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オーソモレキュラー医学ニュースサービスー日本語版

国際版編集主幹Richard Z. Cheng, M.D., Ph.D.
日本語版監修柳澤 厚生(国際オーソモレキュラー医学会 第4代会長(2012-2023))
溝口 徹(医療法人回生會 みぞぐちクリニック 院長)
姫野 友美(医療法人社団友徳発心会 ひめのともみクリニック 院長)
翻訳協力Wismettacフーズ株式会社ナチュメディカ事業G

* 国際オーソモレキュラー医学会ニュース<日本語版>は自由に引用・配信ができます。引用の際は必ず引用元「国際オーソモレキュラー医学会ニュース」とURL(https://isom-japan.org/)を記載してください。

2025年に発表されたビタミンDに関する主要論文:ビタミンD推奨の根拠として観察研究を用いる方向へ

目次

執筆者:ウィリアム B.グラント(William B. Grant Ph.D.)

日光・栄養・健康研究センター(SUNARC)所長(米国)(Director, Sunlight, Nutrition, and Health Research Center (SUNARC), USA)

編集者注

以下の記事は、私たちの論文「Vitamin D: Evidence-Based Health Benefits and Recommendations for Population Guidelines(ビタミンD:エビデンスに基づく健康上の利益と集団ガイドラインのための推奨)」[Grant et al., 2025 (1)]の発表を受けたものである。同論文は、2025年に Nutrients に発表された論文の中で最も引用された論文として認められた。

2025年時点で、この論文はScopusで60件、Google Scholarで95件の引用を受けており、すべての学術誌において2025年に発表されたビタミンD論文の中で最も引用数の多い論文となっている。この引用実績は、現在進行中の科学的議論――特に、ビタミンDガイドラインおよび公衆衛生政策を形成するうえで、観察研究とランダム化比較試験が果たすべき適切な役割に関する議論――に対する同論文の実質的な影響を反映している。

本論評は、この発展しつつあるエビデンス基盤を土台とし、近年のビタミンD研究の進展を、より広い方法論的および公衆衛生上の文脈の中に位置づけるものである。

— Richard Z. Cheng, M.D., Ph.D. Orthomolecular Medicine News Service(OMNS)編集長

2025年において、ビタミンD関する方針は、ランダム化比較試験(RCT)よりも観察研究を重視する方向へ動き始めた可能性があり、これは重要かつ妥当な前進である。その年に最も引用された論文は、より高い25-ヒドロキシビタミンD[25(OH)D]濃度が、米国における死因上位10項目のうち8項目――がん、COVID-19、脳卒中、慢性下気道疾患、アルツハイマー病およびその他の認知症、糖尿病、腎疾患――の発症または死亡リスクの低下と関連していることを強調した(1)。この研究およびアップデート(2)は、主としてRCTを考慮し、特定の集団――妊婦や糖尿病発症リスクの高い前糖尿病者など――に対して600~800 IU/日を推奨した2024年のEndocrine Societyのガイドラインを受けたものであった(3)。そのガイドラインは、骨石灰化またはくる病のみに焦点を当てたビタミンD RCTの狭いレビューに基づいていた(3)。

Grantら(1)は、2000 IUのビタミンD補充により、25(OH)D濃度を30 ng/mL(75 nmol/L)超に到達させることができると指摘したが、「血清25(OH)D濃度を40~70 ng/mLの範囲に到達させるためには、ビタミンD3を1日4000~6000 IU投与する必要があり、多くの有害な健康アウトカムに対してより大きな保護効果をもたらすと考えられる。」とも述べた。しかし、これは同じ学会による以前のガイドラインが欠乏に対して1500~2000 IU/日を示唆していたこと(4)とは対照的であり、後退といえる。2011年の最初のEndocrine Societyガイドライン以降(4)、52,259件のビタミンD関連出版物が発表されているが、新しいガイドラインはそれらを考慮していない。対照的に、近年の知見は、非肥満者において、より良い健康保持のために、25(OH)D濃度を最適に上昇させるには4000~6000 IU/日が必要であることを示している。一方、肥満者では、より高い用量が必要となる。

ほぼすべてのビタミンD RCTは、ビタミンDが栄養素であることを考慮せず、医薬品のために作成されたガイドラインに基づいて実施されてきた(5)。生物学および主要な薬物動態上の有意な差異に基づき、複数の研究は、RCTが栄養素を調査するには不適切であることを示してきた(5)。栄養素の臨床試験では、その栄養素を十分に摂取していない介入群を対象とし、健康アウトカムを有意に改善できると予測される量を投与すること、対照群にはその薬剤を投与しないこと、そして結果を治療意図解析に基づいて分析することが含まれるべきである。しかし、従来のビタミンD RCTでは、ベースライン時に平均以上の25(OH)D濃度を有する参加者がしばしば含まれており、同時に対照群にもビタミンDを投与する、または摂取を許可している(5)。

