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オーソモレキュラー医学ニュースサービスー日本語版

国際版編集主幹Andrew W. Saul, Ph.D. (USA)
日本語版監修柳澤 厚生(国際オーソモレキュラー医学会会長)
溝口 徹(新宿溝口クリニック)
姫野 友美(ひめのともみクリニック)
北原 健(日本オーソモレキュラー医学会理事)
翻訳協力Wismettacフーズ株式会社ナチュメディカ事業G

* 国際オーソモレキュラー医学会ニュース<日本語版>は自由に引用・配信ができます。引用の際は必ず引用元「国際オーソモレキュラー医学会ニュース」とURL(https://isom-japan.org/)を記載してください。

ビタミンCのサプリメント摂取は慢性腎疾患を改善する

執筆者:Robert G. SmithAndrew W. Saul

(OMNS、2019年12月3日) 慢性腎疾患の患者には、ビタミンCのサプリメントを摂らないよう警告する習慣があります。こうした警告はほとんどの場合、シュウ酸塩による腎臓結石形成の恐れがあるという考えに基づいるので、大抵は間違いです。そうした伝説はもとを正しましょう。確かにビタミンCはシュウ酸塩の生成を増やします。しかしそれは、石ができることと同じではありません。アラバマ大学の医学部教授Emanuel Cheraskin, MD, DMDの報告によると、実際のところビタミンCには、カルシウムとシュウ酸塩の結合を妨げ阻止し、結石を防ぐ働きがあります。この記事では、慢性腎疾患の人たちが賢くサプリメントと食事を摂ることによって健康を改善できる方法についても考えます。

腎臓が大切な理由

腎臓はきわめて重要な臓器です。代謝から生じた体の老廃物を取り除いて血液を浄化するからです。こうした働きは、酸性度や、(ナトリウムやカリウムなどの)ミネラル量、血液量ならびに血圧を比較的一定に保つ上で重要です。腎臓は、一部の大型分子や大型細胞以外、血液に含まれるものをすべて排出させ、続いて、水分やミネラル、(アミノ酸やグルコースなどの)小分子をはじめ、命に必要なものを全部吸収しなおすという方法で機能します。腎機能の低下が進み、血液からの老廃物除去ができなくなってくると、慢性腎疾患となります。慢性腎疾患が悪化すると、人工的に血液を浄化する透析が必要となることがあります。

慢性腎疾患が進むと、正常な代謝の産物が一部、体内組織に蓄積するおそれがあり、場合によってはそれが有毒なレベルに達しかねません。たとえば、大量の獣肉摂取による産物の一つに尿酸がありますが、これは有毒な濃度に達しないよう排出しなければなりません。血漿中の尿酸塩は強力な抗酸化物質ですが、高濃度で存在すると、結晶化して腎臓結石や関節部の痛風を引き起こすおそれがあります。尿酸による腎臓結石は、最も多いタイプではないものの、そうした結石も、それ以外の数種類の腎臓結石も、十分な水分摂取を伴う食生活の改善によって対処できる可能性があります[1,2]

シュウ酸塩について

もう1つの代謝産物に、シュウ酸塩があります。この生化学物質は、多くの食品、たとえばホウレンソウ(1オンス(約28g)当たりシュウ酸塩100~200 mgを含有)をはじめとする濃い緑色の葉物野菜(ケール、コラード、スイスチャード、ルバーブ、ビーツなど)に含まれています[1,2]。お茶とコーヒーは、多くの人の食事における最大のシュウ酸塩摂取源で、それによる摂取量は1日150~300 mgにのぼると考えられています。それに比べればずっと少ない量ですが、アスコルビン酸塩(ビタミンC)の正常な代謝によってもシュウ酸塩は形成されます。

尿中のシュウ酸塩はカルシウムと一緒に沈殿してシュウ酸カルシウムの結晶を作る傾向があるため、シュウ酸塩が高濃度で存在すると、よくある種類の腎臓結石を生じる可能性があります。水分摂取が不十分だと、さらに問題は悪化します。とはいえ、アスコルビン酸塩を1日当たり1,000 mg摂ることによって生成されるシュウ酸塩の量より、食事で取り込むシュウ酸塩の量のほうがはるかに多いのです。

なぜ慢性腎疾患の患者はビタミンCのサプリメントを避けるように言われているのか?

