人々にビタミン剤は恐いと信じ込ませる方法 ー 製薬業界が大金を注ぎ込んでいる

12.04.17 オーソモレキュラー医学ニュース

オーソモレキュラー医学ニュースサービスー日本語版

国際版編集主幹Andrew W. Saul, Ph.D. (USA)
日本語版監修柳澤 厚生(点滴療法研究会)
溝口 徹(新宿溝口クリニック)姫野 友美(ひめのともみクリニック)
齋藤 糧三(日本機能性医学研究所) 北原 健(日本オーソモレキュラー医学会)
翻訳協力西本貿易株式会社ナチュメディカ事業グループ

* 国際オーソモレキュラー医学会ニュース<日本語版>は自由に引用・配信ができます。引用の際は必ず引用元「国際オーソモレキュラー医学会ニュース」とURL(https://isom-japan.org/)を記載してください。

執筆者: Andrew W. Saul

最近、ビタミン剤に反対する多くの情報が吹聴されているが、これは、製薬会社による金銭支払の産物である。いや、これは、「よくある」陰謀説とは異なる。そのからくりは以下のとおりである。

1) 研究論文執筆者への金銭支払

最近JAMA(米国医師会雑誌)に掲載されたビタミンEに関する否定的な論文(1)では、執筆者の多くが製薬業界から相当な収入を得ていた。そのことについては、その論文の最終頁(1556)にある「利益相反(conflict of interet)」の項で見ることができるが、米国医師会雑誌のウェブサイトにある論文の抄録には掲載されていない。その論文執筆者の多くは、メルク、ファイザー、サノフィ・アベンティス、アストラゼネカ、アボット、グラクソ・スミスクライン、ヤンセン、アムジェン、ファーマゴン、ノバルティスを含む製薬会社から金銭を受け取っている。

2) 広告収入

多くの大衆雑誌、およびほとんどすべての有名医学雑誌は、製薬会社から収入を得ている。唯一疑問なのは、どれくらいか、ということである。出版物を1冊手に取って、製薬会社の公告を数えてみよう。購入された公告スペースが大きいほど、その出版物は多くの収入を得ているということである。広告収入の情報を探そうとすると、公開されていないことがわかるため、とにかく製薬会社の公告を数えてみよう。リーダーズ・ダイジェストhttp://orthomolecular.org/resources/omns/v06n11.shtml、JAMA、ニューズウィーク、タイム、AARP Today、NEJM(ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン)、アーカイブズ・オブ・ピディアトリックはすべてチェックしてみよう。予防関係の雑誌にさえ見つかるし、ほとんどすべての有名定期刊行誌にある。

3) 試験の不正操作

そう、これは本当であり、証明することもできる。我々は最近の論説にて、新薬の治験ではいかに頻繁に不正操作が行われているか説明している(http://orthomolecular.org/resources/omns/v04n20.shtml)。ビタミンと必須栄養素の健康効果に関する研究でも、不正操作が行われているようである。これを行うのは簡単で、必ず否定的な結果が出るよう低量を用いる方法や、統計的なリスク増加を示すため解釈にバイアスをかける方法がある。

4) 公表される内容や、公表が却下される内容の偏り

規模や人気が最大級の医学雑誌は、製薬会社の広告から多大な収入を得ている。研究の査読が行われているということは、掲載される内容だけでなく、論文執筆者が自己のデータから下す結論さえも影響を受けるということである。
http://orthomolecular.org/resources/omns/v05n02.shtml

5) インデックスに登録され医師や一般人が見ることができる内容の検閲

地球上最大の公共医学ライブラリーである米国国立医学ライブラリー(MEDLINE/PubMed)での検閲には、国民の税金が使われている。
http://orthomolecular.org/resources/omns/v06n03.shtml
以下サイトも参照のこと: http://orthomolecular.org/resources/omns/v06n05.shtml.

 

■信じてはならないか?

ビタミン剤賛成・薬剤反対を示す下記研究は、マスメディアでどの程度取り上げられたか?

・ビタミンのサプリメントを与えた患者ではAIDSによる死亡例が27%少なかったことが、ハーバード大学で の研究でわかっている。(2)
・27年間、ビタミン剤による死亡例はない。
http://orthomolecular.org/resources/omns/v07n05.shtml
・米国だけでも、抗生物質が原因の救急外来受診が年間70万件ある。(3)
・現代の「薬と手術」による医療は、米国における主要死因の3位以内に入っており薬の使用が死因の1位で あると推定している人もいる。(4)
・病院、診療所および養護施設にて、毎年150万人以上の米国人が投薬ミスの被害者となっている。入院した 場合、患者は毎日毎日、少なくとも1回は投薬ミスを受ける可能性がある。(5)
・正しく処方され指示どおりに飲んだ薬により、米国だけでも毎年10万人以上の患者が死亡している。(6)

 

