転帰を調べたランダム比較試験と観察研究はいくつかあり、計画中もしくは進行中の状態です。

    明らかな調査対象は、高緯度地域に住む黒人、養護施設または医療施設の入居者、囚人、米国の精肉施設等で働く工場労働者、医療従事者など、リスクが最も高い人たちです。一つ大きな問題は、時の権力者がビタミンDは彼らの収益を脅かすものと思っていることから、「フェイク情報作戦」を用いて、ビタミンDを肯定する情報を伏せてしまうことです[1]

    4月初旬に公表されたレビュー論文では、ビタミンD摂取が新型コロナウイルス感染症のリスクを下げる可能性を示しています。そこでは、

    (1)ビタミンDによって抗菌ペプチドであるカテリシジンとディフェンシンの放出が促進されるためにウイルスの生存数と複製数が減る
    (2)炎症を誘発するサイトカインの産生量の減少によりサイトカインストームのリスクが減る

    というメカニズムが特定されていました[2]

    ビタミンD摂取は急性気道感染症のリスクを下げるという、複数のランダム試験で実証された研究結果に言及した文献もあります[3]。ビタミンD摂取は血清25-ヒドロキシビタミンD [25(OH)D]値を4060 ng/mL100150 nmol/L)の範囲まで引き上げることを目標とするよう推奨されていました。そのためには、1日当たり最大4,0005,000 IUのビタミンD3を摂る必要があります。ビタミンDが別の代謝産物に変換されるにはマグネシウムの存在が必要なため、マグネシウムも(1400 mg程度)摂取すべきです。こうしたアドバイスは、Grassrootshealth.netにて行われたインフルエンザ様疾患に関する観察研究をはじめとする複数の観察研究の結果にもとづいています[4]

    さらに最近の文献で、これまでビタミンD摂取をしていなかった人に対し、12週の間に数十万IUという高用量のボーラス投与(急速静注)を行うビタミンD摂取を開始するよう勧めているものもあります。ボーラス投与以外の方法では最適なビタミンD値に達するまでに数カ月かかる、というのがその根拠です[5]

    ビタミンD摂取は、新型コロナウイルス感染症の症状が出始めた段階でその進行を食い止める可能性がある一方、急性期に肺などの臓器に損傷が生じてしまった後はあまり役に立たないだろう、という見解も示されています。ごく最近の文献では、英国住民の中でも黒人・アジア人・少数民族(まとめて「BAME」という)に罹患率と死亡率が高いことについて、ビタミンDの欠乏が大きな要因である可能性を示したエビデンスが報告されています[6]

     

    <参考文献>

    1.Grant WB. (2018) Vitamin D acceptance delayed by Big Pharma following the Disinformation Playbook.(「虚偽情報作戦」に倣った大手製薬会社によるビタミンDの受入遅延) Orthomolecular Medicine News Service, Oct. 1, 2018.
    http://orthomolecular.org/resources/omns/v14n22.shtml

    2. Grant WB, Lahore H, McDonnell SL, et al. (2020) Evidence that vitamin D supplementation could reduce risk of influenza and COVID-19 infections and deaths.(ビタミンD摂取によってインフルエンザならびに新型コロナウイルスの感染と死亡のリスクが下がる可能性を示すエビデンス) Nutrients April 2, 2020, 12, 988.
    https://www.mdpi.com/2072-6643/12/4/988

    3. Martineau AR, Jolliffe DA, Greenberg L, et al. (2017) Vitamin D supplementation to prevent acute respiratory tract infections: systematic review and meta-analysis of individual participant data. (急性気道感染症予防のためのビタミンD摂取:系統的レビューおよび個別被験者データのメタ分析) BMJ. 356:i6583.
    https://www.bmj.com/content/356/bmj.i6583

    4. Grant WB, Lahore H, McDonnell SL, et al., (2020) Vitamin D Supplementation Could Prevent and Treat Influenza, Coronavirus, and Pneumonia Infections.(ビタミンD摂取によるインフルエンザ感染症・コロナウイルス感染症・肺炎の予防と治療の可能性)Nutrients preprint(公表前原稿), March 14, 2020
    https://www.preprints.org/manuscript/202003.0235/v1

    5. Grant WB, Baggerly CA, Lahore H. (2020) Response to Comments Regarding "Evidence that Vitamin D Supplementation Could Reduce Risk of Influenza and COVID-19 Infections and Deaths".(「ビタミンD摂取によってインフルエンザならびに新型コロナウイルスの感染と死亡のリスクが下がる可能性を示すエビデンス」に対するコメントへの回答) Nutrients June 1, 2020, 12(6), 1620.
    https://www.mdpi.com/2072-6643/12/6/1620

    6. Grant WB, Boucher BJ. (2020) Vitamin D deficiency due to skin pigmentation and diet may explain much of the higher rates of COVID-19 among BAME in England.(英国内でBAMEのほうが新型コロナウイルスの感染率が高いことの大きな要因が皮膚色素沈着と食事によるビタミンD欠乏にある可能性)BMJ comments, June 6, 2020.
    https://www.bmj.com/content/369/bmj.m1548/rr-22