慢性腎疾患ならびに透析患者の場合、ビタミンCは必要なのにその値が低いことがよくあります[4,5] 。しかし数十年前(1950~1970年代)には、体内の組織にシュウ酸塩が蓄積することに問題がありました。おそらくその理由は、慢性腎疾患の患者が必ずしも透析を受けていなかったことにあり、また透析患者の場合は時折、透析治療を受ける前にシュウ酸塩の濃度が高くなります[4]。そのため、慢性腎疾患がある人たちは、シュウ酸塩を含む食品を避けるよう、また、ビタミンCを摂らないよう指導されたのです。しかし、もっと最近の透析治療を正しく行った場合には、シュウ酸塩の蓄積は見られていません[4]

たとえ1日1,000 mgを超えるビタミンCを摂ろうと、それが腎臓結石やシュウ酸塩蓄積の原因となることを示す確かなエビデンスはありません[1-3]。たとえシュウ酸塩がビタミンCではなく食事(シュウ酸塩を多く含む濃い緑色の葉野菜など)に由来している場合であっても、ビタミンCの高量摂取は実際、シュウ酸カルシウムの沈殿を防ぐのに役立ちます[1,2]。もし、シュウ酸カルシウムによる腎臓結石の問題を抱えている人がいたら、カルシウムのサプリメントは完全に避け、カルシウムを多く含む食品の摂取を最小限に抑えるべきです。また、マグネシウムはカルシウムと競い合ってシュウ酸塩と結合し、シュウ酸マグネシウムとなりますが、こちらのほうがシュウ酸カルシウムよりはるかに溶けやすいので、シュウ酸カルシウムの沈殿による結石形成の予防に役立ちます[6] 。従って、マグネシウムのサプリメントを含む十分なマグネシウム摂取(クエン酸マグネシウム、リンゴ酸マグネシウムまたは塩化マグネシウムを1日300~500 mg、数回に分けて摂る)とともに、十分な水分摂取を行えば、一番多いタイプの腎臓結石はできにくくなります[6]

慢性腎疾患患者に対する食事とサプリメント摂取のガイドライン

色とりどりの野菜や、濃い緑色の葉物野菜、新鮮な果物、ナッツ類、バターを多く摂り、全粒穀物(全粒小麦のパン、玄米、全粒トウモロコシのコーンミール)、獣肉、魚類の量は控えめにして、砂糖は摂らないよう食事を改善するとともに、水分を十分摂り、十分な量のビタミンとミネラル(ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、マグネシウム)をもたらす必須栄養素のサプリメントを摂れば、シュウ酸塩の沈殿による疾患を防いで良好な健康状態を維持するのに役立ちます[1-17]。慢性腎疾患の患者が最適な健康状態を得るためには、現在の臨床診療で定められている用量を超える量(1日当たり3,000~10,000 IU)のビタミンD摂取が必要です[18,19] 。透析患者の場合は、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンEおよびマグネシウムを含むビタミン・ミネラルの補給を行い、欠乏症を予防するとともに、シュウ酸塩が沈殿するリスクを下げる必要があると思われます[4-8]

慢性腎疾患がある人は、腎臓や透析治療で除去できず有毒なレベルまで蓄積しかねない、大量の生化学物質やミネラルをもたらす食品は摂らないよう、食事に気を付ける指導を医師から受けるかもしれません。しかし、ビタミンCはそうした食品とは違います。シュウ酸塩の蓄積予防に役立つからです[1-3]また、透析患者にはビタミンCの欠乏が見られることが多く、健康に良いビタミンC値を保つためには、ビタミンCのサプリメント(1日当たり2,0006,000 mgを数回に分けて摂ること)が必要と思われます [4,7-9]。慢性腎疾患や腎不全の患者の場合、マグネシウムと併せてビタミンCとビタミンEを摂ると、循環器疾患の予防や、腎機能不全に関連または起因した他の疾患の予防に役立つことを示す十分なエビデンスもあります[4-17]

 

