サプリメントに対する制約は誤情報に基づいている

12.11.08 オーソモレキュラー医学ニュース

オーソモレキュラー医学ニュースサービスー日本語版

国際版編集主幹Andrew W. Saul, Ph.D. (USA)
日本語版監修柳澤 厚生(点滴療法研究会)
溝口 徹(新宿溝口クリニック)姫野 友美(ひめのともみクリニック)
齋藤 糧三(日本機能性医学研究所) 北原 健(日本オーソモレキュラー医学会)
翻訳協力西本貿易株式会社ナチュメディカ事業グループ

* 国際オーソモレキュラー医学会ニュース<日本語版>は自由に引用・配信ができます。引用の際は必ず引用元「国際オーソモレキュラー医学会ニュース」とURL(https://isom-japan.org/)を記載してください。

欧州から世界の他地域への警告

執筆者: Gert Schuitemaker, PhD

序説: 「ここでは起こりえない」という言葉は、本当にそうだろうかと思う言葉を集めた前代未聞のリストがあればトップの座にふさわしい。米国では今のところ、まだ、栄養補助食品を処方箋なしで買うことができる。しかし、新聞を読んだり、テレビのニュースを見たり、雑誌に目を通す人なら、ビタミン剤に対しては否定的な報道が優位を占めていることに気付かないはずはない。OMNSは、こうした誤情報に対する反論を続けているため(これが145号になる)、サプリメントの本当の「リスク」に注目している。読者の方々には、Dr. Abram Hofferの名言を覚えておいてほしい – 「サプリメントに対する攻撃は全部、実のところサプリメントの効果に対する攻撃である」。サプリメントが非難されれば、処方薬とされかねない。処方薬になれば、価格が上がり、また、店頭で買えなくなる。 - Andrew W. Saul (編集者)

(OMNS、2012年10月16日) サプリメントの摂取による死亡リスクは、喫煙、薬物有害反応、ガンというような他のリスクよりはるかに低く、さらには落雷による死亡リスクよりも低いことが、最近の研究で説明されている[1]。この重要な新しい情報は、欧州連合(EU)内における最近の食品規制に関連している。この食品規制は、市販のサプリメントをより安全にするものと考えられているが、上記の研究は、サプリメントは危険であるという考えが間違っていることを示している。
コーデックス委員会(国際食品規格委員会)は、1963年に国際連合食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)によって設立され、後に世界貿易機関(WTO)により、国際規格の策定機関として指定されており、サプリメントを含む食品の販売に関するガイドラインと行動基準を定めている[2]。自然な健康を求めるこの地域では(EUのこと)、コーデックスは、サプリメントの選択と購入の自由を脅かすものとみなされている。販売可能なサプリメントの用量や、広告と包装に使用可能な文言をコーデックスが規定しているからである。
コーデックスは、米国では導入されていないが、EU内では、サプリメントに関する欧州指令が採択されたことから2002年に法に組み込まれた。この一式の規制は、消費者によるサプリメント購入時の自由選択を制限するものである。この問題をもっと十分に理解するためには、米国と比べてEUは高度に社会化され規制されているということを把握すべきである。欧州では、大西洋の対岸の国(米国のこと)よりも、政策立案者と政治家によるこうした厳格な法律が採用されやすい。一方、米国では、このような制限に対して、巨大な食品企業が陳情を行っている。コーデックス委員会ならびにこのEU指令は、この種の食品規制を世界中の他地域に輸出するためのひな形となり得るとみなされている。
この種の食品法案は、疑われるリスクからEU内の全国民を保護するために考えられたものであり、サプリメントの摂取に関係していると思われる人でも保護の対象となる。サプリメントは、「有害ではないという科学的証拠」がなければ、そうでないことが証明されるまで有害として扱われる。最初に思うこととして、我々の多くは、政府にはこうしたリスクを調べてこうした予防的な法を設けるための道徳的な責任と暗黙の権能がある、と予想することになる。しかし、「安全であることが証明されるまでは危険である」という、思考を麻痺させる論理によって、最近、担当のEU委員会は、水で脱水症が治るとか、プルーンで便秘が治るというような強調表示に対し、それを表示するだけの十分な科学的証拠がないという理由で否定するに至っている[1]。

 

健康の自由への脅威

サプリメントに関するEU指令は、今にも施行されようとしている。2012年12月4日以降、サプリメントに付ける強調表示は、極めて厳格で制限的な規則一式に基づいた欧州食品安全機関(EFSA)による承認を受けなければならない。これまでに提出された4,000の強調表示のうち、認められたのは約220に過ぎない。たとえば、この規制では、サプリメントのラベルに、コエンザイムQ10なら「エネルギー」、ケルセチンなら「抗酸化物質」、プロバイオティクスなら「プロバイオティクス」という用語を使うことを禁じている。同法では、こうした用語を、根拠がない健康効果の強調表示とみなしているためである。
このEU指令は、自分自身の健康には責任を持ちたいと望む消費者の希望に反するものである。世界的に施行するためのひな型が発動し、自己の健康の自由に対する攻撃を止めるものがなくなってしまうため、選択の自由を求めて戦っている他国の人々も注意すべきである。こうした陰湿な脅威に対処するため、Alliance for Natural Health International (ANHI)は、EU内における様々な原因による死亡リスクを数値化した図を編さんした[1]。

