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オーソモレキュラー医学ニュースサービスー日本語版

国際版編集主幹Andrew W. Saul, Ph.D. (USA)
日本語版監修柳澤 厚生(国際オーソモレキュラー医学会会長)
溝口 徹(新宿溝口クリニック)
姫野 友美(ひめのともみクリニック)
北原 健(日本オーソモレキュラー医学会理事)
翻訳協力Wismettacフーズ株式会社ナチュメディカ事業G

* 国際オーソモレキュラー医学会ニュース<日本語版>は自由に引用・配信ができます。引用の際は必ず引用元「国際オーソモレキュラー医学会ニュース」とURL(https://isom-japan.org/)を記載してください。

ビタミンCのパイオニア・フレデリック R. クレナー医学博士との歴史的インタビュー

目次

    執筆: Martin Zuker

    (OMNS、2020年6月26日)

    ビタミンCの高用量投与を行う価値は(あいにく見過ごされることが多いのですが)かなり大きく、それを重視した健康関連の記事を長年書いてきた私は、この基本的な栄養素が話題に上り、研究され、さらには目下の新型コロナウイルス感染症の治療にも用いられている様子を興味深く見てきました。

    ビタミンCは免疫力を高める究極のサプリメントである、という上手い言い回しがあります。ビタミンCは、糖尿病、循環器疾患、皮膚疾患、その他多くの問題から身を守る上でも極めて重要です。

    そう、ビタミンCで予防できる問題は他にもたくさんあるのです。

    40年以上前に記者となった私は、ビタミンCの高用量投与を予防と治療のプロトコルに当てはめていた米国の医師に話を聞く幸運に恵まれました。これは素晴らしい成果を伴いました。私はその後、ビタミンCの大量摂取を熱心に実践するようになり、その習慣は今も続いています。

    1978年にノースカロライナ州リーズビル市のフレデリック R. クレナー医学博士(Frederick Klenner, M.D.)と詳しい内容の対談をした私の当初の記録を、本OMNSにて公表します。何十年も経った今でも、情報として極めて有効であり、とくに、統合医療と予防医療を行っている今日の医師にとって有益と思われるからです。

    フレデリック・クレナー博士との対談: 妊娠期と出産時におけるビタミンCの効用について (1978年6月)

    クレナー博士による解説のまとめ:

    我々は、332件の妊娠について連続ケースシリーズ研究を行い、アーウィン・ストーン(Irwin Stone)が自著「The Healing Factor(治癒要因)」で推奨しているものに近い用量でのビタミンC投与を行いました。[1]。妊娠初期(4カ月目まで)は1日4 g、中期(5~7カ月目)は1日6 g、後期(8カ月目以降)は1日10 g摂るよう指示しました。私は2,500件の妊娠に関わったキャリアから比較基準を得たのです。分娩場所はどれも同じ病院(ノースカロライナ州リーズビル市のアニー・ペン・メモリアル・ホスピタル)でした。

    我々の観察結果はいつも、ビタミンCが体に役立つ要素であることを認めるものでした。そのことは間違いありません。今から30年前(1948年)に私が最初に気付いたこととして、ビタミンCを投与した妊婦のグループでは投与を受けていないグループより血球数が良好に保たれていたのです。この最初の発見を皮切りに、我々はビタミンCの高用量投与を行うようになりました。その結果、妊娠期間中ずっとビタミンCを与えていると、一般的に、陣痛が短く、軽くなることがわかりました。これには会陰の伸縮性が関係しています。陣痛に24時間かかる様子を見ていましたが、ビタミンCを摂っていた場合、陣痛は6時間以下に短縮され、ほとんどの場合3~4時間で済みました。時間が短くなれば痛みも軽くなります。出産も容易でした。ビタミンC投与を受けていなかったグループより会陰がはるかに伸びやすくなっていたためと思われます。

    出産後には、大量出血という別の問題が起こることがあります。この一連の出産では、大量出血も過剰な出血も生じませんでした。ビタミンC投与を受けていなかった患者の3分の2には何らかの出血が見られましたが、ビタミンCを投与した患者にはいかなる種類の出血も見られませんでした。ビタミンCを毎日4~10 g摂ることによって、会陰のみでなく血管そのものの弾力も高くなったのです。

