2014年におけるトップレベルのビタミンD研究

15.07.16 オーソモレキュラー医学ニュース

オーソモレキュラー医学ニュースサービスー日本語版

国際版編集主幹Andrew W. Saul, Ph.D. (USA)
日本語版監修柳澤 厚生(点滴療法研究会)
溝口 徹(新宿溝口クリニック)姫野 友美(ひめのともみクリニック)
齋藤 糧三(日本機能性医学研究所) 北原 健(日本オーソモレキュラー医学会)
翻訳協力西本貿易株式会社ナチュメディカ事業グループ

* 国際オーソモレキュラー医学会ニュース<日本語版>は自由に引用・配信ができます。引用の際は必ず引用元「国際オーソモレキュラー医学会ニュース」とURL(https://isom-japan.org/)を記載してください。

執筆者: William B. Grant, PhD

((OMNS、2015年2月3日) 血中ビタミンD値が高いほど、自己免疫疾患、ガン、循環器疾患、認知症、糖尿病を含む多くの種類の疾患ならびに転倒と骨折のリスクが低くなる可能性がある。
ビタミンDに関連している健康効果の研究は、2014年も堅調であった。Pubmed.gov(米国の国立機関による医学文献データベース)に掲載されている公表文献のうち、タイトルまたは抄録に「ビタミンD」という語を含む文献の数は、2011年には3,119本で、2014年では3,919本に増えた。(このレポートの後に名前を記載している)7名のビタミンD研究者が協力して、ビタミンDによる健康効果の理解に最大級の貢献をした2014年度の論文を20本取り上げた。
この記事における論文の掲載順序は、優先順位を表すものではなく、研究の種類によって分けている。また、この記事において、血中の「ビタミンD」値とは、25-ヒドロキシビタミンD(略称25(OH)D)の測定値をいう。

 

ビタミンDの研究で無作為化比較試験は役立つか?

ビタミンDが骨格系にとって有益であることに反論する人はいない。この仮説は多数の研究(無作為化比較試験ならびに疫学研究)によって裏付けられている。争点となっているのは、ビタミンDが骨格系以外にも有益か否かということである。多数の観察研究(疫学研究、つまり関連研究)にて、骨格系以外にも有益であることがわかっている一方、無作為化比較試験では、そうではないことを示しているものも多い。これは、ビタミンDが疾患予防に役立たないという意味だろうか? それとも、栄養研究では無作為化比較試験という様式が役立たないということだろうか?

 

「2014年における無作為化比較試験」

慢性閉塞性肺疾患患者におけるビタミンD3補給 [Martineau、2014年]

英国で行われたこのビタミンD関連試験は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者に対し、120,000 IUのビタミンD3を2カ月ごとに1年間にわたり与えたもので、その結果、ベースラインの25(OH)D濃度が50 nmol/L(20 ng/mL)未満であったグループでは、ビタミンD3の補給により、中程度または重度の増悪に対する予防的効果が見られたが、ベースライン濃度が50 nmol/L以上であったグループでは、こうした効果は見られなかった。上気道感染症に対する効果は、ビタミンD3補給には見られなかった。この研究での投与頻度は2カ月に1回で、低頻度の間隔で高用量を用いた以前の複数の無作為化比較試験の結果と一致している。一方、適量を毎日与えた他の複数の試験では、上気道感染症の減少効果が見られている。

 

ビタミンDによる血管再生の促進 [Wong、2014年]

この研究では、ビタミンDによって循環器疾患が改善されることが実証されている。このドイツの研究チームは、いくつかの方法でこの改善効果を調べ、1日4,000 IUのビタミンD3補給によって、血管形成に関連している循環骨髄性細胞の数が増えたとしている。この細胞は、心臓血管系の健康維持に必要な血管増殖と血管再生を促進するものである。あるマウスモデルでも同様の結果が見られており、そこでは、血管形成(血管新生)の機能障害が回復することも実証されている。この研究チームは、ビタミンDが作用するメカニズムについても調べている。

 

ビタミンDとうつ病: 生物学的な欠陥を伴う研究と伴わない研究を比較した系統的レビューとメタ分析 [Spedding、2014年]

