「中用量ピルって何？」初心者のための中用量ピルの効果と副作用完全解説
中用量ピルについて、どのくらい知っていますか？
中用量ピルは「ピル」という言葉が入っているので、避妊用のお薬だと思われるかもしれませんが、生理の日にちをずらしたい場合や月経に関する治療に使われることが多いお薬です。
例えば、
「大事な温泉旅行と生理の日にちが重なっちゃう」
「生理痛がひどくてベッドから起きれない」
こんな時に中用量ピルが活躍してくれます。
もちろん避妊にも効果があります。その場合は緊急避妊用として使われています。
この様に中用量ピルは女性の日常生活向上の強い味方となるお薬です。しかし副作用が出やすいということや、目的によって飲み方が異なるなどの注意点があります。
この記事では、中用量ピルの効果や副作用、服用方法についてわかりやすくお伝えしていきます。
オンラインピルのおすすめが気になっている方、中用量ピルを検討している女性にとって、この記事が参考になれば幸いです。
中用量ピルの基本知識
中用量ピルはどんな効果があるの？
中用量ピルは、女性ホルモンであるエストロゲン（卵胞ホルモン）とプロゲステロン（黄体ホルモン）が配合された薬です。
低用量ピルと比較してエストロゲンの配合量が多いため、低用量ピルよりも効果を実感しやすい一方、副作用も強く出やすい傾向があります。
中用量ピルは大きく分けて3つの効果があります。
■月経移動
試験や仕事、試合、旅行などの大事な日に生理が重なるのを避けたい！という場合に、中用量ピルを飲むことで生理の日にちをずらすことができます。
低用量ピルより短い期間の服用で効果を出すことができるので、急いでいる場合や短い服用期間を希望される場合に処方されることが多いです。
■月経困難症の治療
月経時のトラブルが日常生活に支障をきたすほどの場合、月経困難症の治療に中用量ピルが使用される場合があります。
ただし、中用量ピルは吐き気などの副作用が出る可能性が高いため、まずは低用量ピルが処方される場合が多いでしょう。
■避妊効果
中用量ピルは日常的な避妊薬としてではなく、避妊に失敗したときに妊娠の確立を下げる為の緊急避妊薬として用いられます。
しかし現在では妊娠阻止率が高く副作用の少ない緊急避妊専用のピル（アフターピル）を処方する病院が多くなっています。
中用量ピルに種類はあるの？低用量ピルとの違いは？
現在処方されている中用量ピルは「プラノバール」という薬のみです。使用する目的によって処方される数量が変わります。
低用量ピルとの違いは、中用量ピルの方がエストロゲン（卵胞ホルモン）の配合量が多くなっている点です。中用量ピルは低用量ピルよりも効果を実感しやすい一方、副作用も強く出やすい傾向があります。
中用量ピルの飲み方、用法用量は？
中用量ピルの飲み方は、何のために飲むのかという目的によって変わります。 必ず医師や薬剤師の説明をよく聞いて服用してくださいね。
■生理を遅らせたいとき
次の生理が始まる5日〜7日前から、生理が来てほしくない日まで1日1錠決まった時間に服用します。
薬を飲むのを止めた2日〜5日に生理が始まります。
※生理を遅らせたいイベント期間にも服用を続ける必要があるため、イベント中に副作用が出てしまう可能性があります。吐き気止めを一緒に処方してもらうと安心です。
※個人差があるため、余裕を持ったスケジュールを立てましょう。早めに病院に相談することがポイントです。
■生理を早めたいとき
生理開始日から5日目までに始め、最低10日間1日1錠決まった時間に服用します。
薬を飲むのを止めた2日〜5日に生理が始まります。だいたい1週間〜10日前後早めることができます。
※個人差があるため、余裕を持ったスケジュールを立てましょう。早めに病院に相談することがポイントです。
■月経困難症の治療で服用する場合
生理開始日から5日目までに始め、1日1錠決まった時間に服用します。21日間服用し、その後7日間は薬を服用しない休薬期間をとり、28日周期で継続していきます。
■緊急避妊薬として服用する場合
性交後72時間以内に2錠、その時間から12時間後に2錠、合計4錠服用します。
妊娠阻止率※は24時間以内の服用開始で77％、72時間以内の服用開始で57％と言われています。なるべく早く服用を開始することが重要です。
※平成28年度日本産科婦人科学会緊急避妊法の適正使用に関する指針より
■中用量ピルを飲むのを忘れてしまったとき
・その日のうちに飲み忘れに気づいた場合は、気づいた時点ですぐ飲みます。翌日は通常通りに飲みます。
・次の日の服用時間に、飲み忘れに気付いた時は飲み忘れ分と合わせて2錠服用します。翌日は通常通りに服用します。
2日以上忘れると効果が出ないといわれています。飲み忘れがないように、毎日寝る前に飲む、ベッドに薬を置くなどの工夫がおすすめです！
中用量ピルの副作用は？
中用量ピルは1錠に含まれるホルモン量が多いため、初めて服用する場合や体質によっては、以下のような副作用が現れる場合があります。
・吐き気、嘔吐
・食欲不振
・不正出血
・乳房の張りや痛み
・むくみ
・体重の変化
・頭痛、腰痛
・眠気
・発疹
・便秘、下痢 など
特に緊急避妊薬として服用する場合は短時間に4錠飲むため、副作用を感じる場合が多いと言われています。
これらの副作用は飲み初めに出やすく、服用を続けることで徐々に軽減されることが大半です。服用を止めてしまうと効果が出ませんので、自己判断で止めるのではなく医師に相談することが大切です。