(図1:)EUにおける様々な原因による死亡のリスク
まず、各4分割領域における丸の位置に注目すること。X軸(横軸)は、個人がその危険にさらされた場合の、その個人の死亡リスク(100万人当たり)を示し、Y軸(縦軸)は、EUの住民100万人当たりの全体的な死亡リスクを示す。
(A). 右上の4分割領域に見られる死亡リスクは、人口の比較的多数に当てはまり(ガンや予防可能な医療被害など)、個人がその危険にさらされた場合も比較的リスクが大きいものである。
(B). 右下の4分割領域については、EUの総人口の比較的少数しかそのリスクによって死亡しないが(鉄道作業など)、個人がその危険にさらされた場合は死亡リスクが比較的高いことを示している。
(C). 左下の4分割領域については、EUの人口全体に対する死亡リスクが比較的小さく、また、個人がその危険にさらされた場合の死亡リスクも小さいことを示している。
(D). 左上の4分割領域については、人口全体に対するリスクは理論上、比較的大きいが、個人がその危険にさらされた場合の死亡リスクは小さいことを示している。個人の死亡リスクが小さければ、リスク全体も小さくなるはずであるため、実際は、これが発生するとは考えられない。
それぞれの丸の大きさは、個人の暴露に対する相対リスクを表す。
注: 1つのグラフ上にデータを有意義に示すことができるよう、対数目盛を用いているが、これは、リスクの差が、丸の位置で示した差より指数関数的に大きいことを暗に意味している。
数字の出典: ANHI [1]

 

ANHIによるリスク研究の結果

•結果1: 喫煙による死亡リスクを示す丸も、違法薬物使用による死亡リスクを示す丸も、等しく大きい(右上の四分割領域)。これは、各喫煙者についての喫煙による死亡リスクも、各薬物使用者についての薬物使用による死亡リスクも、等しく、比較的大きいことを意味している(100万人当たり約2,500人 [1:400])。しかし、喫煙者より違法薬物使用者のほうが少ないため、全体的なリスクは薬物使用のほうがはるかに低い(違法薬物使用によるリスク: EU住民100万人当たり ~10人 [1: 100,000]、喫煙によるリスク: 100万人当たり ~1,000人 [1: 1,000])。
•結果2: 落雷による死亡リスクと、サプリメント使用による死亡リスク(左下領域)は、どちらも極めて小さい。個人によるサプリメント使用による死亡リスクは、100万人当たり1人、落雷による死亡リスクは、100万人当たり80人であるため、サプリメント使用による死亡リスクは、落雷による死亡リスクの80分の1である。
•結果3: サプリメント使用による死亡リスク(左下領域)と、病院での予防可能な医療被害による死亡リスク(右上領域)を比較すると、相対的な丸の大きさから、サプリメントによる死亡リスクは、病院での予防可能な医療被害による死亡リスクよりはるかに小さいことがわかる。X軸から見ると、サプリメントによる個人に対する死亡リスクは極めて小さく(100万人当たり1人)、病院での予防可能な医療被害による死亡リスクのほうが数千倍大きい(100万人当たり5,000人、つまり0.5%である)ことが明白である。Y軸から見ると、サプリメントによるEUでの全体的な死亡リスクはさらに低く(10億人当たり6人、つまり170万人に1人)、一方、入院中の予防可能な医療被害による死亡リスクは、100万人当たり約700人 [400人に1人] となっている。
•結果4: 個人に対するリスクの比較(丸の大きさとX軸上の位置で表示):

結論

EUでは、サプリメントを自分で毎日摂ることが、最も安全な日常活動の一つとなっている。落雷で命を落とすリスクでさえ、サプリメントで死亡するリスクと比べれば大きい。病院での予防可能な医療被害によって死亡するリスクは、サプリメントによる死亡リスクの350,000倍である。欧州の関係当局は、予想されるリスクからEU内の国民を保護するため、予防的な法案を設けたつもりであったが、実際のところ、大手食品企業を優遇する片寄った考えがあることが、このリスク図からわかる。(サプリメントは極めて安全である。)多くの人が、コーデックス委員会のことを、米国民によるサプリメント摂取の自由に今にも脅かす存在とみなしている。残念なことに、EUにおけるこの食品規制のように、現在では、これが世界中での立法措置のひな形とみなされている[3]。これに米国が含まれていることは間違いない。

(Dr. Gert Schuitemakerは、薬剤師としての教育を受けた後、マーストリヒト大学で医学博士号を取得。オランダのオーソ研究所の設立者。同研究所は、医療従事者向けにオーソモレキュラー誌、一般向けにFit mit Voeding(「栄養による体調管理」)を発行している。同氏は、本を数冊出版しており、また、300を超える論文を発表している。)

 

詳細情報の入手先

Alliance for Natural Health International(ANHl)は、自然で持続可能な健康管理法を推進している非政府組織である。ANHlの運動は、ハーブ製品および必須栄養素の適量使用を含め、広範な健康管理分野にわたっている。http://www.anh-europe.org および http://www.anh-usa.org

参考文献

1. http://www.anh-europe.org/news/anh-exclusive-lightning-more-dangerous-than-herbs-or-vitamins.
2. http://www.codexalimentarius.org/.
3. Schwitters B. Health Claims Censored. The case against the European Health Claim Regulation(検閲を受けた健康強調表示: 健康強調表示関連の欧州規制に対する申し立て). De Facto Publications, 2012.

日本語訳監修:齋藤 糧三(日本機能性医学研究所)