この論文では、方法に欠陥がないビタミンD関連無作為化比較試験を行った多数の研究の統計的平均が報告されており、ビタミンDの補給によって、臨床的うつ病に対し、統計的に有意な改善がもたらされることがわかっている。しかし、方法に欠陥があるビタミンD関連無作為化比較試験を同じ方法で分析したところ、統計的に有意なうつ病の悪化が見られた。特定された主要欠陥には、25(OH)D濃度を上昇させていなかったこと、ベースラインの25(OH)D濃度や最終的な25(OH)D濃度を測定していなかったことなどがあった。ビタミンDの補給量が800 IU/日より多い場合に、うつ病の管理という面で若干の改善が見られている。

 

抗生物質の使用に対するビタミンD補給の効果: 無作為化比較試験 [Tran、2014年]

60~84歳のオーストラリア住民644人を被験者としたビタミンD関連無作為化比較試験の事後解析(研究完了後に実施された解析)の結果、年齢が70歳を超えていて月に60,000 IUのビタミンD3を摂取しているグループでは、プラセボグループと比較して、抗生物質の処方量に有意な低下が見られた。こうした効果は、70歳未満のグループでは有意なものではなかった。高齢者の場合、平均2,000 IU/日のビタミンD3を摂ると、感染症(最も可能性が高いのは呼吸器感染)のリスクが低下することが、この研究では示唆されている。

 

「ビタミンD関連の観察研究」

観察研究からは、ビタミンDに関連した有益な健康効果を示す最強の証拠がこれまでいくつか得られている。観察研究では、被験者ごとに、ビタミンDの状態と健康転帰の測定を行う。被験者は、参加の時点で血液検査を受け、数年にわたり追跡される。結果としてプラス方向の健康転帰が見られた場合に、ビタミンDは有効とされる。

 

ビタミンDと死因別死亡リスク: 観察的なコホート研究と無作為化介入研究の系統的レビューとメタ分析 [Chowdhury、2014年]

この論文は、ビタミンDと死因別死亡率との相関を示している観察研究と無作為化比較試験研究のレビューである。結論の一つは、高齢者においてビタミンD3の補給は全死亡率に有意な低下をもたらす、というものであった。この研究グループが用いたデータは、73のコホート研究(被験者総数849,412人)と22の無作為化比較試験(被験者総数30,716人)から得られたものであった。無作為化比較試験では、全死因死亡率が、ビタミンD3を補給した場合は11%低くなっていたが、ビタミンD2を補給した場合は4%高くなっていた。また、ガンに特定した発生率と死亡率のメタ分析で、調査開始時に血中ビタミンD濃度が下位3分の1にあったグループを、上位3分の1にあったグループと比較したところ、ビタミンDによる影響として、最初にガンを発症するリスクの低下よりも、ガン発症後の生存率に対する影響のほうがはるかに強い可能性があることが示唆されている。

 

血清25-ヒドロキシビタミンD濃度にもとづく全死因死亡率のメタ分析 [Garland、2014年]

これは32の観察研究を分析したもので、25(OH)D濃度が13 nmol/L(5 ng/mL)から90 nmol/L(36 ng/mL)まで上昇するにつれ、全死因死亡率が線形的に減少することがわかっている。25(OH)D濃度が90 nmol/L(36 ng/mL)を超えると、それ以上の改善は見られなかった。25(OH)D濃度が低くても高くてもリスクは高まるという報告がいくつかの研究でなされているが、そうしたU字型の関係を示す証拠が見られなかったという点で、この研究結果は重要である。また、25(OH)D濃度が 25 nmol/L(10 ng/mL)未満であったグループの全死因死亡率は、25(OH)D濃度が100 nmol/L(40 ng/mL)を超えていたグループの1.9倍となっていた。

 

低ビタミンD値はクロストリジウム・ディフィシル関連下痢症における不良転帰の独立予測因子となる [Wang、2014年]