Robert Heaneyは2014年に、栄養素に関するRCTのためのガイドラインを概説した(6)。それらのガイドラインは2017年にビタミンDについて更新され(7)、2025年に再検討された(5)。これらのガイドラインには、参加候補者の25(OH)D濃度を測定し、対象とする健康アウトカムに対して低濃度を有する者のみを登録することが含まれる。ビタミンDの投与量は、有害な健康アウトカムを有意に減少させるのに十分なレベルまで25(OH)D濃度を上昇させられる量であるべきである。ビタミンD以外の栄養学的要因が結果に影響しないよう、関連する補因子も適正化すべきである。結果は、達成された25(OH)D濃度に関して分析されるべきである。これらのガイドラインをほぼ採用したRCTはごくわずかである。注目すべきものとして、1つはイランの妊婦を対象としたもの(8)であり、もう1つは糖尿病前症から糖尿病への進行に関する研究の二次解析(9)であった。近年発表された3つのレビューは、従来のビタミンD RCTがどのように失敗したかを概説した(5, 10, 11)。

pubmed.govで「vitamin D, randomized controlled trial」と検索し、2025年に発表されたものを調べると105件見つかった。一部には有意な肯定的結果を示した研究もあったが、ほとんどの研究は、ビタミンD補充に対する一般の関心を高めるうえで有用とはいえないだろう。そのうちの1つ、心血管疾患(CVD)に関するビタミンD RCTのレビューでは、「50~74歳の参加者80,547人を含む14件のRCTにおいて、ビタミンD補充はプラセボと比較してCVDを予防しなかった:リスク比1.00(95%信頼区間0.93~1.08)」とされた(12)。著者は、「全体として、現在のエビデンスはビタミンDがCVDを予防しないことを示している」と結論づけた。しかし、心血管系に関連する他の近年のビタミンDレビューは、有益な知見を確認している(1),(2)。

観察研究では因果性を評価できない、としばしば述べられる。これは医薬品には当てはまるが、栄養素およびニュートラシューティカルズには当てはまらない(5)。さらに、生物学的システムにおける因果性に関するHillの基準(13)は、観察研究を用いて実際に因果性を評価することができる。ビタミンDに適切な基準には、関連の強さ、知見の一貫性、時間的関係、生物学的勾配、妥当性(例:機序)、疾患に関して一般に知られている事実との整合性、実験(例:RCTであるか否かを問わないビタミンD補充研究)、および類推が含まれる(13)。ビタミンDについて因果性を評価した近年のレビューには、心血管疾患に関するもの(2)およびSARS-CoV-2に関するもの(14)が含まれる。

ビタミンDに関連する新たな発見は、査読付き学術誌に次々と掲載され続けている。しかし、これらの重要な知見が主要医学誌に掲載されることは稀である。なぜなら、そのような学術誌は過剰な料金を課し、また編集者のバイアスおよび学術誌の製薬広告資金への依存により、関連論文が却下されるからである。2025年におけるビタミンDに関する新規知見のいくつかをここに示す。

2025年の新規知見

National Health and Nutrition Examination Survey 2001‒2018(NHANES 2001‒2018)のデータに基づき、死亡率低下におけるビタミンDの有益性を分析した研究がChongらによって発表された(15)。データベースには47,478人が含まれていた。年齢、BMI、糖尿病、高血圧、腎機能低下/腎不全、総コレステロールを含む11因子で調整したデータを用いたところ、心疾患、悪性新生物、慢性下気道疾患、インフルエンザおよび肺炎、ならびにその他すべての原因について有意な低下が認められた。25(OH)D濃度が30 ng/mL(75 nmol/L)を超える場合と20ng/mL未満の濃度の場合のアウトカムを比較したところ、腎炎、ネフローゼ症候群、およびネフローゼに関連する死亡率において統計的に有意な低下が報告された(15)。脳血管疾患および糖尿病についても、統計的有意性にはわずかに達しない死亡率低下が観察された。これらの知見は、Grantらによる2つのレビュー(1),(2)を支持するものである。