    「こうした高用量ビタミン投与を始めてから妊娠線は一本も見ていません。」

    我々は、妊婦の腹部に「線条」と呼ばれるしわを見ることは滅多にありませんでした。こうした高用量ビタミン投与を始めてから妊娠線(ストレッチマーク)は一本も見ていません。以前は、妊婦の約3分の1にひどい妊娠線が見られ、別の3分の1にもある程度の線条が見られたものでした。子宮が急に大きくなるとお腹の表面が引っ張られるので、皮膚は伸びる速さが追い付かないと損傷を受けます。我々のところで出産した患者を見てこれに気付きました。我々のプログラムで何回か出産した一人の女性は、プログラム開始前、最初の2回の妊娠と出産で線条が何本かできていましたが、このビタミンCプロトコルを実践させてからは、実際に腹部の皮膚に改善が見られました。このプログラムでは会陰も早く完全に回復することがわかりました。

    中毒症状の発現はなかったのでしょうか? ほとんどありませんでした。このグループでは、約1%にしか中毒症状は発現しませんでした。平均すると、1日当たり10,000 mgが適正量であることがわかりました。重要なのは、適切な用量を見つけて維持することです。生理学者のセント=ジェルジ(Szent-Györgyi)も、最近行った実験で、こうした用量が適切であることを証明しています。これは、体を正常な状態に保つだけの量です。たとえば本当に強力なウイルスに感染した場合など、鼻がぐずぐずしたり、もっと重い症状が出たり(ビタミンCを10 g摂っていてもそうなることはあります)した場合には、用量を倍以上に増やして補わなければなりません。

    流産は? 一件もありませんでした。

    「生まれた子たちは健康状態が著しく良かったので、『ビタミンCベビー』と呼ばれました。」

    生まれてきた子たちは、同じ病院で生まれた他のベビーと比べ、健康状態が著しく良かったので、「ビタミンCベビー」と呼ばれました。強いベビーばかりで、蘇生が必要な子はいませんでした。キャスター付きの籠ベッドに乗せられて分娩室から出るときに、もうベッドの両サイドを掴もうとしていたのです。向きを変えようとしていた子までいました。

    フルツの四つ子(Fultz Quads:米国で最初に記録されたアフリカ系アメリカ人の四つ子姉妹)もこのグループに入っています。彼女たちは1つの受精卵から分かれて生まれた一卵性の姉妹です。今日この日まで生きている米国南東部で唯一の四つ子です。1946年生まれですが、今もとても元気です。

    なぜ、ビタミンCを与えた母親のほうが良い結果なのでしょうか? ビタミンCには健康をもたらす性質があるからです。ビタミンの中でも抗疲労効果は一番です。この一連の期間中、虫歯ができた母親はいませんでした。私の経験では実に珍しいことです。また、母と子のいずれの体内でも、ビタミンCはタンパク質の代謝を助けるので、母親は体力を維持することができます。コラーゲンの形成においてビタミンCは最も重要な要素の一つです。コラーゲンは体内の結合組織の成分であり、赤ちゃんの体が作られていく過程で重要です。

    ビタミンCを摂っていたほうが出産を早く済ませることができるのは、ビタミンCによって会陰の伸縮性が増すためです。このことはまだ正式な研究で実証されてはいませんが、ビタミンCの高用量投与を受けている患者のほうがはるかに会陰は伸びやすく安全に広がることを我々は実際に知っています。これは重要なポイントです。

    フルツの四つ子の出生体重は、3人が2ポンド(約900 g)、1人が3ポンド(約1,350 g)で、我々は彼女たちにビタミンCを50 mg与えました。深夜に出生し、翌朝に50 mg与えたのです。ほとんどの人は投与量を25 mgとしていましたが、我々はこうした大量投与を行いました。睡眠の問題は全く生じませんでした。