ニューヨークで行われたこの研究では、致死率が高いクロストリジウム・ディフィシル関連下痢症(CDAD)への反応を予測する独立因子が25(OH)D濃度と年齢のみであることがわかっている。25(OH)D濃度が53 nmol/L(21 ng/mL)未満であったグループでは、25(OH)D濃度が75 nmol/L(30 ng/mL)を超えていたグループと比較して、30日後にCDADが消散していない可能性が4.75倍高くなっていた。抗生物質に耐性があるクロストリジウム・ディフィシルの菌株によってCDADの発生率が増加しているため、これは重要な研究結果である。

 

日光暴露を避けることは全死因死亡の危険因子の一つである: MISS(南スウェーデンでのメラノーマ関連コホート調査)による結果 [Lindqvist、2014年]

スウェーデンで行われたこの観察研究は、29,518人の女性を対象として最長20年の追跡調査を行い、その間に2,545件の死亡が確認されたもので、日光暴露を避けていたグループでは、日光暴露量が最も多かったグループと比較して、死亡率が約2倍も高くなっていた。この差は、全死亡数の3%にあたる。また、スウェーデンでは紫外線B波の量は一般に少なく、1年のうち6カ月間はほとんどないため、この差は重要である。日光暴露量の差のほとんどは、ビタミンDの生成によって説明することができる。ただ、太陽紫外線にはその他にも有益な効果があり、たとえば、一酸化窒素を放出させて血圧の低下をもたらしたり、ビタミンDに依存しない効果を免疫系にもたらしたりする。

 

20~100 ng/mLという25-ヒドロキシビタミンD濃度と腎臓結石の発生率との関係 [Nguyen、2014年]

非営利団体のGrassrootsHealth(510c3)により、D*actionという自発的報告プロジェクトが始められた。このコホートの人数は7,000人を超え、そのうち2,012人が、中央値で19カ月間、自己のデータを報告した。このコホートでは、25(OH)D値と腎臓結石との関連を示す証拠は見られなかった。この研究で腎臓結石の危険因子とされたのは、体格指数が高い場合であった。この研究は、400 IU/日のビタミンD3と1,500 mg/日のカルシウムを摂っていたグループでは腎臓結石のリスクが高かったという報告内容のWomen’s Health Initiative研究に反論するものとなっている。

 

欧州の母集団における診断前血中ビタミンD値と肝細胞ガンのリスクとの関係: コホート内症例対照研究 [Fedirko、2014年]

ガンと栄養に関する欧州での前向き研究(EPIC)のコホートに含まれている520,000人を対象とした観察研究であり、そのうち138人が肝細胞ガンまたは肝ガンを発症しており、25(OH)D値が高いほど肝細胞ガンの発生率が低くなることがわかった。25(OH)D濃度が10 nmol/L(4 ng/mL)高くなるごとに、肝細胞ガンのリスクが平均20%下がるという関連が見られている。この研究の被験者数は多かったが患者数は非常に少なかったことから、まれなガンに対するビタミンDの有益な効果を実証することは難しいことがわかる。この論文の執筆者によると、こうした結果は、「既存肝障害のバイオマーカー値や、B型・C型肝炎ウイルスの慢性感染症について調整を行った後も変わらなかった」ということである。

 

血漿ビタミンD濃度は結腸直腸ガンの診断後の生存転帰に影響する [Zgaga、2014年]

アイルランドとスコットランドで行われたこの研究は、ステージI~IIIの結腸直腸ガンの患者1,598人を調べたもので、その結果、25(OH)D濃度(結腸直腸ガンと診断されてから約15週間後に測定したもの)に、生存率との関連があることがわかった。25(OH)D濃度が上位3分の1にあったグループでは、濃度の中央値が51 nmol/L(20 ng/mL)であり、中央値が10 nmol/L(4 ng/mL)であった下位3分の1のグループと比較して、10年という追跡期間を通し、ガンに特定した死亡率に32%のリスク低下、全死因死亡率に30%のリスク低下が見られた。ガンと診断された人は25(OH)D濃度を最低でも50 nmol/L(20 ng/mL)以上に上げるべきであるという考えを、この研究は裏付けている。

 

乳ガン患者の生存率を向上させるためのビタミンD充足度に関するメタ分析 [Mohr、2014年]

