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オーソモレキュラー医学ニュースサービスー日本語版

国際版編集主幹Andrew W. Saul, Ph.D. (USA)
日本語版監修柳澤 厚生(国際オーソモレキュラー医学会会長)
溝口 徹(みぞぐちクリニック)
姫野 友美(ひめのともみクリニック)
北原 健(日本オーソモレキュラー医学会理事)
翻訳協力Wismettacフーズ株式会社ナチュメディカ事業G

* 国際オーソモレキュラー医学会ニュース<日本語版>は自由に引用・配信ができます。引用の際は必ず引用元「国際オーソモレキュラー医学会ニュース」とURL(https://isom-japan.org/)を記載してください。

遺伝子組み換え作物をめぐる論争

Howard Strausによる個人的見解

(2012年8月8日付OMNS)遺伝子組み換え生物(GMO)に関する論議がこのニュースレターにふさわしい話題であるのか疑問に思う人は、Linus Paulingが「オーソモレキュラー」を「正常な分子」と定義したと考えてみよう。遺伝子組み換え食品は、正常でない分子を大量摂取する例と考えられる。Howard Strausは、以前、道徳的に正しくない記事をOMNSで公表したことから(http://www.orthomolecular.org/resources/omns/v08n18.shtml)その名前を覚えている人もいるかもしれない。その彼が今回再登場して述べている見解は、OMNSの個々の編集者が共有しているとは限らないものである。ただ、これは驚愕か困惑、もしかしたらその両方をもたらすに違いない。- Andrew W. Saul(編集者)

 

遺伝子組み換え作物をめぐる論争は、激しさを増している。その的確な事例を以下に挙げる。

●調査方法や質問形態にもよるが、米国人の75~95%は、遺伝子組み換え作物を含む食品には表示や識別を施すことにより、自分が食べたり子どもに与える上で選択できるようにすべきである、と考えている。これに対して巨大な農業関連企業は、言いなりの規制機関と結束して対抗しており、遺伝子組み換え作物を支持する証拠は一切ないにも関わらず規制機関は、人が遺伝子組み換え食品を食べても安全である、と主張している。

●農薬生産用の遺伝子組み換えトウモロコシは、その農薬の標的であったまさにその害虫によって不作となっており、トウモロコシの供給量が徐々に減少しているため、大幅な価格上昇が生じている。(http://www.stltoday.com/business/local/article_48721bc6-38cb-5cf0-aae1?2b1a7e85cea5.html
討 議のサイト:?http://www.naturalgrocers.com/store-info/blog/root-beetle-now-tolerates-bt-monsantos-bt-corn-failing-several-states)

●バイオテクノロジー産業による説明を信じていたインド国内の農家は、栽培している農作物が不作となったり、メーカーの奇妙な契約どおりにできないと、破産に追い込まれて自殺している。1カ月に推定1,000人の農民が自殺している。この10年間だけでも、約20万人が土地を失って破産し、亡くなっている。(http://www.independent.co.uk/environment/climate-change/indias-hidden-climate-change-catastrophe-2173995.html;
説明のサイト:http://www.naturalnews.com/030913_Monsanto_suicides.html)

●モンサント社は、インド国内で遺伝子組み換え綿のフィールドテストを不正に実施し、遺伝子組み換え植物が偶発的にテスト地以外の畑に広がるのを防ぐ囲い込み策を講じる手間を省いたことにより、他のインド綿を危険にさらした。農家は、こうした違法な畑の存在に気付くと、畑に植えた植物をすべて根絶して焼却した。(http://www.greens.org/s-r/19/19-19.html)

●フランス政府は、モンサント社に対し、同社のベストセラーである除草剤「ラウンドアップ」の安全性に関し虚偽があったとして、何万ユーロもの罰金を課した。(http://www.terradaily.com/2006/070126154451.ovopjxml.html) 上訴がフランスの最高裁判所まで至った後、モンサント社はすべての裁判に負け、さらに控訴する場所はなくなった。(http://www.naturalnews.com/027352_Monsanto_GMO_Roundup.html) 大量の除草剤に対して雑草は生き残れないが遺伝子組み換え作物は生き残ることができるという前提のもと、ラウンドアップと一緒にモンサント社の遺伝子組み換え種子がラウンドアップと併せて売られていることが多い。