    母子に何を与えているか産婦人科医に聞いたとしても、ほとんどの医師は、鉄とミネラルがごく少量入った妊婦用の錠剤を1つ与えているだけです。我々なら当面、ビタミンC を1日50 mg与え、子が6カ月になるまでに1日500 mg、1歳になるまでに1,000 mgと、徐々に用量を増やすようにします。投与方法は、舌の上に垂らす形としました。

    出産後の回復時間は、ビタミンCを摂っていたグループのほうが結果的に50%短くなっていました(Dr. Ringsdorfは[2]でこの結果を裏付けています)。ビタミンCを摂っていなかったグループは大抵の場合、すぐには回復しませんでした。ビタミンCは妊娠中に摂るビタミンとして最適です。これは疑いようがありません。もちろん妊婦には鉄が必要ですが、ビタミンCは鉄を酸化しやすいので、鉄を与え過ぎないことが重要です。我々は妊婦に、ビタミンCと良質の鉄製剤、および1クオート(約1 L)の牛乳を毎日摂らせています。

    「ビタミンCを摂っていた妻は、3人のどの娘を産むときも陣痛は1時間以内で済みました。」

    回復の早さはビタミンCのおかげであることに私は気付き始めました。ビタミンCを摂っていたグループでは、問題が多く見られたもう一方のグループよりも、コラーゲン代謝がはるかに増強されていたようです。ビタミンCを摂っていた私の妻は、3人のどの娘を産むときも陣痛は1時間以内で済みました。回復も早く、1日かそこらで起き上がり動き回っていました。医師が施す多くの処置は、自分の診療所で個々の患者を見て考案されるのであり、医学部や大きな研究で開発されるのではありません。つまり、マンツーマンの状態です。

    妊婦には、ビタミンCを1日3,000 mgから始め、1日何回かに分けて摂るよう指示していました。アスコルビン酸の顆粒または結晶の形で摂ることを勧めました。これならオレンジジュースに入れたりシリアルに振りかけたりして摂ることができ、錠剤よりずっと手軽です。その後は用量を徐々に増やしていくよう指示しました。

    米国で生まれた乳児関連の問題は多くありますが、その理由はわかりません。結局は栄養摂取が深くかかわっているのでは、と思い始めたところです。米国の生活習慣や食事が大きな要因となっている可能性はあります。豊かな国なのに、無意識のうちに低質な食事をしている人や、栄養失調になる人さえいます。そのため、私はどの患者にも、バランスの良い食事と併せて、必須ビタミン・ミネラルのサプリメントを摂るよう指導しています。さらに、十分なビタミンC投与によるところも大きいと私は考えています。

    「ビタミンという言葉を口にすると、ほとんどの医師はダチョウのように速足で逃げようとします。 … アスコルビン酸を摂っても有害な作用は一切なく、有益な効果しかありません。」

    「ビタミン」という言葉を口にすると、ほとんどの医師はダチョウのように速足で逃げようとします。ビタミンという化学物質はきわめて安全性が高いということを認識できないように私には見えます。「ビタミン」という言葉は単なる名称です。アスコルビン酸を摂っても有害な作用は一切なく、有益な効果しかありません。妊娠したら、母親自身の健康のためにも、子の健康のためにも、アスコルビン酸を摂ることが重要です。

    実際の妊娠過程で妊婦はアスコルビン酸を消耗します。これは母体にとってストレスとなります。ラットであれば通常、(体重が154ポンド(約70 kg)の人に当てはめた場合)1日3.8 g(3,800 mg)のアスコルビン酸を体内で生成します。そのラットをストレス下に置くと、自動的に15,000 mg作り始めます。妊娠は体にとって大きなストレスとなるため、ビタミンによるケアの必要性は何倍も高くなります。よって大量に必要なのです。