2つのメタ分析の結果、診断された時点での25(OH)D濃度が高いほどガン生存率が有意に高くなることがわかっている。乳ガンについては、25(OH)D濃度が75 nmol/L(30 ng/mL)であったグループでは、それより低い30 nmol/L(12 ng/mL)のグループと比べて、5~20年後の死亡率が半分であったことが、5つの研究による結果からわかっている。

 

ビタミンDの充足により結腸直腸ガン患者の生存率が向上する可能性はあるか? [Mohr、2014年]

結腸直腸ガンに関するこのメタ分析では、25(OH)D濃度が80 nmol/L (32 ng/mL)であったグループでは、45 nmol/L(18 ng/mL)のグループと比較して、6~20年後の死亡率が60%であったことが、4つの研究による結果からわかっている。

 

低25-ヒドロキシビタミンD値とアルツハイマー病・血管性認知症のリスク [Afzal、2014年]

25(OH)D濃度が低いグループでは血管性認知症とアルツハイマー病の発症リスクが高くなることが、2つの研究論文で報告されている。その1つであるこの研究はデンマークで行われたものであり、418人を被験者として30年間追跡した結果、ベースラインの25(OH)D濃度が25 nmol/L(10 ng/mL)未満であったグループでは、50 nmol/L(20 ng/mL)を超えていたグループと比較して、アルツハイマー病のリスクが25%、血管性認知症のリスクが22%高くなっていた。

 

ビタミンDと認知症・アルツハイマー病のリスク [Littlejohns、2014年]

認知症とアルツハイマー関連のもう一つの論文であり、米国で行われたこの研究では、1,658人を被験者として5.6年追跡した結果、25(OH)D濃度が十分なレベル(50 nmol/L(20 ng/mL)以上)であったグループと比較して、著しい欠乏レベル(25 nmol/L(10 ng/mL)未満)にあったグループではアルツハイマー病のリスクが125%高く、欠乏レベル(25 nmol/L以上50 nmol/L未満)にあったグループではそのリスクが53%高くなっていた。

 

「妊娠関連」

妊娠期間中の3時点におけるビタミンD状態の事後比較により、出産に近い時点でのビタミンD濃度が高いほど早産のリスクが低下することを実証 [Wagner、2014年]

妊娠期間中のビタミンDの役割については、かなりの関心が払われている。サウスカロライナ州で行われた2つの妊婦ビタミンD補給試験の結果を分析したところ、以下の結果が得られている:
(1) 妊婦のビタミンD状態と早産との関連については、出産日に最も近い時点でのビタミンD状態のほうが有意な差をもって関連性が高い。このことは、救命処置としての後期介入によって早期産のリスクが低下する可能性があることを示唆している。
(2) 妊娠の第三期(妊娠後期)にて血清ビタミンD濃度が100 nmol/L(40ng/mL)あると早産が47%減少するという関連が見られた。

 

胎児の発達におけるビタミンDの役割: 出産関連コホート研究による結果 [Hart、2014年]

オーストリアで行われたこの研究は、妊娠18週の時点での妊婦の25(OH)D濃度と、生まれた子どもの数年後における結果を比較したものである。執筆者によると、結果として、「妊娠期間中のビタミンD欠乏には、生まれた子どもが6歳になった時点での肺の発達障害、10歳の時点での神経認知的困難、青年期における摂食障害リスクの増加、および20歳の時点での最大骨量が低い状態との関連が見られた」。

 

ビタミンDと子癇(かん)前症(妊娠中毒症): オリジナルデータ、系統的レビューおよびメタ分析 [Hypponen、2014年]

妊娠期間中のビタミンD補給と25(OH)D濃度に関するレビューであり、ビタミンDによって子癇前症のリスクが低下することがわかっている。25(OH)D濃度に関しては、血中ビタミンD濃度が高いほうが、複合リスクが48%低くなっていた。ビタミンDの無作為化比較試験では、ビタミンDを補給した場合に、プラセボとの比較で、34%の複合リスク低下が見られた。このレビューは、妊娠期間中にビタミンDを補給し25(OH)D濃度を高めることの重要性をさらに裏付けるものとなっている。

 