■二重基準

命にかかわる病気の峠で、深夜電話を受けた無能な医師が、「アスピリンを2錠飲んで、朝に電話ください」と言った話を笑い物にしたコメディアンは数知れないが、もう笑ってはいられない。世界最大級の製薬コングロマリットがゴールデンタイムに流していた全国ネットのテレビコマーシャルに、「バイエル薬品のアスピリンを心臓発作時に飲むと実際、死亡の阻止に役立つことがある」という宣伝文句があった。この会社は、ネット上でも、こうした自社製品の使用法を宣伝している。
http://www.wonderdrug.com/  (以前はhttp://www.bayeraspirin.com/news/heart_attack.htm

 

■アスピリンの日常的摂取と膵臓ガンとの関連

今まで見たことがないかもしれない、ちょっとした情報がある。1日1錠だけアスピリンを飲んでいる女性に関する研究によると、「頭痛を治すだけでなく、心臓発作と脳卒中を予防するために何百人もの人がこうした使い方をしている」とし、「それによって、致命的な膵臓ガンになるリスクが高くなる可能性がある。・・・ 膵臓ガンになる米国人は、年間31,000人程度に過ぎないが、その犠牲者は3年以内にほとんどすべて死亡する。88,000人の看護師に関する調査では、20年間以上、アスピリンを週2錠以上飲んでいたグループでは、膵臓ガンのリスクが58%高くなっていた」と示している。(7) アスピリンを1日当たり2錠以上飲んでいた女性グループでは、膵臓ガンのリスクが86%高くなっており、これは憂慮すべき増加である。

論文執筆者であるハーバード・メディカル・スクールのEva Schernhammer博士が述べた以下の言葉が引用されいた。「喫煙は別として、これは、膵臓ガンについて確認されている数少ないリスク因子の一つである。我々は最初、アスピリンに膵臓ガンの予防効果があるのではないかと期待していた。」

さて、以下の場合はどうだろう。

たとえば、もし、ビタミン剤を原因とする膵臓ガンが1件、たった1件だけあったらどうだろう? マスコミがそれを伝えたとしたら、どう思うか?

事実として、ビタミン剤は有効で安全であることがわかっている。ビタミンは必須栄養素であり、生涯にわたって適量を摂取していれば、多種多様な疾患を予防することができる。製薬会社は、必須栄養素を開発しても大きな利益は得られないため、既得権益として、薬を使用するようあおり、栄養補給剤の使用を過小評価している。

(分子矯正医学ニュースサービスの編集者であるAndrew W. Saulは、過去に大学レベルで栄養学、健康科学および細胞生物学を教えており、これまで100を超えるレビューおよび論説を査読対象出版物に発表している。著者または共著者として10冊の著書があり、ドキュメンタリー映画「Food Matters」(日本語タイトル「フードマターズ~食に隠された秘密~」)で取り上げられている。同氏のホームページ:http://www.doctoryourself.com


参考文献:

1. Klein EA, Thompson Jr, IM, Tangen CM et al. JAMA. 2011;306(14):1549-1556.
http://jama.ama-assn.org/content/306/14/1549

2. Fawzi WW, Msamanga GI, Spiegelman D, Wei R, Kapiga S, Villamor E, Mwakagile D, Mugusi F, Hertzmark E, Essex M, Hunter DJ. A randomized trial of multivitamin supplements and HIV disease progression and mortality.(マルチビタミンサプリメントとHIVの進行および死亡率に関する無作為化試験) N Engl J Med. 2004 Jul 1;351(1):23-32.

3. Associated Press, Oct 17, 2006. http://www.msnbc.msn.com/id/15305033/

4. Null G, Dean C, Feldman M, Rasio D. Death by medicine.(薬剤による死亡) J Orthomolecular Med, 2005. 20: 1, 21-34.
http://orthomolecular.org/library/jom/2005/pdf/2005-v20n01-p021.pdf

5. The Associated Press. Drug errors injure more than 1.5 million a year.(年間150万人を超える投薬ミス被害者) July 20, 2006.
http://www.msnbc.msn.com/id/13954142

6. Leape LL. Institute of Medicine medical error figures are not exaggerated.(医学研究所発表の医療ミス数は誇張でない) JAMA, 2000. Jul 5;284(1):95-7; Leape LL. Error in medicine. JAMA, 1994. Dec 21;272(23):1851-7; Lazarou J, Pomeranz BH, Corey PN. Incidence of adverse drug reactions in hospitalized patients: a meta-analysis of prospective studies.(入院患者における薬物有害反応の発生率:前向き研究のメタ分析) JAMA, 1998. Apr 15;279(15):1200-5.

7. Fox M. Daily aspirin use linked with pancreatic cancer.(アスピリンの日常的摂取と膵臓ガンとの関連) Reuters, Oct 27, 2003.
http://www.cnn.com/2003/HEALTH/10/27/cancer.aspirin.reut/index.html