    人の体ではアスコルビン酸が生成されないため、上記のような代謝を実現するには自ら摂りに行かなければなりません。母親はアスコルビン酸の摂取を続けるべきです。これは立派な薬です。良い医師であれば、生まれた子にもビタミン製剤を処方します。そうした錠剤のほとんどは、少量(6.25 mg程度)のビタミンCを含むものです。しかし我々は、子に対し、10歳までは1日当たり、年齢×1,000 mgのビタミンCを与えるべきと考えています。我々は常にこの方法を推奨し、大きな反響を得ています。ビタミンCを与えている子は、それを与えていない子よりはるかに健康状態が良く、よく食べ、よく眠り、何の問題もないのです。

    何十年もビタミンCの研究を続けている生化学者のDr. Irwin Stoneによると、他の医師たちが40年も昔に行った研究で、ビタミンCが「妊娠期に最適なものである」と示されています[1]。ビタミンCは、大量出血のリスクも流産のリスクも下げます。妊娠しても流産しやすい人は、大量出血の予防のため、こうした高用量のアスコルビン酸摂取を行うべきです。壊血病の初期症状でもある大量出血をビタミンCは防ぎます。

    我々のビタミンCプログラムを受けた患者は1,000人以上いましたが、副作用は見られていません。また、このプログラムを実践した妊婦から肢体不自由児が生まれたこともありません。出産後の指導で、私はビタミンCの高用量摂取を続けるよう患者に促しました。患者は、回復状態が良いとか、風邪をひくことが少なくなったとか、その効果を感じにつれ、少しずつ確信するようになりました。

    Martin Zuckerは元AP通信報道記者であり40年以上にわたって代替医療に関する記事を執筆。共同執筆者または代作者として、これまでに十数冊を超える著書を出しているほか、Smithsonian Magazine(スミソニアン・マガジン)、Readers Digest(リーダーズ・ダイジェスト)、Los Angeles Times(ロサンゼルス・タイムズ)、Cook's Magazine(クックス・マガジン)、Vegetarian Times(ベジタリアン・タイムズ)、The National Enquirer(ナショナル・エンクワイアラー)など多種多様な刊行物の記事も執筆。)

    執筆者メモ: 私はクレナー博士と同時代に開業していた他の医師も何人かインタビューしましたが(Dr. Archie Kalokerinos [3]、Dr. W. Marshall Ringsdorf [2]、Dr. Robert Scott、Dr. William J. Saccomanなど)、全員がクレナー博士の高用量ビタミンCプロトコルを推奨していました。

    Dr. Klennerについて詳しく知るためには:

    Saul AW. (2007) Hidden in plain sight: The Pioneering Work of Frederick Robert Klenner, MD.(目の前の隠れた事実: Frederick Robert Klenner, MDの先駆的研究) J Orthomolecular Med, Vol 22, No 1, p 31-38. http://www.doctoryourself.com/klennerbio.html

    Klenner FR (1991) Clinical Guide to the Use of Vitamin C. The Clinical Experiences of Frederick R. Klenner, M.D.(ビタミンCの使用に関する臨床ガイド Frederick R. Klenner, M.D.の臨床経験) Edited by Lendon H. Smith, MD. Life Sciences Press, ISBN-13: 978-0943685137 https://www.seanet.com/~alexs/ascorbate/198x/smith-lh-clinical_guide_1988.htm or http://vitaminc.co.nz/pdf/CLINICAL-GUIDE-TO-THE-USE-OF-VITAMIN-C-FREDERICK-KLENNER-MD.pdf

     

    参考文献

    1. Stone I (1972) The Healing Factor - Vitamin C Against Disease: How to live longer and better.(治癒要因 - 疾患に対するビタミンCの効果: 健康に長生きする方法) Grosset & Dunlap (1972), ISBN-13: 978-0448021300; Books on Demand (2017), ISBN-13: 978-3743173910 https://vitamincfoundation.org/stone/
    2. Cheraskin E, Ringsdorf WM, Sisley ED (1983) The Vitamin C Connection.(ビタミンCの関連性) Harper Collins, ISBN-13: 978-0060380243.
    3. Kalokerinos A (1981) Every Second Child.(ある献身的な医師が同僚の目と心を開かせることができなかったら子どもの2人に一人は早期死亡の運命にあった) Keats Pub. ISBN-13: 978-0879832506.