「無作為化」

ビタミンDと健康転帰との関連を偶然によるものと見なし得るか判断する目的で最近用いられている方法が、メンデル無作為化解析である。この方法では、ビタミンDの影響を受けることがわかっている遺伝的変異体と、健康転帰との比較を行う。この方法のメリットとして、時間とともに変化するベースラインの25(OH)D濃度によって結果が左右されないはずである。一方、デメリットとしては、考慮される因子がごくわずかであり、25(OH)D濃度に影響を及ぼす最重要レベルの因子が含まれないおそれがある。

 

遺伝的低ビタミンD濃度と死亡率増加との関係: 3つの大規模コホートにおけるメンデル無作為化解析 [Afzal、2014年]

この研究では、デンマーク系の白人95,766人を被験者として、DHCR7(ビタミンD合成に関係している酵素)とCYP2R1(肝臓での25位水酸化酵素)の遺伝的変異について調べた。その遺伝的変異とは、被験者の生涯にわたり血漿25(OH)D濃度に若干の低下をもたらすものである。25(OH)D濃度が高いほど、全死因死亡率、ガン死亡率などの死亡率に有意な低下が見られたが、心血管系死亡率には有意な低下は見られなかった。こうした結果は興味深いものであるが、用いられた方法は、ビタミンDに循環器疾患のリスクを下げる予防的役割はないと断言できるほどしっかりしたものではなかった。血清25(OH)D濃度は、一般集団では遺伝子よりもはるかに太陽暴露によって大きく左右されるため、この研究方法をとくに弱いものとみなす人もいる。

 

栄養素の効果を調べる臨床研究のデザインと分析を最適化するためのガイドライン [Heaney、2014年]

ビタミンD関連の無作為化比較試験のほとんどは、調合薬のために考案されたガイドラインにもとづいており、その場合、試験に使用した薬剤のみが作用因の源となり、また、作用因と結果には線形の用量反応関係がある。しかし、ビタミンDの試験ではどちらの前提も有効ではない、とDr. Heaneyは断言している。
それよりも、ビタミンDの試験では以下のようにすべきである。
1.25(OH)D濃度と健康転帰との関係を理解することから始める。どんな結果を期待しているのか?
2.被験予定者の25(OH)D濃度を測定し、その濃度が上記の関係の下端に近い人々だけを登録する。
3.十分なビタミンDを補給して、25(OH)D濃度を上記の関係の上端近くまで高める。
4.試験期間を通して25(OH)D濃度の測定を行う。
5.ビタミンDが反応における唯一の限定因子となるよう、ビタミンDに関係している他の栄養素の状態を最適化する。
残念ながら、現在行われているビタミンD試験の多くは、こうしたガイドラインや類似したガイドラインを考慮してデザインされていない。そのため、骨格系以外の疾患に関する観察研究の結果を確認または論駁するための十分な証拠が、ビタミンDの無作為化比較試験によって得られるまでには、まだ暫くかかるおそれがある。

 

「結論」

日光紫外線B波への暴露ならびにビタミンDによる健康効果の研究は、速いペースで続いている。我々はどうやら、ビタミンD研究の最盛期、つまり広範囲の健康転帰に対する紫外線B波暴露とビタミンDの効果の理解に大いな進歩をもたらす時期の真っ只中にいるようである。我々は、単に発見をする時代から、過去の研究結果を評価して様々な疾患の予防と治療におけるビタミンDの役割を試す時代への過渡期にある。
生態学的研究および観察研究から得られた結果の多くはゆるぎないものであるが、保健制度や政策の立案者たちは、健康に有効な要因として紫外線B波暴露とビタミンDを受け入れる前に、現在行われている大規模な無作為化比較試験の結果を待っているようである。残念なことに、現在実施中で2020年までに完了する予定の無作為化比較試験については、いくつかの国で行われている大規模なものを含め、ほとんどが正しくデザインされていないため、ビタミンDの予防力が明らかにならないおそれがある。そのため、ビタミンDと日光による真の健康効果が受け入れられるまでには、もう10年かかるかもしれない。その一方で、様々な種類の研究が続くことになるため、入手可能な証拠を評価して善処するのは、個人およびその医療提供者の責任となる。
日光紫外線B波とビタミンDに関するその他の情報源:
http://www.grassrootshealth.net/
http://www.healthresearchforum.org.uk/
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed
http://scholar.google.com/
http://www.sunarc.org/
http://www.vitamindcouncil.org/
http://www.vitamindsociety.org/
http://www.vitamindwiki.com/VitaminDWiki