参考文献

  1. Orthomolecular News Service (2013) What Really Causes Kidney Stones (And Why Vitamin C Does Not). (腎臓結石の本当の原因は何か(そしてビタミンCが原因ではない理由))
    http://www.orthomolecular.org/resources/omns/v09n05.shtml
  2. Saul A. (2019) Kidney Stones (Renal Calculi) and Their Relation to Diet. (腎臓結石(腎石)と食事との関係) http://www.doctoryourself.com/kidney.html
  3. Hickey S, Roberts H. (2005) Vitamin C does not cause kidney stones. (ビタミンCは腎臓結石の原因ではない) http://orthomolecular.org/resources/omns/v01n07.shtml
  4. Raimann JG, Levin NW, Craig RG, Sirover W, Kotanko P, Handelman G. (2013) Is vitamin C intake too low in dialysis patients? (透析患者のビタミンC摂取量は低すぎる?) Semin Dial. 2013 Jan-Feb;26(1):1-5. doi: 10.1111/sdi.12030. Epub 2012 Oct 29. 
    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23106569
  5. Roumeliotis S, Roumeliotis A, Dounousi E, Eleftheriadis T, Liakopoulos V. (2019) Dietary Antioxidant Supplements and Uric Acid in Chronic Kidney Disease: A Review. (慢性腎疾患における抗酸化サプリメントと尿酸との関係:レビュー) Nutrients. 11(8). pii: E1911. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31443225
  6. Dean, C (2017) The Magnesium Miracle(マグネシウムの奇跡), Ballantine Books. ISBN-13: 978-0399594441
  7. Case, HS (2018) Vitamin C Questions: Answered. (ビタミンCに関する質問とその回答)
    http://www.orthomolecular.org/resources/omns/v14n12.shtml
  8. Orthomolecular News Service (2009) Vitamin C and Acidity: What Form is Best? (ビタミンCと酸性度:どの形態が最適か?) http://orthomolecular.org/resources/omns/v05n10.shtml
  9. Smith RG (2017) Vitamin C Papers Hot off the Press. (最新のビタミンC関連論文)
    http://orthomolecular.org/resources/omns/v13n06.shtml
  10. Case HS (2017) Orthomolecular Nutrition for Everyone: Megavitamins and Your Best Health Ever.(万人のためのオーソモレキュラー栄養学:メガビタミンと、これまでで一番良い健康状態)ISBN-13: 978-1681626574
  11. Sabri MR, Tavana EN, Ahmadi A, Gheissari A. (2015) Effect of vitamin C on endothelial function of children with chronic renal failure: An experimental study. (慢性腎疾患がある子どもの内皮機能に対するビタミンCの影響:実験的研究)Adv Biomed Res. 2015 4:260. 
    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26918242
  12. Gillis K, Stevens KK, Bell E, Patel RK, Jardine AG, Morris STW, Schneider MP, Delles C, Mark PB. (2018) Ascorbic acid lowers central blood pressure and asymmetric dimethylarginine in chronic kidney disease. (慢性腎疾患にてアスコルビン酸は中心血圧ならびに非対称性ジメチルアルギニン値を下げる)Clin Kidney J. 11:532-539. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30094018
  13. Fiore DC, Fox CL. (2014) Urology and nephrology update: anemia of chronic kidney disease.(泌尿器学と腎臓学の最新情報:慢性腎疾患による貧血)FP Essent. 2014 Jan;416:22-5. 
    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24432707
  14. Sung CC, Hsu YC, Chen CC, Lin YF, Wu CC. (2013) Oxidative stress and nucleic acid oxidation in patients with chronic kidney disease. Oxid Med Cell Longev. (慢性腎疾患の患者における酸化ストレスと核酸酸化)2013:301982. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24058721
  15. Del Vecchio L, Locatelli F, Carini M. (2011) What we know about oxidative stress in patients with chronic kidney disease on dialysis--clinical effects, potential treatment, and prevention. (透析を受けている慢性腎疾患患者における酸化ストレスについて我々が知っていること- 臨床的影響、潜在的治療法ならびに予防法)Semin Dial. 24:56-64. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21299632
  16. Dupont JJ, Farquhar WB, Townsend RR, Edwards DG. (1985) Ascorbic acid or L-arginine improves cutaneous microvascular function in chronic kidney disease. (慢性腎疾患にてアスコルビン酸やL-アルギニンは皮膚微小血管機能を改善する)J Appl Physiol. 111:1561-1567. 
    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21885796
  17. Korish AA, Arafah MM. (2008) Catechin combined with vitamins C and E ameliorates insulin resistance (IR) and atherosclerotic changes in aged rats with chronic renal failure (CRF). (慢性腎不全の加齢ラットにおいて、カテキンとビタミンC・ビタミンEとの組合せにより、インスリン抵抗性(IR)とアテローム性動脈硬化による変化が改善)Arch Gerontol Geriatr. 2008 Jan-Feb;46(1):25-39. Epub 2007 Apr 6. 
    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17418908
  18. Restrepo Valencia CA, Aguirre Arango JV. (2016) Vitamin D (25(OH)D) in patients with chronic kidney disease stages 2-5. (ステージ2~5の慢性腎疾患患者におけるビタミンD (25(OH)D)値)Colomb Med (Cali). 47:160-166. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27821896
  19. Strugnell SA, Sprague SM, Ashfaq A, Petkovich M, Bishop CW. (2019) Rationale for Raising Current Clinical Practice Guideline Target for Serum 25-Hydroxyvitamin D in Chronic Kidney Disease. (慢性腎疾患における血清25-ヒドロキシビタミンDに関する現行臨床診療指針の目標引上げに関する論理的根拠)Am J Nephrol. 49:284-293. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30878999