関連する論文は、UK Biobankのデータを用いて、25(OH)D濃度が75 nmol/Lを超える場合のさまざまな健康アウトカムのリスクを検討した(16)。著者らは、血中25(OH)D濃度が高い者において、非中毒性単発性甲状腺結節(HR 0.55、95%CI:0.38‒0.80)、副甲状腺機能亢進症(HR 0.45、95%CI:0.24‒0.85)、非インスリン依存性糖尿病(HR 0.69、95%CI:0.63‒0.75)、および高コレステロール血症(HR 0.97、95%CI:0.89‒1.00)の発症リスクが低いことを報告した。

ある観察研究では、妊娠初期における血清25(OH)Dが30 ng/mL未満である場合は、その後4000 IU/日のビタミンD補充を行ったにもかかわらず、産科合併症の増加と関連していることが見いだされた(17)。この研究には、妊娠初期から4000IU/日の補充を受けたメキシコの妊婦303人が含まれた。すべての参加者は、妊娠中期および後期には血中25(OH)D濃度が30 ng/mLを超えていた。一方、ベースライン時に25(OH)D濃度が30 ng/mLを超え、妊娠期間を通じて血清25(OH)D₃濃度を維持した女性(p<0.001)は、子癇前症(1.3%対10.6%、p<0.001)、妊娠糖尿病(8.6%対24.5%、p<0.001)、(0%対5.3%、p=0.003)、尿路感染症(4.6%対14.6%、p=0.003)、および細菌性腟症(3.9%対13.2%、p=0.004)の発生率が低かった(17)。この重要なデータに基づき、著者らはビタミンD補充を妊娠前に開始することを推奨している。あるいは、医療従事者は、イランの妊婦を対象とした研究(8)で行われたように、妊娠中に初めて診察した時点で、血清25(OH)D濃度が30 ng/mL未満の女性に対し、10万IU程度のビタミンDを単回高用量で投与を行うことを検討すべきである。

妊婦におけるビタミンD欠乏の有病率に関する別の系統的レビューおよびメタ解析も実施された(18)。この研究は観察研究に基づくもので、血清25(OH)Dの評価を受けた妊婦127,290人を含んでいた。メタ解析により、妊娠初期では妊婦の68%(95%CI、60%~76%)が25(OH)D <30 ng/mLであり、妊娠中期では81%(95%CI、74%‒87%)、妊娠後期では70%(95%CI、64%‒75%)であることが明らかになり、このビタミンの欠乏が広範であることを示している(18)。

イラクで実施された閉経女性100人を対象とする2年間の前向き研究では、25(OH)D濃度(<20 ng/mLおよび>30 ng/mL)によって群分けし、閉経年齢、症状、ホルモン濃度、および骨密度を分析した(19)。少なくとも12か月間月経不順があった女性が含まれた。欠乏群の平均年齢は50.2 ± 1.8歳であったのに対し、充足群では46.8 ± 1.4歳であった。エストロゲン濃度はそれぞれ39.2 ± 4.3 pg/mLおよび70.9 ± 9.7 pg/mLであった。卵胞刺激ホルモン濃度はそれぞれ69.8 ± 8.7 mIU/mLおよび33.6 ± 6.9 mIU/mLであった。25(OH)D濃度が低い者では、更年期症状もより重度であり、生活の質も低かった。

本レビューから分かるように、過去20年余りの研究で、25(OH)D濃度が高いことによる、多くの重要な健康上の利点が明らかになってきた。

2000年初頭にビタミンDの多面的作用を研究していた大多数の人々は医療システムの中に属していたため、より高い25(OH)D濃度と健康上の利益との因果関係を示そうとしたが、残念ながら、栄養素の研究に適した試験デザインへとガイドラインを適切に修正することができなかった。その結果、ほとんどのビタミンD無作為化比較試験(RCT)は有意な効果を見いだすことが出来なかった。こうした状況から、多くの医療従事者は、健康上の問題や疾患の予防・治療におけるビタミンD補充の重要性を認識していない。

血清25(OH)D濃度に関する観察研究がより重視されるようになり、公衆衛生を改善し医療費を削減するために、食品、医薬品、およびニュートラシューティカル規制の改革につながることが期待される(20)。因果関係は、生物学的システムにおける因果関係に関するHillの基準(13)を用いて評価できるほか、適切に実施されたRCT(5)によっても評価できる。