 

OMNSによるその他のビタミンD関連記事

この記事は、オーソモレキュラー・メディシン・ニュースサービス(OMNS)によるビタミンDシリーズの第5弾である。過去の記事は以下のとおり:
Vitamin D Stops Cancer; Cuts Risk In Half. American Cancer Society Drags its Feet.(ビタミンDによるガンの抑制、リスクの半減 米国ガン協会は足を引きずる) 2008年10月2日 http://orthomolecular.org/resources/omns/v04n11.shtml
1.Why You Need More Vitamin D. A Lot More.(もっと多くのビタミンDが必要な理由) 2011年9月16日 http://orthomolecular.org/resources/omns/v07n07.shtml
2.Top Vitamin D Papers of 2011, Dosage Recommendations and Clinical Applications.(2011年におけるトップレベルのビタミンD研究論文 推奨用量および臨床的応用) 2012年4月10日 http://orthomolecular.org/resources/omns/v08n12.shtml
3.Vitamin D is Now the Most Popular Vitamin.(ビタミンDは今や最も人気があるビタミン) 2013年1月17日 http://orthomolecular.org/resources/omns/v09n01.shtml

 

査読者リスト

Barbara J Boucher, MD, FRCP, Centre for Diabetes, Blizard Institute, Bart’s & The London School of Medicine & Dentistry, Queen Mary University of London, London, UK.
John J. Cannell, MD, Director, Vitamin D Council, San Luis Obispo, CA, http://www.vitamindcouncil.org/
Cedric F. Garland, DrPH, Professor, Department of Family and Preventive Medicine, Division of Epidemiology, University of California San Diego, La Jolla, CA
William B. Grant, Ph.D., Director, Sunlight, Nutrition and Health Research Center, San Francisco, CA, http://www.sunarc.org/
Michael F. Holick, M.D., Ph.D., Department of Medicine, Section of Endocrinology, Nutrition, and Diabetes, and the Vitamin D, Skin, and Bone Research Laboratory, Boston University Medical Center, Boston, MA, http://drholick.com/, Interview at http://www.doctoryourself.com/holick.html
Henry Lahore, Director, http://www.vitaminDwiki.com, Port Townsend, WA
Pawel Pludowski, M.D., Department of Biochemistry, Radioimmunology and Experimental Medicine, The Children’s Memorial Health Institute, Warsaw, Poland

