まず最初に確認しておくべきことは、NAD+欠乏の症状がどのようなものかという点です。多くの栄養素の欠乏は、特定の疾患として明確に現れます。例えば、壊血病(ビタミンC欠乏)、脚気(ビタミンB1欠乏)、くる病(ビタミンD欠乏)、そしておそらく最も重要なものがペラグラ(NAD+欠乏)です。かつては「ペラグラ学(Pellagrology)」と呼ばれる医学の一分野が存在していましたが、その後、ペラグラがビタミンB3(NAD+の前駆体)の欠乏によって起こることが判明しました。
- 治療法・栄養
「処方薬とNAD+の枯渇について」Vol2
マグネシウムに関する前回の連載で紹介された、マグネシウム欠乏を引き起こす薬剤の多くは、間接的にNAD+の欠乏も引き起こす可能性があります。しかし、NAD+のレベルに直接悪影響を及ぼす薬剤にはどのようなものがあるのでしょうか?それをこれから見ていきましょう。
NAD+不足で起こる病気とは
したがって、ペラグラを引き起こすことが知られている薬剤は、ナイアシン(ビタミンB3)の代謝を妨げるか、NAD+の産生・リサイクルよりも速いペースでその消費を促すことで、NAD+のレベルを低下させていると考えられます。
以下に示すのは、進行したペラグラの症状です:(写真1)

(写真1)
上の2枚の写真は介入前、下の2枚はナイアシンアミド(ビタミンB3のアミン型)によってNAD+を回復させ、併用する栄養素を補い、さらに患者が服用していた薬剤を中止した後の様子です。写真からも明らかなように、この疾患の皮膚症状はほぼ特異的(病気を特定できるほど特徴的)です。
「3つのD」の症状
ペラグラは「3つのDの病気」と呼ばれており、それは皮膚炎(光過敏による日光曝露部位の炎症)、下痢、認知障害(痴呆)で、治療されなければ4つ目のD(死)に至ることもあります。これらの皮膚症状は、キヌレニンやウロカン酸の蓄積により光過敏症が引き起こされ、露出した皮膚に影響が出ることで発生すると考えられています。
精神症状としては、うつ状態から精神病に至ることもあり、下痢と併発することが多いです。ペラグラがビタミンB3(NAD+)の欠乏によるものだと分かる以前は、多くの患者が精神病院に収容され、過酷な状況の中で命を落としていました。
栄養療法のはじまり
故アブラム・ホッファー医師やカール・ファイファー医師などの先駆的な医師たちは、統合失調症における精神病症状がペラグラと臨床的に類似していることに気付き、これが高用量の栄養素による精神疾患治療の道を開くきっかけとなりました。
幸いにも、現代ではペラグラの発症は大幅に減少しています。なぜなら、治療は基本的にビタミンB3(またはそのアミド型であるナイアシンアミド)の高用量投与、あるいは点滴によるNAD+の投与に加え、他の補助栄養素(ビタミンB群、マグネシウム、ビタミンC、カルニチンなど)を数週間から数ヶ月間にわたって行うことが確立されているためです。
以下の薬剤によって誘発される場合を除いては:(図1)

(図1)
ペラグラは、アルコール乱用や、トウモロコシの過剰摂取(主食としての過度な依存)によっても発症することがあります。1930年代から1950年代にかけて、アメリカ南部のシェアクロッピング(小作農制度)と、それに伴う深刻な貧困の時代には、多くの人々が主食としてトウモロコシに依存した食生活を送っていましたが、タンパク質の摂取量が極端に少ない状況にありました。というのも、当時貧困層にとって肉類などのタンパク源は非常に高価で入手困難だったためです。
その結果、ペラグラはシェアクロッパーたちにとって深刻な健康問題となり、この栄養失調が原因で多くの農民が命を落とす事態となりました。
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