●ハンガリー政府は、検査も許可もなく違法に植えられた1,000エーカーの遺伝子組み換えトウモロコシを焼却した。http://planetsave.com/2011/07/21/hungary-destroys-all-monsanto-gmo-maize-fields/?自分が買った種子は密かに遺伝子組み換え種子と取り替えられている可能性があると警戒する農家がさらに増えている。

●欧州の多くの国において、義務付けられている表示を見て、遺伝子組み換え作物が含まれている食品か、含まれていない食品か、どちらを買うか選択できる消費者は、いわゆる「フランケンフード」を避けており、その数は数百万人にのぼる。米国人には、それができない。食品のラベルに、「遺伝子組み換え材料を含む」をいう文言があるのを最後に見たのはいつだろう。

 

遺伝子組み換え植物に関するバイオテクノロジー産業の虚偽の歴史は、遺伝子組み換え作物の最初の検査策略にまでさかのぼる。我々は、(実際にはどうやら何の根拠もないらしいが)他の植物や雑草に遺伝子が広がる可能性はまずないと確信していた。こうした聞こえの良い確信や検証されていない確信は、検査によって裏付けられていない希望的な考えまたは意図的な嘘であることがわかった。事実、それ以降ずっとそうであった。遺伝子組み換え作物の畑のまわりに生えていた雑草にも、3年以内に同じ遺伝子組み換えが見られ、遺伝子組み換え作物と同様に、殺虫剤への耐性が生じた。やはり、この時までに精霊(genie)はすでに瓶から出ていたのだ。(訳註:genie=イスラム神話で、閉じこめられていたランプや瓶から出してくれた人の願い事をかなえる精霊)

食品産業の権力政策

オバマ政権は、オーガニック食品をもてはやし、ホワイトハウスの敷地にあるオーガニックガーデンで栽培を行っている一方で、モンサント社を熱心に支持している元アイオワ州知事Tom Vilsackを農務長官に、また、元モンサント社公共政策担当部長でロビイストであったMichael Taylorを、USDA(米国農務省)のナンバー2である食品担当副長官という要職に任命することにより、米国農業をすっかりモンサント社に引き渡してしまった。即座に、いくつかの遺伝子組み換え作物が米国農務省により農業用に承認された。Tom Vilsackは、モンサント社が提供した自家用ジェット機で飛び回り、選挙遊説を行った。 (http://www.greenchipstocks.com/articles/usda-backs-monsanto-caves-under-white-house-pressure/1236).
遺伝子組み換え種子の「6大」メーカーは、一見無限に見える資金を使って、米国全体に遺伝子組み換え農業を推し進めており、世界の作物の強制的転換を他のすべての国に拡大しようとしている。こうしたメーカーは、遺伝子組み換え種子の使用を拒否している農家や組織をつぶすため、政府による圧倒的な影響力とともに、自己の経済力と市場力を利用している。彼らは、自分たちが買収しなければ、遺伝子組み換え作物嫌いの農家に遺伝子組み換えでない種子源を提供することになる種子会社を徐々に買収することにより、米国の食品農業を完全に乗っ取ることを目標とし続けている。

FDAという鶏小屋に忍び込むキツネ

バイオテクノロジー産業は、遺伝子組み換え製品に関する説明をよく行っているが、それが結局は嘘であることがわかっており、彼らがこれまで製品の検査を正しく行っていないか、もしくは、検査結果について嘘をついていることがわかっている。彼らが行った説明の中に、「遺伝子組み換え作物は人間が食べても動物が食べても安全である」というものがあったことを考えれば、これはきわめて憂慮すべき事態である。FDAは、こうした作物の農業や食品生産への使用を許可する上で、こうした説明に全面的に依存しているが、それにもかかわらず、こうした作物の独立した検査はこれまで行われていないのである。モンサント社は自社の作物について、安全性の検査を迫られると、遺伝子組み換えでない作物と「実質的に同一」であると主張しているが、一方では、特許権の保護を保証するため、天然作物とは十分な違いがあると主張している。この2つの主張のうち、少なくとも1つは嘘に違いない。
モンサント社のパブリックコミュニケーション担当取締役は、同社の遺伝子組み換え作物が安全であるのか質問されたとき、こう公言した。「モンサントはバイオテクノロジー食品の安全性を保証する義務はないはずである。我々の目的はできるだけ多く販売することであり、その安全性を保証するのはFDAの仕事である。」(Philip Angell, Monsanto’s director of corporate communications(モンサント社コーポレートコミュニケーション担当取締役). “Playing God in the Garden(庭で神のように振る舞う)” New York Times Magazine, Oct 25, 1998.)
一方、FDAも、食品の安全性を保証する者としての立場を放棄しているようである。「結局、安全を保証する責任があるのは食料生産者である。」 (FDA, “Statement of Policy: Foods Derived from New Plant Varieties(方針声明:新種植物由来の食品)” [GMO Policy], Federal Register, Vol. 57, No. 104, 1992, p. 229.)
「キャッチ」や「22」という言葉が思い浮かぶのではないだろうか。(訳注:「キャッチ=22」という、堂々巡りの状況での戦争中の出来事を描いた小説から、矛盾している状態で結論が出ないときに慣用句的に使われている表現を意味しているのではないかと推測されます)