文献リスト

Afzal S, Bojesen SE, Nordestgaard BG. Reduced 25-hydroxyvitamin D and risk of Alzheimer’s disease and vascular dementia.(低25-ヒドロキシビタミンD値とアルツハイマー病・血管性認知症のリスク) Alzheimers Dement. 2014 May;10(3):296-302.
Afzal S, Brondum-Jacobsen P, Bojesen SE, Nordestgaard BG. Genetically low vitamin D concentrations and increased mortality: mendelian randomisation analysis in three large cohorts.(遺伝的低ビタミンD濃度と死亡率増加との関係: 3つの大規模コホートにおけるメンデル無作為化解析) BMJ. 2014 Nov 18;349:g6330. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25406188
Chowdhury R, Kunutsor S, Vitezova A, Oliver-Williams C, Chowdhury S, Kiefte-de-Jong JC, Khan H, Baena CP, Prabhakaran D, Hoshen MB, Feldman BS, Pan A, Johnson L, Crowe F, Hu FB, Franco OH. Vitamin D and risk of cause specific death: systematic review and meta-analysis of observational cohort and randomised intervention studies.(ビタミンDと死因別死亡リスク: 観察的なコホート研究と無作為化介入研究の系統的レビューとメタ分析) BMJ. 2014 Apr 1;348:g1903. http://www.bmj.com/content/348/bmj.g1903?view=long&pmid=24690623
Fedirko V, Duarte-Salles T, Bamia C, Trichopoulou A, Aleksandrova K, Trichopoulos D, Trepo E, Tjonneland A, Olsen A, Overvad K, Boutron-Ruault MC, Clavel-Chapelon F, Kvaskoff M, Kühn T, Lukanova A, Boeing H, Buijsse B, Klinaki E, Tsimakidi C, Naccarati A, Tagliabue G, Panico S, Tumino R, Palli D, Bueno-de-Mesquita HB, Siersema PD, Peters PH, Lund E, Brustad M, Olsen KS, Weiderpass E, Zamora-Ros R, S nchez MJ, Ardanaz E, Amiano P, Navarro C, Quir¢s JR, Werner M, Sund M, Lindkvist B, Malm J, Travis RC, Khaw KT, Stepien M, Scalbert A, Romieu I, Lagiou P, Riboli E, Jenab M. Prediagnostic circulating vitamin D levels and risk of hepatocellular carcinoma in European populations: a nested case-control study.(欧州の母集団における診断前血中ビタミンD値と肝細胞ガンのリスクとの関係: コホート内症例対照研究) Hepatology. 2014 Oct;60(4):1222-30. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24644045
Garland CF, Kim JJ, Mohr SB, Gorham ED, Grant WB, Giovannucci EL, Baggerly L, Hofflich H, Ramsdell J, Zeng K, Heaney RP. Meta-analysis of all-cause mortality according to serum 25-hydroxyvitamin D.(血清25-ヒドロキシビタミンD濃度にもとづく全死因死亡率のメタ分析) Am J Pub Health. 2014 Aug;104(8):e43-50. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24922127
Hart PH, Lucas RM, Walsh JP, Zosky GR, Whitehouse AJ, Zhu K, Allen KL, Kusel MM, Anderson D, Mountain JA. Vitamin D in fetal development: Findings from a birth cohort study.(胎児の発達におけるビタミンDの役割: 出産関連コホート研究による結果) Pediatrics. 2015 Jan;135(1):e167-73. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25511121
Heaney RP. Guidelines for optimizing design and analysis of clinical studies of nutrient effects.(栄養素の効果を調べる臨床研究のデザインと分析を最適化するためのガイドライン) Nutr Rev. 2014 Jan;72(1):48-54. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24330136
Hyppönen E, Cavadino A, Williams D, Fraser A, Vereczkey A, Fraser WD, B nhidy F, Lawlor D, Czeizel AE. Vitamin D and pre-eclampsia: original data, systematic review and meta-analysis.(ビタミンDと子癇前症: オリジナルデータ、系統的レビューおよびメタ分析) Ann NutrMetab. 2013;63(4):331-40. (published in 2014) http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24603503
Lindqvist PG, Epstein E, Landin-Olsson M, Ingvar C, Nielsen K, Stenbeck M, Olsson H. Avoidance of sun exposure is a risk factor for all-cause mortality: results from the MISS cohort.(日光暴露を避けることは全死因死亡の危険因子の一つである: MISSによる結果) J Intern Med. 2014 Jul;276(1):77-86. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24697969
Littlejohns TJ, Henley WE, Lang IA, Annweiler C, Beauchet O, Chaves PH, Fried L, Kestenbaum BR, Kuller LH, Lang KM, Lopez OL, Kos K, Soni M, Llewellyn DJ. Vitamin D and the risk of dementia and Alzheimer disease.(ビタミンDと認知症・アルツハイマー病のリスク) Neurology. 2014 Sep 2;83(10):920-8.
Martineau AR, James WY, Hooper RL, Barnes NC, Jolliffe DA, Greiller CL, Islam K, McLaughlin D, Bhowmik A, Timms PM, Rajakulasingam RK, Rowe M, Venton TR, Choudhury AB, Simcock DE, Wilks M, Degun A, Sadique Z, Monteiro WR, Corrigan CJ, Hawrylowicz CM, Griffiths CJ. Vitamin D3 supplementation in patients with chronic obstructive pulmonary disease (ViDiCO): a multicentre, double-blind, randomised controlled trial.(慢性閉塞性肺疾患患者におけるビタミンD3補給(ViDiCO):多施設二重盲検無作為化比較試験) Lancet Respir Med. 2014 Dec 1. pii: S2213-2600(14)70255-3. doi: 10.1016/S2213-2600(14)70255-3. [印刷物に先行した電子出版] http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25476069
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