また、中用量ピルは血栓症のリスクを少し高めるともされています。血栓症の初期症状である脚の痛み・浮腫、激しい頭痛・息切れ、急にものがみえにくくなる等があらわれた場合は使用をやめて直ぐに診療を受けてください。
中用量ピルの入手方法は？オンラインでも診察・処方が可能に！
中用量ピルは医療用医薬品に分類されるため、ドラッグストアやコンビニエンスストアなどで購入することはできません。
一般的には、産婦人科や婦人科の専門医による診察後、適切な種類と用法が指導された上で処方されます。
一部のクリニックではオンライン診療による中用量ピルの処方も可能になっています。遠方で病院に通うことが難しい方や、忙しくてなかなか時間が取れない方には便利な方法ですね。ただし、オンライン診療でも初回は必ず医師による診察が必要です。
継続して中用量ピルを服用する場合は、定期的に医師の診察を受けることが推奨されています。健康状態の変化や、副作用、効果など相談しやすい病院や入手方法選びも重要です。
■重要ポイント
通販で購入できる場合もありますが、偽物や粗悪品が届く恐れや、副作用のリスクもあるため推奨しません。
中用量ピルの注意点は？
中用量ピルは女性の日常生活の向上に役立つ薬ですが、いくつかの注意点があります。よく理解してから中用量ピルの使用を検討してください。
服用をおすすめできない人
一部の人は、健康上のリスクにより低用量ピルの服用が推奨されません。妊娠の可能性のある方、肝臓の悪い方、高血圧、血栓症の既往歴がある方、喫煙者、40歳以上の方、肥満の方（BMI30以上）は医師との相談が必要です。
効果を薄くする薬の飲み合わせ
中用量ピルとして処方されるプラノバールは、飲み合わせに注意が必要な薬やサプリメントが数多くあります。
これらの薬は、中用量ピルの効果を弱らせてしまいます。
リファンピシン、バルビツール酸系製剤、ヒダントイン系製剤、グリセオフルビン血糖降下薬(インスリン製剤、スルフォルニル尿素系製剤、ビグアナイド系製剤)など。
その他にも、一緒に飲む薬の効果を弱らせたり強めたりしてしまう場合もあります。他の薬を服用している場合は、必ず医師に相談し、服用する薬の効果に影響を与える可能性があるかどうかを確認しましょう。
性感染症予防にはならない
中用量ピルは避妊効果がありますが、性感染症（STD）からは保護してくれません。性感染症予防にはコンドームの使用が重要です。
保険適用と適用外をチェック
中用量ピルは使用目的によって保険が適用されます。
月経困難症や子宮内膜症、月経過多などの治療を目的として服用する場合は、保険適用となります。月経移動や避妊を目的として服用する場合は、保険適用外となります。自己負担額についても事前に理解しておきましょう。
中用量ピルに関するよくある質問
Q：月経移動は100％成功しますか？
A：中用量ピルを用いた月経移動の成功率（特に生理を遅らせる場合）は高いものの100％ではありません。
月経成功率を上げるためには、ピルを飲み忘れないのは勿論のこと、生理の周期を把握しておくこと、生理周期がずれるような生活習慣（ストレス、睡眠不足、過度なダイエット等）を避けること、早めに医師に相談して計画を立てることが大切です。
病院によっては中用量ピルで月経移動をさせる場合は、成功率の高い「生理を遅らせる移動」のみ対応している所もあります。
Q：生理が来てほしくないイベントの直前でも月経移動できますか？
A：生理周期によってはイベントの直前でも移動（生理を遅らせること）は可能です。ただし生理予定日の5日～7日前から服用開始する必要があるため、イベント日と生理予定日が近い場合には成功率が低くなる可能性があります。
生理をずらしたいイベントがある場合は、早めに医師に相談し最適な月経移動の方法のアドバイスを受けましょう。
Q：中用量ピルはPMSの改善や避妊目的に使えますか？
A：PMSの改善や日常的な避妊を目的とした場合は中用量ピルではなく副作用の少ない「低用量ピル」が主に処方されます。緊急避妊薬としては中用量ピルを使うことができます。
※PMSとは、Premenstrual Syndromeの略で、日本語では「月経前症候群」と呼ばれます。症状は人によって様々ですが、生理の3〜10日前からイライラや気分の落ち込み等の精神症状と、頭痛や便秘などの身体症状が見られ、生理開始とともに治まってきます。
Q：低用量ピルと併用できますか？
A：低用量ピルと中用量ピルの併用は推奨されていません。一緒に摂取するとホルモン量が多くなり、ホルモンバランスが乱れたり、副作用が強く出る恐れがあります。
ただし、低用量ピルを飲み忘れたことで、緊急避妊薬が必要となった場合は併用が可能です。
中用量ピルについてのまとめ
この記事では「中用量ピル」について詳しく解説しました。中用量ピルは大切なイベントと生理が重ならないように生理の日にちをずらしたい場合や、月経に関する治療、緊急避妊薬として使用でき、女性の日常生活の向上に活躍してくれると言うことがお分かりいただけたでしょうか。
重要なポイントの再確認
・中用量ピルは医師の診断と指導の下で使用する。
・中用量ピルは副作用が出る可能性がある。
・中用量ピルは目的に合わせた服用のタイミングがある。
・中用量ピルの保険適用は使用目的によって異なり、治療以外は保険適用外ということを理解しておく。
中用量ピルの便利な点と注意すべき点を理解して、中用量ピルの使用を検討してくださいね！