不自然、不安全、非科学的

経験豊かな農家なら、単一栽培の危険を確かめるだろう。雨季によく実る系統の作物は、異常な乾季には不作となることがある。一種類の害虫への耐性がある系統の作物は、新しく入ってきた外来害虫の影響をきわめて受けやすい可能性がある。単一栽培をする、つまり生計の手段として一つの系統の食用植物だけに依存するということは、食物における自殺行為に等しい。このことは、多世代生殖系列が、ストレス、害虫、もしくは何らかの苦境に対してさえ、結構弱いことからも証明できると思われる。栽培している一つの系列が長期的に生存できなければ、我々は、大規模な食糧不足と、それに付随するあらゆる災難を覚悟する。しかし、米国政府が共謀していることから、これは、バイオテクノロジー産業が米国の農業に押し付けている陰謀であり、彼らが好き勝手にすれば、世界全体に押し付けられることになる。バイオテクノロジー産業が見境なく権力と金銭を取り込んでいるため、我々が大規模な飢餓を覚悟するかどうかについて、口を出す権利が我々にはあるはずである。買収された米国の連邦議会と規制機関は、意見を異にしている。

何が心配か。

ワクチンであれ、医薬品であれ、遺伝子組み換え生物であれ、命にかかわる物質の生産者がよく言う抗弁の一つに、「XYZが人の健康に有害であることを示す証拠はない」というものがある。こうした主張は、大量殺人者が、殺人のかどで実際誰にも捕まらなかったから潔白とみなされるべきであると主張し、警察も彼を信じるというようなものである。地球上の生命を消滅させる可能性がある製品(遺伝子組み換え生物やワクチン)または技術(原子力発電)を推進する場合は、この程度の潔白さだけでは十分でないと思う。それどころか、XYZは人の命に安全であること、ならびに、安全な稼働や提供を強制する強力な独立した監視のもと、実施予定の職務を遂行していることを示す、論争の余地がない強力な証拠があるべきであり、実際にはこうした証拠がなければならない。それがないのなら、決してこうした物質や技術を実験室外で認めるべきではない。迎合する政治家たちが現在、さらに多くの産業の規制撤廃を推し進めているということは、米国の金融制度の規制撤廃の結果として生じたような世界規模の大惨事をもたらす可能性が十分にある。
米国政府は、こうした品目の承認、さらには宣伝まで行い、また、遺伝子組み換え製品の生産者による、見かけ倒しで、文書も検査も伴わない、あまりにも頻繁な嘘の主張を批判することなく繰り返しており、以下の2つの不穏な選択肢のいずれかにあたる。

1.規制機関は、権限がない影の薄い存在であり、人間のためにではなく、利益と私利のために主導権を握っている企業に完全にコントロールされ従属している。もしくは、
2.規制機関は、企業と結束して、大量虐殺の共通計画を進めている。

いずれにせよ、このような規制機関は解散すべきであり、国民の安全を守るふりを続けるために明らかに浪費されている数十億ドルの年間予算をすべて我々が負担しなくても済むようにすべきである。
遺伝子組み換え食品にまつわるFDAとUSDAのこうした行動について、また、FDA、CDC(米国疾病管理予防センター)およびNIH(米国国立衛生研究所)が実証済の自然療法を非難しながら危険な医薬品の普及を促進していることについて、また、原子力規制機関がスリーマイル島、チェルノブイリ、福島の影響が残る中、危険な原子力発電所をさらに推進していることについて、3つ目の説明はない。
説明責任がなければ、企業は住民を完全に無視し、腐敗した政治家と規制機関担当者は住民のお金で私腹を肥やし、地球上の生命は危険にさらされるだろう。最終的に、そして近いうちに、こうした事実に気づかなければ、我々は皆、本当に困ったことになる。

日本語訳監修:溝口 徹(新宿溝口クリニック)