参考文献

  1. Grant WB, Wimalawansa SJ, Pludowski P, Cheng RZ. Vitamin D: Evidence-Based Health Benefits and Recommendations for Population Guidelines. Nutrients. 2025;17(2):277. https://www.mdpi.com/2072-6643/17/2/277
    DOI: 10.3390/nu17020277 PMID: 39861407 PCMID: PMC11767646
  2. Grant WB, Boucher BJ, Cheng RZ, Pludowski P, Wimalawansa SJ. Vitamin D and cardiovascular health: A narrative review of risk reduction evidence. Nutrients. 2025;17(13).
  3. Demay MB, Pittas AG, Bikle DD, Diab DL, Kiely ME, Lazaretti-Castro M, et al. Vitamin D for the Prevention of Disease: An Endocrine Society Clinical Practice Guideline. J Clin Endocrinol Metab. 2024;109(8):1907-47.
  4. Holick MF, Binkley NC, Bischoff-Ferrari HA, Gordon CM, Hanley DA, Heaney RP, et al. Evaluation, treatment, and prevention of vitamin D deficiency: an Endocrine Society clinical practice guideline. J Clin Endocrinol Metab. 2011;96(7):1911-30.
  5. Wimalawansa SJ. Enhancing the design of nutrient clinical trials for disease prevention-A focus on vitamin D: A systematic review. Nutr Rev. 2025;83(7):1-41.
  6. Heaney RP. Guidelines for optimizing design and analysis of clinical studies of nutrient effects. Nutr Rev. 2014;72(1):48-54.
  7. Grant WB, Boucher BJ, Bhattoa HP, Lahore H. Why vitamin D clinical trials should be based on 25-hydroxyvitamin D concentrations. J Steroid Biochem Mol Biol. 2018;177:266-9.
  8. Rostami M, Tehrani FR, Simbar M, Bidhendi Yarandi R, Minooee S, Hollis BW, et al. Effectiveness of Prenatal Vitamin D Deficiency Screening and Treatment Program: A Stratified Randomized Field Trial. J Clin Endocrinol Metab. 2018;103(8):2936-48.
  9. Dawson-Hughes B, Staten MA, Knowler WC, Nelson J, Vickery EM, LeBlanc ES, et al. Intratrial Exposure to Vitamin D and New-Onset Diabetes Among Adults With Prediabetes: A Secondary Analysis From the Vitamin D and Type 2 Diabetes (D2d) Study. Diabetes Care. 2020;43(12):2916-22.
  10. Pilz S, Trummer C, Theiler-Schwetz V, Grubler MR, Verheyen ND, Odler B, et al. Critical Appraisal of Large Vitamin D Randomized Controlled Trials. Nutrients. 2022;14(2):303.
  11. Grant WB, Boucher BJ, Al Anouti F, Pilz S. Comparing the Evidence from Observational Studies and Randomized Controlled Trials for Nonskeletal Health Effects of Vitamin D. Nutrients. 2022;14(18):3811.
  12. Scragg R. Clinical trials of vitamin D supplementation and cardiovascular disease: A synthesis of the evidence. J Steroid Biochem Mol Biol. 2025;250:106733.
  13. Hill AB. The Environment and Disease: Association or Causation? Proc R Soc Med. 1965;58(5):295-300.
  14. Wimalawansa SJ. Vitamin D Deficiency Meets Hill's Criteria for Causation in SARS-CoV-2 Susceptibility, Complications, and Mortality: A Systematic Review. Nutrients. 2025;17(3):599.
  15. Chong B, Jayabaskaran J, Jauhari SM, Chan SP, Goh R, Kueh MTW, et al. Global burden of cardiovascular diseases: projections from 2025 to 2050. Eur J Prev Cardiol. 2025;32(11):1001-15.
  16. Ye Z, Li G, Zhang Y, Li Z, Lei J. Association between circulating vitamin D levels and the risk of major endocrine diseases: insights from a longitudinal prospective cohort study. Int J Surg. 2025.
  17. Lozano-Martinez MF, Soto Gamez R, Gutierrez-Gonzalez D, Fernandez-Chau IF, Garza-Silva A, Sanchez-Garcia AS, et al. 25-hydroxyvitamin D [25(OH)D(3)] deficiency in the first trimester is associated with increased obstetric complications despite standard supplementation during pregnancy. Gynecol Obstet Invest. 2025:1-17.
  18. Cristofalo MM, de Almeida Garcia JO, Aldrighi JFS, Cristofalo RM, Franca MLM, Luzia LA, et al. Prevalence of Vitamin D Deficiency in Pregnant Women: Systematic Review and Meta-analysis. Nutr Rev. 2025:nuaf168.
  19. Muho KH. Impact of Vitamin D status on age at menopause: A prospective cohort study. J Adv Pharm Technol Res. 2025;16(4):190-4.
  20. Wimalawansa SJ. Reforming Food, Drug, and Nutraceutical Regulations to Improve Public Health and Reduce Healthcare Costs. Foods. 2025;14(13):2328.